厚生省の元局長に、「証明書の発行を部下に指示したとは認められない」として無罪が言い渡された。冤罪にならなくて本当によかった。本人が闘いとおしたからだろう。女の人の方が、イザとなると根性が座っているのだろう。全共闘世代の作家、高橋源一郎さんは横浜国立大の学生だった時、警察に捕まった。上層部から「捕まっても決してしゃべるな。黙秘を貫け」と言われてそうしていたら、「コイツは大物だ」と勘違いされて長期留置になったという。意外にも捕まった仲間はペラペラとしゃべっていたのだそうだ。男は勇ましいことは言っても根性がない。先の戦争で負けた時も、「あなたはこの戦争の責任者だから腹を切るべきだ」と女房に説得されてやっと自害した大将がいた。この国の男たちはどうも言動に責任を持たないことを伝統にしている。
この事件は、障害者団体「凛の会」(後の白山会)が郵便借り引き制度の適用を受けるために厚生省へ働きかけ、その証明書のおかげで、約37億5千万円もの郵便料金を支払わずにすんだというものだ。この制度を利用して大手企業がダイレクトメールの発送を依頼している。これほどの利益を狙った事件なのだから大きな力が働いていると考えるのは当然だろう。捜査に当たった大阪地検特捜部は、「凛の会」が民主党の国会議員に働きかけ、国会議員が厚生省の部長に口を利き、部長が局長に「議員案件だから」と指示し、局長が担当の係長に指示したという構図を描いた。けれども、判決は1.「凛の会」の元会長が国会議員に証明書発行の口添えを依頼した事実はない。2.部長が局長に発行を指示したことはなく、発行は議員案件ではない。3.局長から証明書をもらったとする元会長の証言は信用できない。4.局長が係長に証明書の作成を指示したとは認められない。5.局長に犯行の動機があったとは認められない。
無罪の人が有罪にならなくてよかったけれど、でも腑におちない。証明書は確かに発行されている。初めは局長からの指示と言っていた係長も「自分がやった」と証言しているが、役所が上司の許可もなく勝手に発行することがあるのだろうかと疑問に思う。仮にそのとおりであるなら、厚生省という役所はとんでもないところだ。そこまで日本の役所は腐ってはいないだろうと私は思っている。誰かが「依頼」し、誰かが「発行」したことは間違いない事実なのだけれど、犯行を認めている係長は誰からの依頼だったのか、それは何のためだったのか、どうして発行しようと思ったのか、大阪地検が私のような素人が考えるようなことを見落としていたは絶対にないはずだ。
小沢一郎さんの金にかかわる疑惑についても、特捜部は何の目途もないままに動いているとは思えないけれど、こうした検察の証明力のなさを見せ付けられると、どこかで何かが狂ってきているのだろうと思えてくる。絶対的な権力者の登壇を憧れる土壌づくりが無意識のうちに進んでいる。
この事件は、障害者団体「凛の会」(後の白山会)が郵便借り引き制度の適用を受けるために厚生省へ働きかけ、その証明書のおかげで、約37億5千万円もの郵便料金を支払わずにすんだというものだ。この制度を利用して大手企業がダイレクトメールの発送を依頼している。これほどの利益を狙った事件なのだから大きな力が働いていると考えるのは当然だろう。捜査に当たった大阪地検特捜部は、「凛の会」が民主党の国会議員に働きかけ、国会議員が厚生省の部長に口を利き、部長が局長に「議員案件だから」と指示し、局長が担当の係長に指示したという構図を描いた。けれども、判決は1.「凛の会」の元会長が国会議員に証明書発行の口添えを依頼した事実はない。2.部長が局長に発行を指示したことはなく、発行は議員案件ではない。3.局長から証明書をもらったとする元会長の証言は信用できない。4.局長が係長に証明書の作成を指示したとは認められない。5.局長に犯行の動機があったとは認められない。
無罪の人が有罪にならなくてよかったけれど、でも腑におちない。証明書は確かに発行されている。初めは局長からの指示と言っていた係長も「自分がやった」と証言しているが、役所が上司の許可もなく勝手に発行することがあるのだろうかと疑問に思う。仮にそのとおりであるなら、厚生省という役所はとんでもないところだ。そこまで日本の役所は腐ってはいないだろうと私は思っている。誰かが「依頼」し、誰かが「発行」したことは間違いない事実なのだけれど、犯行を認めている係長は誰からの依頼だったのか、それは何のためだったのか、どうして発行しようと思ったのか、大阪地検が私のような素人が考えるようなことを見落としていたは絶対にないはずだ。
小沢一郎さんの金にかかわる疑惑についても、特捜部は何の目途もないままに動いているとは思えないけれど、こうした検察の証明力のなさを見せ付けられると、どこかで何かが狂ってきているのだろうと思えてくる。絶対的な権力者の登壇を憧れる土壌づくりが無意識のうちに進んでいる。