『桜の宴』は夕方に終了したが、飲み足らない人たちが続きを我が家でやると言う。「きっとそうなるよ」と話した時は全く乗り気でなかったカミさんが、その場になると「ええ、どうぞ、どうぞ」と歓迎の笑顔で応えていた。その豹変に驚いたけれど、嬉しかった。我が家なら比較的広いし、誰にも気兼ねすることはない。一番集まり易いところが場を提供するのが自然と思うので、私はみんなが集まってくることが苦にならない。結局、続きは10時半ごろまで続いた。東北に縁のある友人が大声で「ありがとう、ありがとう」と言っていたが、何からそんな話になったのか覚えがない。
マンションを住まいに選んだのは、プライバシーが守られるとか草取りをしなくていいとか、人にはいろいろな理由がある。展望がよいのも選択肢の1つであったかも知れない。どんな理由があったにしろ、選んだ当初はご近所付き合いが少なくてすむと思っていた人も多かったはずだ。実際にマンションに住んでみると、「音」のトラブルが結構多い。私が自治会長を務めた時も、幻聴に悩まされる人がいて困ったことがあった。トラブルの解決策は日頃のご近所付き合いにある。日頃からお付き合いがあるところでは、少々の「音」は気にならなくなる。
『桜の宴』の参加者はマンションの住民ばかりでなく、市外からやってくる人までいるけれど、やはり一番多いのはマンションの人たちである。家族ぐるみというか、夫婦だけでなく子や孫までも含めた大所帯での付き合いが続いている。江戸時代の長屋生活のようなもので、調味料を借りたり、ちょっと出かけたからと言ってお土産をいただくこともある。「お酒の肴にと作ったから食べてみて」とダンナが手料理を持ってきてくれることもある。「いいお酒がある」となれば、「上げってキンサイ」とお呼ばれさせてもらうこともある。
男たちは政治の話が好きで政治家の悪口は大いに言うけれど、ご近所の人の悪口は一度も言ったことがない。女たちもウワサ話を好まないし、人の悪口を話題にしたことは一度もない。いつも大いに話し、大いに笑うけれど、そんなに深刻な話題ではないように思っていた。それでもやはり時期だけに、震災のことはよく話題になっていた。結婚前の男の子がいる家庭が多いからそんな結婚のことも話題になった。夫がアメリカへ単身赴任でいっている若い母親は「結婚なんていいものじゃーないわよ」と言う。現実の生活に追われて、付き合っていた頃つまり恋愛していた頃の方がよかったというのだ。
でも、「結婚して、一人前になれた」と彼女は結婚のよい面を言う。社会人になってもなかなか一人前と認められないけれど、結婚すると社会は一人前の人間と認めるのである。彼女が恋愛中に悩んでいた時に、通勤電車の帰りに相談されたことを思い出した。小さかった子たちも、今ではもう立派な大人だ。2人の子どもの母親でもある。ご近所の子どもたちは幼い時からよく知っているから、自分の子どものように思ってしまうが、ある意味では親よりも成長ぶりがよくわかるかも知れない。マンション長屋の生活も結構面白いと思う。
マンションを住まいに選んだのは、プライバシーが守られるとか草取りをしなくていいとか、人にはいろいろな理由がある。展望がよいのも選択肢の1つであったかも知れない。どんな理由があったにしろ、選んだ当初はご近所付き合いが少なくてすむと思っていた人も多かったはずだ。実際にマンションに住んでみると、「音」のトラブルが結構多い。私が自治会長を務めた時も、幻聴に悩まされる人がいて困ったことがあった。トラブルの解決策は日頃のご近所付き合いにある。日頃からお付き合いがあるところでは、少々の「音」は気にならなくなる。
『桜の宴』の参加者はマンションの住民ばかりでなく、市外からやってくる人までいるけれど、やはり一番多いのはマンションの人たちである。家族ぐるみというか、夫婦だけでなく子や孫までも含めた大所帯での付き合いが続いている。江戸時代の長屋生活のようなもので、調味料を借りたり、ちょっと出かけたからと言ってお土産をいただくこともある。「お酒の肴にと作ったから食べてみて」とダンナが手料理を持ってきてくれることもある。「いいお酒がある」となれば、「上げってキンサイ」とお呼ばれさせてもらうこともある。
男たちは政治の話が好きで政治家の悪口は大いに言うけれど、ご近所の人の悪口は一度も言ったことがない。女たちもウワサ話を好まないし、人の悪口を話題にしたことは一度もない。いつも大いに話し、大いに笑うけれど、そんなに深刻な話題ではないように思っていた。それでもやはり時期だけに、震災のことはよく話題になっていた。結婚前の男の子がいる家庭が多いからそんな結婚のことも話題になった。夫がアメリカへ単身赴任でいっている若い母親は「結婚なんていいものじゃーないわよ」と言う。現実の生活に追われて、付き合っていた頃つまり恋愛していた頃の方がよかったというのだ。
でも、「結婚して、一人前になれた」と彼女は結婚のよい面を言う。社会人になってもなかなか一人前と認められないけれど、結婚すると社会は一人前の人間と認めるのである。彼女が恋愛中に悩んでいた時に、通勤電車の帰りに相談されたことを思い出した。小さかった子たちも、今ではもう立派な大人だ。2人の子どもの母親でもある。ご近所の子どもたちは幼い時からよく知っているから、自分の子どものように思ってしまうが、ある意味では親よりも成長ぶりがよくわかるかも知れない。マンション長屋の生活も結構面白いと思う。