最近は観たくなるようなドラマに会えない。そう思っていたら、火曜日の午後9時から、フジテレビでW浅野のドラマが面白そうだと聞いた。火曜の夜、『抱きしめたい!Forever』を見てみたけれど途中で眠くなって寝てしまった。浅野さんたちの歳は知らないが、ドラマの設定は54歳で、片方は独身のスタイリストで何人かの部下を持つ企業家である。もう片方は結婚していて、7つ上の中華料理店を経営している夫がいる。その夫に隠し子がいたことからドラマが展開していく。
もう終わってしまったが、同じフジテレビで月曜日の午後9時から、山下智久さん主演のドラマ『サマーヌード』が話題だった。たまたま、友だちの選挙の応援に出かけた時、ビジネスホテルに泊まることになって、何もすることがないのでテレビを見たらやっていたドラマだった。男3人、女3人の若い男女の恋物語だった。カミさんは「よくこんなくだらないドラマを見るわね」と関心を示さなかったが、微妙にずれていく男と女の心の変化が面白かった。
『抱きしめたい!Forever』の方は、W浅野のコミカルな掛け合いが売りのようで、全体に騒がしくしっくり来るものがなかった。50代の女性の恋愛を描こうとするとシリアスなものよりもコミカルなものの方が無難なのかも知れない。おそらく来週は見ないだろう。人生が平坦なものでないことは、誰もが自らを振り返ってそう思う。ドラマを見るのは、自分とは違う世界だからか、逆に自分に近い世界だからだろう。
作家の山崎豊子さんが亡くなった。『白い巨塔』『華麗なる一族』『不毛地帯』など、社会のドス黒い部分に鋭いメスを入れた社会派小説と言われているけれど、なぜか私は1つも読んだことがないし、ドラマ化されたものも見ていない。友だちが「これは絶対面白いよ」と貸してくれた『沈まぬ太陽』をDVDで見ただけだ。山崎さんは毎日新聞大阪本社の学芸部記者だった。新聞記者は「10を聞き、1を書け」と言われる。山崎さんは「40を聞き、1を書く」と言っていたそうだ。
徹底した取材から大きなスケールの小説が生まれたことは明白だ。新聞記者もテレビの記者も、一番大事なのは取材だろう。取材力を高めるのは記者のアンテナだろうが、本当は記者の素材というか関心の深さだろう。吸収する力が無ければ取材はただの聞き取りになってしまう。