仲間は井戸掘りで出た土の埋め戻しに行っているのに、私は北名古屋市文化勤労会館で行なわれた男女共同参画事業『地球のステージ2』に実行委員として参加しているので、申し訳ない気持ちでいた。そこへ仲間から電話で「やり直すことになった」と。よく聞き取れなかったので、3度も「もう一度言って」と聞いてしまった。それで仲間も諦めたのか、「冗談ですよ。順調に水は出ています。成功です」と言う。一瞬、聞いた時はビックリした。あれだけ今度は慎重にやったのに、ダメならばどうしたらよいのか、そんな不安が過ぎった。
成功と聞いて心も軽くなった。『地球のステージ2』の準備に気持ちよくかかれる。大和塾のパネルもすぐ完了した。「大和塾はとても素敵な講師が多いですね」と褒めてもいただく。さて、開場となる午後1時前に、既に多くの人が入り口に並んでいる。3月に続く第2弾ということらしいが、私は初めての参加だ。男だから、女だから、そういう意識は私にはない。むしろ意識の問題よりも社会の制度の問題ではないのかと思っている。みんなが気持ちよく暮らしていける社会はどうあったらよいかを追及していくことだと思う。
『地球のステージ』は、医師の桑山紀彦さんが映像と歌で行なうものだった。桑山さんは人に接することが苦手の少年だったそうだ。それが山形大学医学部の学生の時、旅をするようになって少しずつ変わっていく。インド(間違ってるかも知れない)を旅行した時、ひとりの少年に出会った。そのおばあさんは目が悪かった。桑山さんは自分の目薬をあげた。そして思った。自分でも人の役に立つことが出来る。それから、旅をしていろんな人に巡り合う。カンボジア、イラン、パレスチナと巡り、紛争や貧しさに苦しむ子どもたちの心のケアに取り組む。
東北の震災後は子どもたちが何を思い生きているかに焦点を当てて、被災した人々の「心のケア」に取り組んでいる。プログラムが盛りたくさんあって、まとまりがなくなってしまうように思えたが、「一生のうちに何人の人と心を通わすことが出来るだろうか」に集約されているようだ。人に出会い、そして心が通うようになる、それが人々を平和なつながりへと導いてくれる。桑山さんはそう伝えたかったのだと思う。