落し物の連絡が入った。大和塾のチラシや季刊誌を印刷してもらっている会社から、「実は、ユーアンドミーという喫茶店から電話があり、私のところが発行した領収書の入った封筒の忘れ物があったけど、心当たりはないかと言うのですが‥」、そう言われてもと思いながら、フッとあの時かと思うことがあった。「ありがとう。確かめてみます」と電話を切り、喫茶店に行った相手に電話してみた。
「渡した封筒は持っている?」と聞くと、「持ってるよ」と言う。「中のものはみんなある?」と再度聞くと、「あれ!小さい方の封筒がない」と言う。「分かった。今、連絡があったのでもらって来る」と言い、その喫茶店へ向かった。私が彼とその喫茶店に行き、役所に提出する書類とこれまで立て替えた分の領収書を入れた封筒を渡した時、中の小さな方の封筒が落ちたのだろう。喫茶店に行くと既にクローズされていた。
中を覗くと明かりが見える。ドアをノックして明けてもらった。昼間は喫茶が中心で、夜は居酒屋なので、その仕込みをしているところだった。若いマスターは封筒を見せて、「これですが間違いありませんか?」と渡してくれた。私は名刺を渡し、礼を述べた。「相手が、気が付いて探しに来るまで放っておけ」と言う人が多い中、わざわざ電話して探してくれた心遣いに感謝した。今は寒いから出かけたくないけれど、気候がよくなれば一度飲みに行かねばと思った。
「もらって来たよ」と彼に届けると、「ご苦労様でした」と言う。どっちが落としたとか、責任を巡ってグチャグチャ言わないところがいい。役所への種類の提出など面倒なことも、そしてどんな嫌なことがあっても、淡々としているから助かる。嫌なことはいつも他人のせいにして、文句ばかり言う人がいるけれど、彼は何があってもスッーと流してくれる。
先日、結婚しない娘が多い話から、「近頃は魅力を感じる若い男がいない」が原因という結論に至った。けれど、いい男がいなくなったわけではなく、身の周りに少ないのか、あるいは目立たなくなったのではないだろうか。しかし、若い男が活躍する場が少なくなったことは本当かも知れない。