NHKテレビの火曜日夜10時からのドラマは面白いものが多い。今週で最終回となった末広涼子さん主演の『聖女』も、やっぱりそういう終わり方かと思うドラマだった。売春婦の娘と蔑まされ、誰も信じられないまま大人になった。東京に出てきて有名女子大の授業をモグリで受けたりて、知識と教養を身につけていく。男の方から彼女に近づいて来て、世話を焼いてくれる。聖母像のマリアのようになることが彼女の夢であったが、彼女が優しく微笑むだけで男は彼女のために尽くすようになる。
彼女の周りで彼女に尽くした男たちが死亡する事件が起き、悪魔の女と言われるようになる。裁判が始り、彼女の弁護を担当する事務所の一人に、昔、彼女が家庭教師をしていた時に教え、やがて恋するようになった男がいた。弁護士事務所の働きで、彼女の愛した方は世間とは違うけれど、だからと言って人殺しはしていないことが明らかになっていく。そして彼女は、本当に愛したのは家庭教師の時に愛し合い、今は弁護士になった男だと知る。
男が悪い訳ではないが、弁護士になった男には結婚する女がいた。男は弁護士として彼女を助けたけれど、恋人を捨てて彼女と一緒になることは出来ない。彼女は本当に愛した男に巡り合えたけれど、成就することはない。裁判で無罪となり、これからどんな風にでも生きていけるはずだが、彼女にはもう未来はない。結局、彼女は海に入って死んでしまう。ドラマとしてはこういう結論しかないのだろう。
秋になって、いくつかのドラマが最終回だった。木村拓哉さん主演の『ヒーロー』も最終回は見た。前にも書いたが『若者たち』も最終回を見た。中年の男女を描いた『同窓会』は時々見ていて、最後がどうなるのだろうと思って最終回を見た。最終回を見ると、そのドラマがいいたいことがよく分かる。9月8日に中秋の名月を見た。10月6日に十三夜を見た。昨日の皆既月食も3度眺めた。月の変化もドラマの変化も、見ているうちはなぜか心惹かれる。