安倍内閣の目玉、女性閣僚が相次いで辞任した。小渕優子経済産業大臣は、後援会の収支報告書について「知らないとはいえ、責任を感じている」として、観劇会の収支報告に大きな疑念があると認めた。観劇会は後援会女性部会の恒例行事で、群馬からバスを連ねて東京の明治座へ出かけている。小渕さん自身も舞台に立ち、挨拶をしている。何が問題になっているかというと、観劇会の参加費用の合計と明治座やバス代・弁当代などの支払い額が一致せず、支出が多いのは有権者への利益供与にあたるというものだ。
有権者は「あの議員のバス旅行は値打ちだが、あちらの議員の旅行はケチ臭い」などと品定めをする。要するに、豪華なお土産付きなら参加してもいいと損得で判断している。私が初めて選挙に挑んだ時、「カンパを集める」と言ったら笑われてしまった。「政治家になりたいならお金をばら撒かなければなれない。昔の政治家は財産の全てを投げ打った。だから応援した。金をみんなから集めて選挙やるような人は当選しない」とハッキリ言われた。議員なった時も、「議会報告会はタダで飲み食いが出来る会でなければ人は集まらない」と言われた。
地域の祭りに「なぜ寄附をしない」と叱られた。「金がダメなら、酒を献上せよ」とも言われた。「バス旅行をなぜしない」とか、「ゴルフコンペをやって賞金を出して欲しい」とか、「忘年会や新年会はどこの議員もやっているから、ウチもやらないと逃げられてしまう」とか、政治家は有権者に金を持ってくるものだと思っている。「他の議員はみんなしているのに、そんな硬いことを言うのは金が惜しいからだ」とまで皮肉られた。
国会議員や県会議員は、今でも旅行のバスの台数を競っている。ある旅行代理店は参加費を多く見積もって、「先生から皆さんへのお礼の気持ちです」と酒を提供する費用を捻出していた。もっと悪い議員は、イベントを行なっては上前をはね、懐に貯め込んでいた。政治家という名の商売人で、業者をはじめ願い事に来る人から金を巻き上げていた。「政治は汚い」と人々は口にするけど、それは逆に認めてしまっているからだ。政治家は清廉潔白が当たり前でなければならない。