また台風が近づいている。ルーフバルコニーに出て鉢を移動する。秋のバラが咲いていたので、食卓に1輪、玄関に2輪、置いた。花があるだけで少し和らいだ空間になる。昨日は完成した井戸に電動ポンプを据付け、最後の仕上げをする段取りだったけれど、私は失礼して、恩師の息子さんが開いている野外展示場のミニコンサートへ出かけた。無党派市民派の勉強会を開いていた時の友人が開催地の首長になっているので、「会場へ来てくれますか?」と連絡したところ、「参加し、近況もお話ししたい」と返事が来た。
首長が来ることで権威付けるような息子さんではないし、「来てやった」と威張るような友人でもないが、何かの縁で役に立つならと思った。恩師の長男はアーチストにはならなかったが、地域のボランティアを束ねる立場にあり、長い目で見ればお互いにどこかで結びつくこともある。「近況もお話ししたい」と言っていたが、この後も予定があるようで、結局移動する車の中で話すに留まった。誠実を地でいくような人だから首長にふさわしいが、大変な日々を過ごしているようだ。
家に帰ると長女と5歳の孫娘がやって来た。孫娘は頭をネットで包んでいる。前日に遊んでいて頭に大怪我をしたという。娘に「大丈夫か?」と尋ねると、「病院に運び込まれていたら縫われてた」と言う。怪我をしたことはショックだったようだが、いつもと変わらず元気だった。飾り棚にあるとうもろこしの人形と藁の馬を取り出して、「あなたはどこへ行くの?」「私はあなたのことが心配なの!」などと自作の物語にあわせて人形と馬を操る。そのため、この2体はボロボロになってきた。
私が黙ってみていると、「ねえ、これやらない?」とカードの絵合わせを持ってくる。ふたりで3度も挑戦することになった。子どもは潜在能力が大きい。どんどん探し方を工夫していく。長女も何にでも興味を持ち、挙句の果てに怪我をすることが多かった。この孫娘もその血を受けつないでいるようだ。私は子どもたちのやりたいようにやらせてきた。カミさんは「あなたが面白がるからいけない」と怒るが、子どもの能力に感心はしたが放任していたわけではなかった。孫娘は将来が楽しみの子に育っている。