認知症予防講座に行って来た。たまたま友だちから、「今度こういうのをやるから来てね」と案内のチラスを渡されていたから、顔を出さないわけには行かないと思った。それに近頃、物忘れも多いし、先日のように交通事故を起こしてしまい、やっぱり始まっているのかなという気持ちもあった。私の願いとしては、認知症になる前にあの世へ旅立ちたいけれど、現実はそういかないことが多い。
NPO法人認知症予防ネットの理事長、高林実結樹さんの講演は、「認知症がどんなに辛い病気なのかを理解して欲しい」ということから始まった。高林さんは昭和6年生まれ、親の介護体験が出発点だと言う。認知症はコミュニケーションが取れない病気、だから周りはとても辛いけれど、本人はもっと辛いはずだ。そう理解しないと介護はできない。本人は厄介者扱いされ、人として評価されないから。
「でも‥」と、高林さんは言う。認知症の人は感動しなくなっている。感動を引き出すために働きかけることが脳を活性化させる。キレイなものを見せたり、気持ちのいい風に当ったり、日常の中の何でもないことでも、「すごいね」と感動する機会をたくさん作ることだと言う。実際、認知症の人に絵を描いてもらい、「すごいね」と褒めたところ、その人は絵を描くことが好きになり、展覧会をするまでになった例を話す。
「介護施設でお手玉はどうしていますか?」と言う。どういうことなのか?と思ったら、お手玉の箱を見せてくれた。多くの施設では無造作に菓子箱などに入れてあるが、見せてもらった箱は配色がキレイに統一されていた。思わず会場の皆さんも「わあー、きれい」と声を上げた。「感動したでしょう。小さな感動を重ねていく、それが大事なの」と指摘する。この後、グパー体操を行なった。「ここではリズムが大事ね」と言い、ゆっくりからだんだん速くしていく。
左右が逆になると、途端に間違える人もいる。「間違いを直すべきですか?」と会場から質問が出る。「間違いを指摘したり、直したりしてはダメ」。「間違えた方が得みたいよ」とか、「私も間違えちゃったと言うのが癒しのシャワー」と指摘する。「間違いは知らないフリをする。決して非難しない。上手なウソが大切。優しくされる方が人は頑張れるものよ」と言われ、大いに納得する。癒しのシャワー言葉を大事にしよう。