友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

辻井いつ子講演会

2015年06月13日 21時57分15秒 | Weblog

 小牧市まなび創造館で行なわれた、辻井いつ子さんの講演に行ってきた。辻井さんは全盲のピアニスト・辻井伸行さんのお母さん。初めての妊娠にウキウキしていたと言う。マタニティスイミングにも通い、出産に備えた。夫は産婦人科の医師だから心配することは何もなかった。初めて授乳させた時、どうしてこの子は目をつむったままなのだろうと異変に気が付いた。

 どう向き合えばいいのか、全盲の子を育てるマニュアルはどこにもない。障害のある人の本を貪るように読むしかなかった。そんな時、全盲ながら社会貢献している福沢美和さんを知り、カセットテープに思いを吹き込んで送った。家に遊びに行き、どう育てたらよいのかアドバイスが欲しいと話す。すると、福沢さんは「難しく考えないで。普通に育てればいいのよ」。これにはビックリしたと言う。

 普通の子と同じように、散歩したり走ったり水遊びしたり、それでいいのだ。どこへでも連れて行った。1歳になる頃、CDで音楽を聞かせるとすごく喜んだ。遊びで、日本の童謡なども聞かせた。ピアノの先生に家に来てもらい、ピアノで遊んでもらった。5歳の時、海の好きな伸行君を連れてサイパンへ行った。たまたま入ったショッピングセンターで、ピアノの自動演奏が流されていた。伸行君は「自分も弾きたい」と言う。

 お母さんは店の人にお願いした。自動演奏が切られ、ピアノに向かわせてくれた。そこで伸行君はリチャードクレイダーマンの『渚のアデリーヌ』を弾いた。館内にいた客が続々とステージの周りに集まってくる。演奏が終ると大きな拍手が沸きあがり、ハグする人、キスする人、「ブラボー」と叫ぶ人もいた。ピアノを弾いただけで、こんなにもたくさんの人々に喜んでもらえた。ここが原点だったように思うといつ子さんは言う。

 いつ子さんは子どもの時、ピアノで挫折した。ピアノが弾けないから、褒めることしか出来なかった。子どもはみんな可能性を持っているが、それは誰も分からない。分からないのに、ダメとかムリとか、親の方から子どもの可能性を潰していないだろうか。子どもは親に無条件で褒めてもらいたいのだ。頑張った70点なら充分だ。上から目線で言ってはダメ。やりたいことをやらせてあげる、それが親に出来ることといつ子さんは言う。その通りだと思う。

コメント
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