姉の見舞いに出かける日だったけれど、出かけることが出来なかった。出かける準備をしていた時、救急車がやって来た。近頃、マンションに救急車がよく来る。見ていると、私が出入りしている玄関の前で止まった。また、誰か高齢の人が運ばれていくのか、そう思いながら救急隊の動きを眺めていた。カミさんは胸騒ぎがしたのか、「ちょっと行ってくる」と飛び出していった。
なかなか戻ってこないから、知り合いだったのだろう。しばらくすると戻ってきて、「すぐ、電話してあげて」と友だちの名前を言う。「あなたのケイタイにも登録してあるから、あなたから電話した方が説明も出来るよ」と答える。マンションで誕生日会をしている友だちで、心臓が悪いとは聞いていたけれど、まさか救急車で運ばれるとは私もカミさんも思っていなかった。
「意識はあったけど‥」と言うが、カミさんはかなり動揺している。「一緒に救急車に乗っていった方がよかったかしら」と戻ってきてしまっているのに言う。ダンナの方に連絡できたが、言っているのを聞いていると支離滅裂だ。「今、救急車は出て行くところ。右の方へ行ったけど」。右とか左では聞いている友だちも分からないだろう。「右と言うと、北?」と私が聞くと、「そう、右」と言う。北なら市民病院だろうが、とにかくダンナの方からの連絡を待つより他ない。
先日、カミさんがスーパーに買い物に行って、駐車場から出ようとしていると、信号も赤だったので男性が運転する車が止まってくれた。出ようとすると、そこへもう1台、高齢の男性が運転する車が来て、停車していた車にぶつかったそうだ。「自分のために止まってくれたのに、申し訳ないことをしてしまった」とカミさんは言う。
私の追突事故といい、カミさんが目の前で見た事故といい、なぜか嫌なことが続いている。そう思っていたら、今度はカミさんが花屋の駐車場から出た後、右側を走行している。「オイオイ、右側だよ」と教えると、「あらっ」と自分でもビックリしている。高齢者の運転事故が多いのは、こういうことなのかと思う。友だちは幸いにも何事もなかった。月曜日にもう一度診察を受けると言う。