強い風が吹いているのに、日差しは強く、車の中にいると暑いくらいだ。今日は中学校の卒業式で、そう思われる子どもたちを何人か見かけた。初々しく、希望に満ちているように見えるのは、見る側がそう思ってしまうからだろう。卒業式の様子をテレビが放映していたが、男の子も女の子も結構泣いていた。卒業式で泣けるほど思い出深い学校生活だったかと羨ましく思った。卒業式で泣いたことのない私は感性が鈍いのか、いつも淡々とした記憶しかない。
名古屋市の小学校が部活動を廃止するという。小学校の高学年や中学校で、部活動に全員を強制的に参加させるようになったのはいつからだろう。私の中学校の卒業アルバムを見ても、ブラスバンド部、放送部、図書館委員、サッカー部、バレーボール部、バスケット部、ソフトボール部、野球部、庭球部、卓球部、柔道部、弓道部、剣道部しかなくて、部活動は個人の自由だったが、それでも熱心に取り組んでいたと思う。
小学校は今のような一斉下校など無かったから、授業が終われば学校で遊ぶ者もいたが、大半はそれぞれの家に向かった。私は校区外から通っていたこともあり、いつも一人だったので、あちらこちら街中を見て帰った。街の3店の本屋さんを見て回るのが好きだったし、通りがどのようになっているのかが見たくて、別の道を選んで歩いた。芸者さんたちが住んでいる一角は三味線の音が聞こえるばかりか、時にはきれいな人に出会うこともあった。
学校帰りにブラブラと街中を歩いていたら、今なら注意されてしまうだろう。共働きの家庭が増え、家に帰っても誰もいないことから、全員を部活動で学校に残すようになったのかも知れない。子どもはそれで守られているのだろうが、何もしないでウロチョロする時間や友だちの家に遊びにいく時間が今の子どもには無い。どうせ家に居ても、タブレットとにらめっこしているのだから、子どもたちに自由な時間など不要なのだろう。物を作ったり、絵を描いたり、本を眺めたり、そんな時代ではないと言われそうだ。