昨日はリーダーシップを讃えましたが、実際には政治家には華々しいあるいは偉大なリーダーシップをそれほど期待すべきではないと思っています。小泉さんはちょっと例外で、そもそも政治家は異なる利害を調整するところに存在意義がある職業であり、利害が複雑に交錯する現代社会にあっては、単純にリーダーシップに瞠目するような場面があるとは想像できません。むしろ小国が危機的な状況にある時こそ、リーダーシップは映えるものでしょう。かつて学生時代の国際政治学の教授が、偉大な政治家として思い浮かぶのは例えばチトーやネールだが、だからと言って、それらの国が豊かに繁栄したかと言うとそうでもないし、逆にアメリカのような偉大な国だからと言って偉大なリーダーがいたわけでもないというようなことを言われていたのを思い出します。
鳩山さんや民主党にも偉大なリーダーシップは期待しません。むしろ、自民党政権と違うことを強調せんがために、華々しいリーダーシップを発揮して、奇抜な政策を実現しようと取り組むのを目の当たりにすると当惑しますし、害にもなりかねません。中小企業や住宅ローン利用者に対する返済猶予のモラトリアム法案を実現しようとするのもそうですし、郵政民営化を凍結して官営化に逆戻りさせかねない動きもそうで、金融社会主義に舵を切られると、資本市場としての日本の競争力を殺ぐことになりはしないかと懸念します。また、先日、新産業の創出などによる景気浮揚に向けて経済成長戦略を年内に策定する方針を固めたことが報じられましたが、重点分野の二番目と三番目に「環境」と「子ども」があるのは良いとして、「雇用」を筆頭に挙げていたのには、どうにも違和感を禁じえません。勿論、生活を守る、雇用を守ることは大事なことで、党のキャッチフレーズとしては結構ですが、経済成長戦略の筆頭に「雇用」を置いて、介護や農林業の分野で雇用創出策を強化するというのは、明らかに本末転倒ではないでしょうか。
雇用は生産の派生需要であるのが経済学の基本です。人を雇うために、あるいは雇用を増やすために事業を行なうものではなく、あくまである事業を実現するために人や金を集めて起業し、利益を出して税金を払うことによって地域社会に貢献するのが会社の基本的な姿です。勿論、CSRが謳われて久しいですし、ステーク・ホルダーを満足させることが重要だと主張されるご時世で、それを心がけることが良い経営であるのは間違いありませんが、その逆を当たり前に求めるのは無理筋というものです。それが自由市場のあるべき姿です。もっとも従業員を大事にしない会社は永続しないしいずれ淘汰されるであろうこともまた自由市場の現実だと思いますが、それは別の次元の議論です。先ずは成長戦略ありき。日本航空に見られるように、損失を垂れ流す企業をそのまま存続させれば、最後に割りを食うのは国民であり税金です。福祉社会を実現する北欧諸国でも、弱い企業を存続させるようなことはまかり間違ってもありません、強い企業を育て経済を牽引させることがベースにあります。
私たちが鳩山さんや民主党に期待するのは、自民党がやったことと違うこと(What)をやることではなく、自民党と違うやり方(How)をやることでしょう。自民党がやったことで正しいことはそのまま引き継げば良いし、無理に違いを演出する必要はありません。違うやり方の一つは、事業仕分けに見られるように、官僚主導ではなく政治家主導で行なう政治であり、もう一つ重要なことは、現在、私たちが直面する問題の原因をどのように考えるべきか、データや数字を使いながら明らかにすることです。原因(症状)を明らかにしてこそ、その対策(処方)の妥当性も判断できます。ただ小泉改革のせいで格差が拡大したと言われても俄かには信じられませんし、貧富の差と言われても実感が湧かないのが正直なところです。派遣切りの問題も数字できっちり議論して、どこに問題があったかを明らかにすべきでしょう。そういう意味で、私たちが期待するのは、派手なリーダーシップではなく、地道でごくありきたりのリーダーシップだと思うのです。
上の写真は、アートの続編、今から109年前、西暦1900年のリトグラフのカレンダーです。アール・ヌーボー調が良いですね。
鳩山さんや民主党にも偉大なリーダーシップは期待しません。むしろ、自民党政権と違うことを強調せんがために、華々しいリーダーシップを発揮して、奇抜な政策を実現しようと取り組むのを目の当たりにすると当惑しますし、害にもなりかねません。中小企業や住宅ローン利用者に対する返済猶予のモラトリアム法案を実現しようとするのもそうですし、郵政民営化を凍結して官営化に逆戻りさせかねない動きもそうで、金融社会主義に舵を切られると、資本市場としての日本の競争力を殺ぐことになりはしないかと懸念します。また、先日、新産業の創出などによる景気浮揚に向けて経済成長戦略を年内に策定する方針を固めたことが報じられましたが、重点分野の二番目と三番目に「環境」と「子ども」があるのは良いとして、「雇用」を筆頭に挙げていたのには、どうにも違和感を禁じえません。勿論、生活を守る、雇用を守ることは大事なことで、党のキャッチフレーズとしては結構ですが、経済成長戦略の筆頭に「雇用」を置いて、介護や農林業の分野で雇用創出策を強化するというのは、明らかに本末転倒ではないでしょうか。
雇用は生産の派生需要であるのが経済学の基本です。人を雇うために、あるいは雇用を増やすために事業を行なうものではなく、あくまである事業を実現するために人や金を集めて起業し、利益を出して税金を払うことによって地域社会に貢献するのが会社の基本的な姿です。勿論、CSRが謳われて久しいですし、ステーク・ホルダーを満足させることが重要だと主張されるご時世で、それを心がけることが良い経営であるのは間違いありませんが、その逆を当たり前に求めるのは無理筋というものです。それが自由市場のあるべき姿です。もっとも従業員を大事にしない会社は永続しないしいずれ淘汰されるであろうこともまた自由市場の現実だと思いますが、それは別の次元の議論です。先ずは成長戦略ありき。日本航空に見られるように、損失を垂れ流す企業をそのまま存続させれば、最後に割りを食うのは国民であり税金です。福祉社会を実現する北欧諸国でも、弱い企業を存続させるようなことはまかり間違ってもありません、強い企業を育て経済を牽引させることがベースにあります。
私たちが鳩山さんや民主党に期待するのは、自民党がやったことと違うこと(What)をやることではなく、自民党と違うやり方(How)をやることでしょう。自民党がやったことで正しいことはそのまま引き継げば良いし、無理に違いを演出する必要はありません。違うやり方の一つは、事業仕分けに見られるように、官僚主導ではなく政治家主導で行なう政治であり、もう一つ重要なことは、現在、私たちが直面する問題の原因をどのように考えるべきか、データや数字を使いながら明らかにすることです。原因(症状)を明らかにしてこそ、その対策(処方)の妥当性も判断できます。ただ小泉改革のせいで格差が拡大したと言われても俄かには信じられませんし、貧富の差と言われても実感が湧かないのが正直なところです。派遣切りの問題も数字できっちり議論して、どこに問題があったかを明らかにすべきでしょう。そういう意味で、私たちが期待するのは、派手なリーダーシップではなく、地道でごくありきたりのリーダーシップだと思うのです。
上の写真は、アートの続編、今から109年前、西暦1900年のリトグラフのカレンダーです。アール・ヌーボー調が良いですね。