風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

資源

2009-11-23 23:27:10 | 時事放談
 昨日、リチウムのことを書きながら、ちょっとだけ気になったことがありました。海水にはリチウムがほとんど無尽蔵だという話を引用しましたが、もしこのリチウムを海水から採取するようになると、海水の組成が微妙に変わり、海中に住む生物に微妙な影響を与えるのではないか。
 ご存知の通り、地球という閉じた生態系の中で、元素は不変で、形を変えながら循環しています。中学時代の理科の授業で習ったように、科学反応式の左右で(化学変化の前後で)元素が変わるわけではなく、原始や分子の数も等しい。紙を燃やすといった行為により、モノが目の前から消えたように見えても、原子レベルで見れば消えてなくなるわけではなく、くっついたり離れたりしながら別の物資に形を変えているだけです。
 身近な例では、地中に固定化されていた化石燃料を採掘し燃やすという化学変化によって空気中に放出する結果、二酸化炭素量が増大して大気の組成が変わり大騒ぎしているわけです。海水については、人類はこれまでも食塩などを取り出して利用して来ましたが、食品として消化する行為に限ると、排泄したり死して自然に還るという形で、長い目で見て循環していたと言えます。しかし今後は海中から採り出した物質(例えばリチウム)を、化石燃料の逆に、地上で固定化するとすれば、海水の組成を変えることになります(既に海洋資源の中にはそういう事例があるのかも知れませんが)。
 同じ観点から気になるのは、月や火星から鉱物資源を地球に持ち込むプロジェクトです。これは、元素不変の法則そのものへの挑戦であって、もはや地球は閉じた生態系とは言えなくなります。人口が増大し、地球環境に影響を与えるほどに人間の行動が拡大しているとは言え、地球は大きい。杞憂、ただの戯言に終わることを祈ります。
 上の写真は、一見ペンギンに似ていますが、哺乳類でありながら卵を産む珍種として知られるカモノハシ。この動物の標本が初めてヨーロッパに紹介された時には、複数の動物を組み合わせて作られた偽造標本だと疑われたほどです。こうした生物の神秘を守りたいものです。オーストラリアNo.1の水族館と言われるシドニー水族館にて。
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