クニマスが70年ぶりに発見されたことが報道されたのは、つい一週間ほど前のことでした。ニュースを紐解いてまとめると、きっかけは、「さかなクン」が知人の京大・中坊教授から、田沢湖の固有種で絶滅したとされるクニマスの姿を再現するイラストを描くことを依頼されたことで、ホルマリン漬けの標本では、ひれやウロコがわかりにくいので、「ヒメマスと比べたら」との教授のアドバイスに従い、知り合いの漁師に頼んで各地のヒメマスを取り寄せたところ、山梨県・西湖から特徴が違う魚が届けられたため、教授のところに持ち込んで遺伝子分析までして調べてもらったところ、ヒメマスと交雑した亜種ではなく、クニマスそのものであることが確認された、というものでした。
魚類学のことはズブの素人で、クニマスと言われても聞いたことがなく、環境省のレッドリストに絶滅種として記載された魚が再発見されたのは初めてだということの重大さに至っては評価のしようがありません。ただ、その快挙にタレントの「さかなクン」が関与していたことに驚き、その「さかなクン」が京大教授を知人にもつ東京海洋大学客員准教授だったとことに二度驚き、魚類学上の新発見とタレントの掛け合わせでニュース・バリューが増したのだろう程度にしか思っておらず、そう言えば「さかなクン」は、ひれやウロコの数まで拘りながら正確な絵を描くのが上手だったことを思い出し、今回もその拘りが新発見に繋がったことを思い、好きこそものの上手とはこういうことかと、些か長屋のご隠居さんのように、半ば達観して感心しつつ、半ば他人事のように聞き流していました。
ところが今日になって、今度は天皇陛下の口から「さかなクン」の名前が出てきたことに、三度驚かされました。この一年を振り返って、社会問題の中から印象に残ったことを語る中で、「クニマス発見に大きく貢献され、近くクニマスについての論文を発表される京都大学中坊教授の業績に深く敬意を表するとともに、この度のクニマス発見に東京海洋大学客員准教授さかなクン始め多くの人々が関わり、協力したことをうれしく思います」と、快挙を称えるとともに、12歳の時に、大島正満博士の著書「少年科学物語」の中に、田沢湖のクニマスは酸性の水の流入により、やがて絶滅するであろうということが書かれてあるのを読んだ、という思い出話にまで言及され、陛下の魚類学者らしい関心の高さを示されたのでした。
実は天皇陛下と「さかなクン」は知らない仲ではなかったことが、産経新聞のニュースで分かりました。昨年10月、東京海洋大学品川キャンパスで、陛下自ら会員として活動している日本魚類学会の年会に、あくまで会員の一人の学者として出席された際、「さかなクン」も同席し、夕方の懇親会で、周囲に促された「さかなクン」が陛下の近くに移動し、初対面が実現したそうです。僅かに2分弱、懇親会後の取材で「さかなクン」は「緊張しました~」を連発し、陛下とのやり取りはよく覚えていないようでしたが、関係者によると、「さかなクン」が学会の資料に魚のイラストを寄せたことを話すと、陛下は「あなたが描かれたんですね」と応じてページをめくられたといい、子供たちに魚の魅力を伝える活動をしていることを「さかなクン」が言うと、陛下は感心されていたそうで、その間、トレードマークのハコフグの帽子をかぶったままだったそうですから、陛下もさぞ心和まれたことでしょう。
芸は身を助く、とは言い過ぎですが、天皇陛下に親しくお言葉をかけられ、喜寿の誕生日会見で名指しまでされて、男をあげたなあ(というのも言い過ぎですが)と、これまた長屋のご隠居さんのように、半ば羨ましく、半ば他人事のように感心したのでした。「さかなクン」の顔がますます魚に似てきたように思うのは、私だけでしょうか。
魚類学のことはズブの素人で、クニマスと言われても聞いたことがなく、環境省のレッドリストに絶滅種として記載された魚が再発見されたのは初めてだということの重大さに至っては評価のしようがありません。ただ、その快挙にタレントの「さかなクン」が関与していたことに驚き、その「さかなクン」が京大教授を知人にもつ東京海洋大学客員准教授だったとことに二度驚き、魚類学上の新発見とタレントの掛け合わせでニュース・バリューが増したのだろう程度にしか思っておらず、そう言えば「さかなクン」は、ひれやウロコの数まで拘りながら正確な絵を描くのが上手だったことを思い出し、今回もその拘りが新発見に繋がったことを思い、好きこそものの上手とはこういうことかと、些か長屋のご隠居さんのように、半ば達観して感心しつつ、半ば他人事のように聞き流していました。
ところが今日になって、今度は天皇陛下の口から「さかなクン」の名前が出てきたことに、三度驚かされました。この一年を振り返って、社会問題の中から印象に残ったことを語る中で、「クニマス発見に大きく貢献され、近くクニマスについての論文を発表される京都大学中坊教授の業績に深く敬意を表するとともに、この度のクニマス発見に東京海洋大学客員准教授さかなクン始め多くの人々が関わり、協力したことをうれしく思います」と、快挙を称えるとともに、12歳の時に、大島正満博士の著書「少年科学物語」の中に、田沢湖のクニマスは酸性の水の流入により、やがて絶滅するであろうということが書かれてあるのを読んだ、という思い出話にまで言及され、陛下の魚類学者らしい関心の高さを示されたのでした。
実は天皇陛下と「さかなクン」は知らない仲ではなかったことが、産経新聞のニュースで分かりました。昨年10月、東京海洋大学品川キャンパスで、陛下自ら会員として活動している日本魚類学会の年会に、あくまで会員の一人の学者として出席された際、「さかなクン」も同席し、夕方の懇親会で、周囲に促された「さかなクン」が陛下の近くに移動し、初対面が実現したそうです。僅かに2分弱、懇親会後の取材で「さかなクン」は「緊張しました~」を連発し、陛下とのやり取りはよく覚えていないようでしたが、関係者によると、「さかなクン」が学会の資料に魚のイラストを寄せたことを話すと、陛下は「あなたが描かれたんですね」と応じてページをめくられたといい、子供たちに魚の魅力を伝える活動をしていることを「さかなクン」が言うと、陛下は感心されていたそうで、その間、トレードマークのハコフグの帽子をかぶったままだったそうですから、陛下もさぞ心和まれたことでしょう。
芸は身を助く、とは言い過ぎですが、天皇陛下に親しくお言葉をかけられ、喜寿の誕生日会見で名指しまでされて、男をあげたなあ(というのも言い過ぎですが)と、これまた長屋のご隠居さんのように、半ば羨ましく、半ば他人事のように感心したのでした。「さかなクン」の顔がますます魚に似てきたように思うのは、私だけでしょうか。