スティーブ・ジョッブズが亡くなる前の晩、たまたま、明石家さんまの「超ほんまでっか!?」という番組に澤穂希が出ているのを見つけて、つい、チャネルを変える手を止めて見入りました。悩み相談のような形で、リズム感がとびっきり悪くて、チームでリズム運動をしていても周囲に付いていけないのだと、それほど深刻に悩む風もなく、自棄になっているわけでもなく、他人事のように淡々と話すのを聞いた会場には、世界の澤が!?と衝撃が走り、お茶の間でも、えっ!?ほんまかいな・・・!と、さんまではなくても、その意外性に驚いたことでしょう。これに対して、様々な分野の”評論家”を自称する人たちが、好き勝手に自論を述べていくのですが、最初の内は、そりゃ大変!とばかりに、澤のリズム感を試すテストをやったり、どうやったらリズム感が良くなるかという雰囲気に包まれて番組は進行するのですが、ある人が別のことを言ってから完全に潮目が変わりました。他人と違う澤独自のリズム感でやっているからこそ、周囲を圧倒するパフォーマンスを発揮しているのかも知れないのだから、わざわざ矯正する必要などない、澤は澤のままでいい、というような骨子で、いつの間にか議論は現状容認に収斂し、むしろ積極支持で落着しました。
澤は、澤のリズムでサッカーをやっている・・・そこまでは良いとして、実は澤は普通の人のリズム感にはついて行けない、他人とは明らかに違う(一見、劣った)動きをする、というところが驚きなわけですが、更に一般には劣っていると見えることが知らず知らずに強みに転じているかも知れないところが、面白い。勿論、リズム感が抜群に良いサッカー選手がいて、それで他を圧倒していることもあるでしょう。要は、それぞれに持ち味があるということなのだろうと思います。アメリカなどは、まさに徹底したエリート教育、悪いところには大して注目しないで放ったらかし、むしろ強いところを徹底して追求させるのだろうと想像されるのは、大リーグなどのように、とんがった才能を磨いて勝負している世界を見ていて思います。選手それぞれに個性があって、実にユニーク。コツコツ悪いところを矯正しているヒマはないのでしょう。月並みな言い方ですが、和を尊び、出る杭を嫌う、潔癖症の日本人にはなかなか出来ない教育(むしろ放任)だと思います。そのお蔭で日本では国民全般の民度が高くなっているわけで、一概にどれが良いとも悪いとも言えませんが、個性がやや乏しくなるのはやむを得ないのかも知れません(澤のような例が、さんまの番組で注目を浴びる所以です)。
話はタイトルに戻りますが、スティーブ・ジョッブズはアメリカという土地柄のそういった大らかさを体現していたのだろうと思います。幸せかどうかなどまるで関心がなく、自らの心のままに、自らが愛することに打ち込み、長くない人生を駆け抜けて行った。彼が6年前にスタンフォード大学で行ったスピーチは、”Stay Hungry. Stay Foolish.”と言ったことで有名ですが、全体を通して、彼の人生と重ね合わせて味わい深く、恐らく歴史に残る名スピーチに数えられるでしょう(日本にはありませんが、欧米では名演説を集めた本をよく見かけます)。是非、原文を読んで頂きたいと思います(Stanford大学のサイトにある文章は彼自身が語った言葉と微妙に違うと言われていますが)。その中に次のような一節があります。
Remembering that I'll be dead soon is the most important tool I've ever encountered to help me make the big choices in life. Because almost everything — all external expectations, all pride, all fear of embarrassment or failure — these things just fall away in the face of death, leaving only what is truly important. Remembering that you are going to die is the best way I know to avoid the trap of thinking you have something to lose. You are already naked. There is no reason not to follow your heart.
彼がすい臓がんで余命三~六ヶ月と診断され、その後、手術して復帰して間もなくの頃のことだったので、死を巡る考えが色濃く反映されていますが(もともと禅に傾倒した仏教徒で、ベジタリアンでもあるらしい)、スピーチの中で何度か出てくる、自分の内なる声、心、直観に忠実であれ、という言葉が心に染みます。
Stanford大学URL: http://news.stanford.edu/news/2005/june15/jobs-061505.html
澤は、澤のリズムでサッカーをやっている・・・そこまでは良いとして、実は澤は普通の人のリズム感にはついて行けない、他人とは明らかに違う(一見、劣った)動きをする、というところが驚きなわけですが、更に一般には劣っていると見えることが知らず知らずに強みに転じているかも知れないところが、面白い。勿論、リズム感が抜群に良いサッカー選手がいて、それで他を圧倒していることもあるでしょう。要は、それぞれに持ち味があるということなのだろうと思います。アメリカなどは、まさに徹底したエリート教育、悪いところには大して注目しないで放ったらかし、むしろ強いところを徹底して追求させるのだろうと想像されるのは、大リーグなどのように、とんがった才能を磨いて勝負している世界を見ていて思います。選手それぞれに個性があって、実にユニーク。コツコツ悪いところを矯正しているヒマはないのでしょう。月並みな言い方ですが、和を尊び、出る杭を嫌う、潔癖症の日本人にはなかなか出来ない教育(むしろ放任)だと思います。そのお蔭で日本では国民全般の民度が高くなっているわけで、一概にどれが良いとも悪いとも言えませんが、個性がやや乏しくなるのはやむを得ないのかも知れません(澤のような例が、さんまの番組で注目を浴びる所以です)。
話はタイトルに戻りますが、スティーブ・ジョッブズはアメリカという土地柄のそういった大らかさを体現していたのだろうと思います。幸せかどうかなどまるで関心がなく、自らの心のままに、自らが愛することに打ち込み、長くない人生を駆け抜けて行った。彼が6年前にスタンフォード大学で行ったスピーチは、”Stay Hungry. Stay Foolish.”と言ったことで有名ですが、全体を通して、彼の人生と重ね合わせて味わい深く、恐らく歴史に残る名スピーチに数えられるでしょう(日本にはありませんが、欧米では名演説を集めた本をよく見かけます)。是非、原文を読んで頂きたいと思います(Stanford大学のサイトにある文章は彼自身が語った言葉と微妙に違うと言われていますが)。その中に次のような一節があります。
Remembering that I'll be dead soon is the most important tool I've ever encountered to help me make the big choices in life. Because almost everything — all external expectations, all pride, all fear of embarrassment or failure — these things just fall away in the face of death, leaving only what is truly important. Remembering that you are going to die is the best way I know to avoid the trap of thinking you have something to lose. You are already naked. There is no reason not to follow your heart.
彼がすい臓がんで余命三~六ヶ月と診断され、その後、手術して復帰して間もなくの頃のことだったので、死を巡る考えが色濃く反映されていますが(もともと禅に傾倒した仏教徒で、ベジタリアンでもあるらしい)、スピーチの中で何度か出てくる、自分の内なる声、心、直観に忠実であれ、という言葉が心に染みます。
Stanford大学URL: http://news.stanford.edu/news/2005/june15/jobs-061505.html