日本人はラーメンが好きですね。海外で紹介される代表的な日本食は、寿司と天ぷらですが、それは外国人にも理解されやすい典型的な日本としてのフジヤマとサムライとゲイシャの類いで、フジヤマはともかく、いまどきサムライもゲイシャもないでしょう。日本人が好む日本食、いわば国民食と言ってもよいのは、ラーメンが一番ではないかと思います。麺のシャキシャキ感もさることながら、スープへのこだわりは並々ならぬものがあります。中華料理に端を発しながら、中華料理の範疇を越えて日本独自の進化をとげて立派な日本食の地位を獲得したという意味は、この「スープだし」へのこだわりにあり、「ダシが命」の和食の系列で発展を遂げているからに他なりません。もっとも寿司も、回転ずしという業態に託けて、高級品を庶民の口に引き摺りおろしたので、今や国民食は寿司とラーメンと言うべきかも知れません。
さて表題で「ラーメンに目覚める」と言ったのは、何も今頃ラーメンが好きになったという意味ではなく、私もラーメンが好きなことでは人後に落ちるものではありません。むしろ味へのこだわりには人一倍とも思っています。ただ、食べ方が間違っていたのではないか・・・と、恥ずかしながら、今さらのように気が付いたのです。きっかけは、土曜日夕方の「所さんの目がテン!」というTV番組で、半ばアホらしいと(関西人のニュアンスでは、関東の人が「馬鹿馬鹿しい」と言うほどの重さはありませんし、何より愛情がこもっています、為念)思いつつ、実証主義へのこだわりが好ましく、好きでよく見ます。ある時の実験で、フランス人は熱いラーメンを食べることが出来ないという、単純な、しかし重要な事実に気づかされました。そもそも西洋料理のスープはそれほど熱くないので、すました顔で音も立てずにさらりと飲むことが出来るのですが、彼らが熱々のラーメンを食べるには、麺に空気を当てて冷ませながら食べるしかないので、やたらと時間がかかる。日本人なら、ずるずるとかけ込んであっという間に食べ切ってしまうところですが、実はこの「ずるずる」には、空気も一緒にかけ込むことによってスープが直に舌に接触するのを抑え、熱さを緩和する意味合いがあったようなのです。フランス人は、そして実は私も、西洋料理でスープを飲む時に、ソバやラーメンを啜る時のように「ずるずると音を立てるのは下品」だと言われて育って、フランス人には「ずるずる」の食べ方がそもそも出来ないようですし、私も、猫舌も手伝って、汁っ気を減らして、味が薄くなった麺をさらさらっとかけ込んで来ました。それこそ半世紀近くにもわたって・・・(年齢に直結する話なので曖昧に・・・)。ところが最近、この番組のことを思い出して、箸でつかんだ麺をそのまま(ふうふう冷ましながら汁を減らすことなく)汁ごと「ずるずる」っとやってみると、汁の味がしみて、これまでにも増して美味いではありませんか。考えてみれば当たり前のことですが、なんたる不覚。この半世紀という長い年月を味気なく費やしてきたことの悔恨・・・。
思い出したのは「郷に入っては郷に従え」の格言です。日本で日本のソバやラーメンを食べるなら、妙な西洋かぶれは捨てて、思い切り「ずるずる」を楽しむがよろし。猫舌も恐れるに足らず。これに気づいたのは、周囲の目を気にしなくなった年齢のせいでもありますが。
さて表題で「ラーメンに目覚める」と言ったのは、何も今頃ラーメンが好きになったという意味ではなく、私もラーメンが好きなことでは人後に落ちるものではありません。むしろ味へのこだわりには人一倍とも思っています。ただ、食べ方が間違っていたのではないか・・・と、恥ずかしながら、今さらのように気が付いたのです。きっかけは、土曜日夕方の「所さんの目がテン!」というTV番組で、半ばアホらしいと(関西人のニュアンスでは、関東の人が「馬鹿馬鹿しい」と言うほどの重さはありませんし、何より愛情がこもっています、為念)思いつつ、実証主義へのこだわりが好ましく、好きでよく見ます。ある時の実験で、フランス人は熱いラーメンを食べることが出来ないという、単純な、しかし重要な事実に気づかされました。そもそも西洋料理のスープはそれほど熱くないので、すました顔で音も立てずにさらりと飲むことが出来るのですが、彼らが熱々のラーメンを食べるには、麺に空気を当てて冷ませながら食べるしかないので、やたらと時間がかかる。日本人なら、ずるずるとかけ込んであっという間に食べ切ってしまうところですが、実はこの「ずるずる」には、空気も一緒にかけ込むことによってスープが直に舌に接触するのを抑え、熱さを緩和する意味合いがあったようなのです。フランス人は、そして実は私も、西洋料理でスープを飲む時に、ソバやラーメンを啜る時のように「ずるずると音を立てるのは下品」だと言われて育って、フランス人には「ずるずる」の食べ方がそもそも出来ないようですし、私も、猫舌も手伝って、汁っ気を減らして、味が薄くなった麺をさらさらっとかけ込んで来ました。それこそ半世紀近くにもわたって・・・(年齢に直結する話なので曖昧に・・・)。ところが最近、この番組のことを思い出して、箸でつかんだ麺をそのまま(ふうふう冷ましながら汁を減らすことなく)汁ごと「ずるずる」っとやってみると、汁の味がしみて、これまでにも増して美味いではありませんか。考えてみれば当たり前のことですが、なんたる不覚。この半世紀という長い年月を味気なく費やしてきたことの悔恨・・・。
思い出したのは「郷に入っては郷に従え」の格言です。日本で日本のソバやラーメンを食べるなら、妙な西洋かぶれは捨てて、思い切り「ずるずる」を楽しむがよろし。猫舌も恐れるに足らず。これに気づいたのは、周囲の目を気にしなくなった年齢のせいでもありますが。