前回、ホンダNSXがアメリカで開発・生産されるという話をしました。こうした製品は“Made by Japan”(日本企業製)と呼ばれるようです。「連結経営的に日本全体の経済をとらえ、海外投資収益などを日本国内に還流させ、先端的な技術革新に結びつけていく戦略」(日本経団連、2003年)として呼び習わしたもののようで(http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/vision2025.html)、恥ずかしながら私は、先日、ブックオフで見かけた本のタイトルで初めて知りました。ご存じの通り、1960年代から80年代にかけて、“Made in Japan”(日本製)の衣料品に始まり家電製品や自動車が世界の消費市場を席巻しました。まさにこの“Made in Japan”をタイトルにした本をソニーの盛田昭夫会長がアメリカで出版し、「自社の海外進出の体験を通して日本とアメリカの経営思想の違いを明らかにし、独自の哲学を打ち出した」(アマゾン)のが1988年のことであり、それとは裏腹に、“Made in America”をタイトルにした本をマサチューセッツ工科大のレスター教授が出版し、米国の製造業復活のための処方せんを著したのが1989年のことで、まさにバブル前夜で日本の製造業が絶頂の時代でした。
底知れないデフレ経済に喘いでいるのは、中国をはじめとする新興国とのグローバルな競争によるものだと信じられていますが、実は“Made by Japan”との競争だったりするのかも知れません。それはとりもなおさず日本人によって考案されたものであり、日本の精神文化や慣習によって裏打ちされたものです。これからの時代は、この“Made by Japan”が幅を利かせるのでしょうか。
翻って、ダルビッシュ有がレンジャーズと、日本球界史上最高の6年6000万ドルで契約調印に至りました。核開発を止めないイランに対する制裁を強めるばかりのアメリカにあって、彼がイラン人の父をもつことを心配しましたが、杞憂に終わったようです。他方、日本球界で三度の首位打者を獲得しながら、ブリュワーズ球団幹部の前でプレイを披露させられてようやく契約に漕ぎ着けた青木は、日本の年棒の三分の一に甘んじながら、夢に賭けます。彼らは、アニメ同様、今なお世界を席巻する、ちょっと手垢にまみれた“Made in Japan”そのもの。まだまだこの“Made in Japan”を信じたい。
底知れないデフレ経済に喘いでいるのは、中国をはじめとする新興国とのグローバルな競争によるものだと信じられていますが、実は“Made by Japan”との競争だったりするのかも知れません。それはとりもなおさず日本人によって考案されたものであり、日本の精神文化や慣習によって裏打ちされたものです。これからの時代は、この“Made by Japan”が幅を利かせるのでしょうか。
翻って、ダルビッシュ有がレンジャーズと、日本球界史上最高の6年6000万ドルで契約調印に至りました。核開発を止めないイランに対する制裁を強めるばかりのアメリカにあって、彼がイラン人の父をもつことを心配しましたが、杞憂に終わったようです。他方、日本球界で三度の首位打者を獲得しながら、ブリュワーズ球団幹部の前でプレイを披露させられてようやく契約に漕ぎ着けた青木は、日本の年棒の三分の一に甘んじながら、夢に賭けます。彼らは、アニメ同様、今なお世界を席巻する、ちょっと手垢にまみれた“Made in Japan”そのもの。まだまだこの“Made in Japan”を信じたい。