今週は、全豪オープンの錦織圭の活躍から目が離せませんでした。四大大会で日本男子シングル選手がシード権を与えられたのは、今のランキング制が導入された1973年以来初めてで、全豪で日本男子がベスト8入りしたのは実に80年ぶりの快挙でした。
圧巻は、世界ランキング26位の彼が、6位のツォンガを、3時間30分のフルセットの末に破ったところでしょう。ディフェンスを強化してきた上に、昨年来取り組んできた新しいサーブ・フォームでスピードと安定感が増し、基本に立ち返ってバックを攻めてフォアを打たせないスタイルで、粘り勝ちしました。続くマレー戦では、股抜きショットで観客を沸かせましたが、ストレート負けし、実力差を感じながらも、しかし手応えを感じた試合でもあったようです。
彼のトレードマークでもある“エアK”について。数年前のアメリカの大会で、地元テレビ局が、フォアのジャックナイフを空中で打つ姿を”AIR KORI"と名付けたものが、日本で呼びやすいように変化したものだそうです。ボールが落ちる前の一番高い位置で打つので、相手の予想よりもタイミングが早くなり、エースが取りやすくて勢いに乗れると、本人も得意なショットにして来ました。これは彼のバランス感覚が優れていて身体の軸がぶれないからこそ可能なショットで、実際には身体に負担がかかって不安定なため、コーチからは止められていると言われています。現に昨年のウィンブルドンでは腹筋を傷めて棄権したこともありました。しかし彼の強さの秘密はむしろエアショットを打つ前の試合運びがうまくなったことにあると指摘する声があります。最近の躍進を見ると、なるほどと思わせます。
もう一つはシード権について。グランドスラムのシードは、全128名の出場選手中、上位32名に与えられる特権で、トーナメント・ドローの異なる山に振り分けられるので、3回戦まではシード権選手同士の直接対決はありません。そのため、「トップ選手にとって一週目は調整段階、二週目に入ると日に日に目の色が変わり、ギア・アップしていく」(クルム伊達)もので、「シードがつくことでグランドスラムへの入り方や、年間スケジュールの組み方がグッと楽になる」(杉山愛)とされます。実際に、準々決勝でぶつかったマレーは、最初の4試合の合計時間が7時間48分だったのに対し、錦織はシングルスだけで11時間48分、混合ダブルスも含めると14時間を超えていたそうです。本人が語る通り、「トップ4の選手たちは、ほとんどセットを落とすことなく勝ち上がってきている。それは、1週目は楽に勝つ力があるということ。このレベルに来て、グランドスラムを取るには、すごい実力が必要だということが分かった」ということです。結果として、「初戦の体力を100とするなら、今日は30~40くらい」(錦織)というエネルギーの差がそのままスコアに反映されたのかも知れません。昨年夏、日本男子で過去最高位だった松岡修造の46位に近づいていた時、彼は「30位台に入ると、安定した状態だと言えると思いますし、それがランキングをキープすることにもつながると思います」と、先ずは30位台に入ることが目標だと答えていたのは、まさにこうした事情を意識したものでしょう。今後、彼はシード権を常に狙える位置をキープして、良い循環に入っていくのではないでしょうか。
彼の活躍の陰には、誰かがいると言うより、子供の頃から抱いてきた「世界一になりたい」とい強い思いだという気がします。準々決勝で敗れたマリーを含むランキング上位4選手は、「ビッグ4」として別格の扱いを受ける存在ですが、かつての伊達君子に続き、男子でも彼ら「ビッグ4」に伍する選手が出てくる予感が、嬉しいです。
圧巻は、世界ランキング26位の彼が、6位のツォンガを、3時間30分のフルセットの末に破ったところでしょう。ディフェンスを強化してきた上に、昨年来取り組んできた新しいサーブ・フォームでスピードと安定感が増し、基本に立ち返ってバックを攻めてフォアを打たせないスタイルで、粘り勝ちしました。続くマレー戦では、股抜きショットで観客を沸かせましたが、ストレート負けし、実力差を感じながらも、しかし手応えを感じた試合でもあったようです。
彼のトレードマークでもある“エアK”について。数年前のアメリカの大会で、地元テレビ局が、フォアのジャックナイフを空中で打つ姿を”AIR KORI"と名付けたものが、日本で呼びやすいように変化したものだそうです。ボールが落ちる前の一番高い位置で打つので、相手の予想よりもタイミングが早くなり、エースが取りやすくて勢いに乗れると、本人も得意なショットにして来ました。これは彼のバランス感覚が優れていて身体の軸がぶれないからこそ可能なショットで、実際には身体に負担がかかって不安定なため、コーチからは止められていると言われています。現に昨年のウィンブルドンでは腹筋を傷めて棄権したこともありました。しかし彼の強さの秘密はむしろエアショットを打つ前の試合運びがうまくなったことにあると指摘する声があります。最近の躍進を見ると、なるほどと思わせます。
もう一つはシード権について。グランドスラムのシードは、全128名の出場選手中、上位32名に与えられる特権で、トーナメント・ドローの異なる山に振り分けられるので、3回戦まではシード権選手同士の直接対決はありません。そのため、「トップ選手にとって一週目は調整段階、二週目に入ると日に日に目の色が変わり、ギア・アップしていく」(クルム伊達)もので、「シードがつくことでグランドスラムへの入り方や、年間スケジュールの組み方がグッと楽になる」(杉山愛)とされます。実際に、準々決勝でぶつかったマレーは、最初の4試合の合計時間が7時間48分だったのに対し、錦織はシングルスだけで11時間48分、混合ダブルスも含めると14時間を超えていたそうです。本人が語る通り、「トップ4の選手たちは、ほとんどセットを落とすことなく勝ち上がってきている。それは、1週目は楽に勝つ力があるということ。このレベルに来て、グランドスラムを取るには、すごい実力が必要だということが分かった」ということです。結果として、「初戦の体力を100とするなら、今日は30~40くらい」(錦織)というエネルギーの差がそのままスコアに反映されたのかも知れません。昨年夏、日本男子で過去最高位だった松岡修造の46位に近づいていた時、彼は「30位台に入ると、安定した状態だと言えると思いますし、それがランキングをキープすることにもつながると思います」と、先ずは30位台に入ることが目標だと答えていたのは、まさにこうした事情を意識したものでしょう。今後、彼はシード権を常に狙える位置をキープして、良い循環に入っていくのではないでしょうか。
彼の活躍の陰には、誰かがいると言うより、子供の頃から抱いてきた「世界一になりたい」とい強い思いだという気がします。準々決勝で敗れたマリーを含むランキング上位4選手は、「ビッグ4」として別格の扱いを受ける存在ですが、かつての伊達君子に続き、男子でも彼ら「ビッグ4」に伍する選手が出てくる予感が、嬉しいです。