風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

69回目の夏・点描3

2014-08-22 02:09:48 | 日々の生活
 朝日や岩波などの所謂(かつての)「進歩的知識人」(は死語?)は贖罪意識で以て先の戦争を総括し、日本人の記憶に留めようと働きかけの手を緩めない一方で、TV報道を見ていると、若者を中心とする日本人全般にとって、先の戦争は益々遠いものになりつつある現実が垣間見えます。
 今や日本人の8割は戦後生まれなのだそうで、原爆被害をはじめ戦争を知る世代が鬼籍に入る一方なので、戦争の生の記憶が風化していくのはやむを得ないとしても、如何にその記憶を語り継ぐかが課題だと、NHKはじめさまざまなTV番組が取り上げていました。先週、NHKは街頭インタビューを紹介し、実に52%の若者が8月15日が何の日か答えられなかったと嘆いていたのは、街頭のそれがそのまま全国平均にはならないであろうにしても衝撃的な数字でした。69年前に終わった戦争で、一体、どこの国と戦っていたのか分からない、更に勝ったか負けたかすらも分からない・・・などという若者も少なくないことには、さすがに驚かされました。そのためにこそ、8月6日や9日の原爆記念日があり、15日の終戦記念日があったはずですが、平和ボケも極まれり、と言うべきか。かつての平和ボケは、念仏を唱えれば成仏できるのと同じように、たとえ備えがなくとも平和を唱えれば平和は守ることが出来る、言わば軍事力がなければ他国が攻めて来ないと(憲法前文のように)信じることが出来る観念的平和主義のおめでたさが、現実を知らない「呆け」だと言われていたわけですが、今の平和ボケは、ほんの70年前の戦争の歴史を知らない「呆け」とは・・・。
 ピケティを待つまでもなく経済格差が社会を二極化しつつあるように、戦争の意識も二極化しつつあるのでしょうか。健全な厚い中間層が日本の社会の強みでしたが、その中間層の崩壊が進んでいるようで、先が思いやられます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする