先月、インドネシアに出張したとき、模倣品、所謂コピー商品が多い国ランキングを聞いて、些か驚いた。私が就職した頃、それこそ30年位前は台湾や韓国がその中心だったが、今は1位バングラデシュ、2位インドネシア、3位中国なのだそうである。中国が1位じゃないのは、私の認識が甘いだけで、世の中はどんどん進んでいるようだ。7~8年前、ペナン島に駐在していた頃、出張者を連れてナイト・マーケットに行ったときに、ブランド品をコピーした時計を売っている店員に聞いたら、台湾製ムーブメントはA級品だと自慢げに語っていて、言うまでもなく中国製がB級品だったのに。それが今やバングラデシュである。ユニクロが進出したことが先ず浮かぶから、軽工業が離陸しつつあるステージにあるということだろうが、こうしてコピー大国が移ろうのは、世の流れである。
因みに米通商代表部が公表する「2014年スペシャル301条報告書」では、知的財産権保護が不十分などとして、中国を「優先監視国」に指定している。日本の特許庁が3月に発表した模倣被害調査報告書(2014年度)によると、日本企業の海外での模倣品被害を国・地域別にみると、中国が67.0%と最も多く、台湾、韓国がともに19.7%と同率2位となっており、同報告書は「特に中国、台湾、韓国、ASEANにおいて模倣被害が増加傾向であるとする回答が多い」と指摘している。バングラデシュやインドネシアまで監視の目が届いていないのかも知れない。
そんな中国をはじめとするサイバー攻撃は激しくなるばかりで、年金情報が流出したのは記憶に新しいが、さすがに経産省あたりも、日本の企業情報が盗まれることには神経を尖らせているようだ。中国は、これまで安い労賃を売りに、外資を誘致し世界の工場として経済発展を遂げてきたが、人件費高騰によってこの経済モデルは曲がり角に来ている。日本を追い越し世界第二の経済にまで成長したものの、自律エンジンがなく、中所得国の罠に陥って踊り場に来て焦る中国政府は、「ニューエコノミー(新常態)」と嘯き、表では中国に進出している外資企業の情報にアクセスする権利を主張する一方、裏ではサイバー攻撃により成長エンジンとなるべき技術情報の窃盗に余念がない。しかし技術情報は盗んだところで、そのときはいいが、技術を育てる人がいない限り、続かない。中国の故事にあるように、貧しい人には魚を与えるのではなく、魚の取り方を教えなければ、やっぱり一生、食うに困ることになるのである。果たして中国の工業生産力は持続可能なのであろうか。
韓国では、技術や職人を軽視する儒教文化が根強いこともあって、日本のようには中小企業における技術の蓄積が進まず、相変わらず財閥系企業のみが繁栄している。そんな韓国で、韓国製品の中国への輸出が減少しているという統計が発表され、波紋を呼んでいるとの報道があった。近年、中国における模造品や海賊版の品質が高くなっており、韓国に焦りが見えるらしい。韓国も中国も似たもの同士。果たして韓国の工業生産力も持続可能なのであろうか。
さて、日本では、円安により、生産の国内回帰の動きがあるが、概して技術者が高齢化しており、技術の伝承に苦労している企業が多く、技術立国も安穏としていられない状況にある。思えば、日本だって、モノマネしながら技術を身につけ、世界の工場にのしあがった。その地位を韓国・台湾さらには中国に譲って久しいが、それでもなお製造装置やキー・コンポーネントでは一日の長があって、中国や韓国から頼られている。東日本大震災のとき、中国が最初に言ったのは、お見舞いの言葉ではなく、「早く部品生産を回復してくれ」だったという(が、都市伝説か)。尖閣海域での漁船衝突事件の際、レアアース調達で中国にイジワルされて、代替製品の技術開発に努めたところ、中国のレアアース企業を倒産に追い込むまでになった。日本では自国防衛産業の再生に動き出しているのは主に原低が目的のようであるが、いくら同盟国からとは言え輸入する防衛装備品は二級品(一世代前の旧技術)であるのは至極当たり前の話で、それは中国がロシアから戦闘機を買う場合も、インドがロシアから潜水艦を買う場合も、同様であろう。しかし、それでは防衛力の点でいつまで経っても防衛装備品輸出国に追いつかない道理である。ことほど左様に、技術力は経済力だけでなく国力の源泉でもある。政権交代したときの民主党は、国民に金をばら撒く奇策を打って、世間をあっと言わせたが、そのまま消費に繋がるか疑問だったし、産業政策は貧弱だった。自民党政権で役所がまとめる産業政策に関する報告書は、民主党政権時代よりずっと充実しているそうである。経済の循環は、残念ながら自民党の伝統的政策のように先ず企業から・・・が王道なのかも知れない。
因みに米通商代表部が公表する「2014年スペシャル301条報告書」では、知的財産権保護が不十分などとして、中国を「優先監視国」に指定している。日本の特許庁が3月に発表した模倣被害調査報告書(2014年度)によると、日本企業の海外での模倣品被害を国・地域別にみると、中国が67.0%と最も多く、台湾、韓国がともに19.7%と同率2位となっており、同報告書は「特に中国、台湾、韓国、ASEANにおいて模倣被害が増加傾向であるとする回答が多い」と指摘している。バングラデシュやインドネシアまで監視の目が届いていないのかも知れない。
そんな中国をはじめとするサイバー攻撃は激しくなるばかりで、年金情報が流出したのは記憶に新しいが、さすがに経産省あたりも、日本の企業情報が盗まれることには神経を尖らせているようだ。中国は、これまで安い労賃を売りに、外資を誘致し世界の工場として経済発展を遂げてきたが、人件費高騰によってこの経済モデルは曲がり角に来ている。日本を追い越し世界第二の経済にまで成長したものの、自律エンジンがなく、中所得国の罠に陥って踊り場に来て焦る中国政府は、「ニューエコノミー(新常態)」と嘯き、表では中国に進出している外資企業の情報にアクセスする権利を主張する一方、裏ではサイバー攻撃により成長エンジンとなるべき技術情報の窃盗に余念がない。しかし技術情報は盗んだところで、そのときはいいが、技術を育てる人がいない限り、続かない。中国の故事にあるように、貧しい人には魚を与えるのではなく、魚の取り方を教えなければ、やっぱり一生、食うに困ることになるのである。果たして中国の工業生産力は持続可能なのであろうか。
韓国では、技術や職人を軽視する儒教文化が根強いこともあって、日本のようには中小企業における技術の蓄積が進まず、相変わらず財閥系企業のみが繁栄している。そんな韓国で、韓国製品の中国への輸出が減少しているという統計が発表され、波紋を呼んでいるとの報道があった。近年、中国における模造品や海賊版の品質が高くなっており、韓国に焦りが見えるらしい。韓国も中国も似たもの同士。果たして韓国の工業生産力も持続可能なのであろうか。
さて、日本では、円安により、生産の国内回帰の動きがあるが、概して技術者が高齢化しており、技術の伝承に苦労している企業が多く、技術立国も安穏としていられない状況にある。思えば、日本だって、モノマネしながら技術を身につけ、世界の工場にのしあがった。その地位を韓国・台湾さらには中国に譲って久しいが、それでもなお製造装置やキー・コンポーネントでは一日の長があって、中国や韓国から頼られている。東日本大震災のとき、中国が最初に言ったのは、お見舞いの言葉ではなく、「早く部品生産を回復してくれ」だったという(が、都市伝説か)。尖閣海域での漁船衝突事件の際、レアアース調達で中国にイジワルされて、代替製品の技術開発に努めたところ、中国のレアアース企業を倒産に追い込むまでになった。日本では自国防衛産業の再生に動き出しているのは主に原低が目的のようであるが、いくら同盟国からとは言え輸入する防衛装備品は二級品(一世代前の旧技術)であるのは至極当たり前の話で、それは中国がロシアから戦闘機を買う場合も、インドがロシアから潜水艦を買う場合も、同様であろう。しかし、それでは防衛力の点でいつまで経っても防衛装備品輸出国に追いつかない道理である。ことほど左様に、技術力は経済力だけでなく国力の源泉でもある。政権交代したときの民主党は、国民に金をばら撒く奇策を打って、世間をあっと言わせたが、そのまま消費に繋がるか疑問だったし、産業政策は貧弱だった。自民党政権で役所がまとめる産業政策に関する報告書は、民主党政権時代よりずっと充実しているそうである。経済の循環は、残念ながら自民党の伝統的政策のように先ず企業から・・・が王道なのかも知れない。