米国出張ですっぽり抜けた時間を埋めるために、この三週間の出来事をざっと振り返っていて、以前、朝鮮半島研究者が冗談交じりに(溜息混じりに)話していたことを思い出した。韓国より北朝鮮の方がよほど親日だ・・・と(笑)。この三週間に限らないが、韓国は相変わらず問題だらけだ(苦笑)。
韓国・聯合ニュースによると、日本人の旅行先調査で、韓国の順位は5位(2014年)→9位(2015年)→10位(2016年)と下がっているらしい。今年は北朝鮮の軍事的威嚇や円安でさらに下がる見通しだという。朝鮮近現代史研究所の松木國俊所長は、「文在寅政権になってから、日本への嫌がらせが加速した。文政権は米国と中国にペコペコして、独自の外交をできていない。経済もうまく回っていない。『支持を維持するためには反日しかない』という考えではないか。これでは、日本人の嫌韓感情が回復する見通しはない。『韓国に観光客を寄越せ』というのはとんでもない。自業自得だ」と話しているが、最近の韓国の動きを見ていると、まさにこの言葉に尽きるように思う。
「とんちんかん」は、反米市民団体が反トランプのデモを展開する中、トランプ大統領が、アメリカ大統領として25年ぶりに韓国を国賓訪問したときにも見られた。今さらではあるが、歓迎晩餐会で出された「独島エビ」と、「元従軍慰安婦・李容洙さんとのサプライズ抱擁」である。訪韓が訪日より一日短いと不満が渦巻いていたことは問わない。元従軍慰安婦・李容洙さんが京畿道広州市にある「ナヌムの家」に住む結構な活動家で、2000年に東京で行われた「国際戦犯法廷」に証人として参加したし、2007年に米下院で可決された「従軍慰安婦問題の対日謝罪要求決議」(米下院121号決議)の審議の席上でも、米国議員の前で泣き叫びながら証言を行ったほどの役者で、これまで語ってきた内容に矛盾が多いことでも知られることも、もはや問わない。韓国には「日本だってトランプ氏に拉致被害者家族を会わせたじゃないか」といった主張があるようだが、未解決で北朝鮮が絡む国際犯罪と、事実かどうか疑わしい、日韓政府間で「最終的かつ不可逆的な解決」を確認済みの問題を同列には並べられないし、政府間で調整・合意済みのイベントか完全なスタンドプレーかの違いもある。いずれにしても、トランプ大統領は、韓国でのいずれの演出に対しても大して関心を払わなかっただろう。なにしろアメリカ・ファーストで、訪韓目的は、北朝鮮の核・ミサイル開発問題と通商問題しか頭の中になかっただろうから。「とんちんかん」と思うのは日本人だけで、韓国内では、トランプ大統領の歓心を得られなくても気にしないはずだ。何しろ国民向けパフォーマンスとして成功したのだから。韓国では(中国もそうだが)、所詮、外交は内政の延長でしかないのだ。
また、文在寅大統領は習近平主席とベトナム・ダナンで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の場を利用して会談した。中韓関係の関係改善を図っていくことで一致したのはいいが、中国側の発表によると、THAAD追加配備は不可、米国のミサイル防衛システムへの不参加、日米韓の軍事同盟には発展しない、の三点に韓国側が合意した、と解釈されているらしい。THAAD問題で中国から散々嫌がらせを受けているとは言え、あんまりではないか。ウォールストリートジャーナル紙は、こうした文在寅大統領の「媚中」外交と、北朝鮮に融和的な「従北」姿勢を徹底批判し、文在寅大統領の掲げる「バランス外交」を「中国の圧力に直面し、自国や同盟国の安全保障に関して譲歩もいとわない姿勢は、バランス外交とは程遠いものだ」とし、「文氏が取った一連の行動は、(北朝鮮の)金正恩氏を包囲するための同盟関係を損なうものとなった」と、極めてまっとうな指摘をして、韓国内では大騒ぎになったらしいが、何をかいわんや、である。
もう一つオマケ。日韓両政府が昨年11月に締結した、防衛情報を共有する基礎となる「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」で、韓国側は北朝鮮の核・ミサイル開発以外の情報交流を拒んでいるらしい。日本側も、韓国側に米軍の情報能力を超える力がないと判断し、政治的な摩擦を避ける意図もあり、新たな情報交換の提案は行っていないらしい。このため、朝日新聞は、「朝鮮半島有事に至った際に日韓双方の被害を最小限に抑える手段を巡る意見交換や合同軍事演習の実施、米国による『核の傘』を含む拡大抑止力の提供がどこまで信頼できるかという確認、中国の東アジア戦略を巡る情報交換などができずにいる」と伝えている。誠に残念ではあるが、まあ韓国は、いつの頃からか、米国から入手した軍事機密情報を北朝鮮や中国に流すというので、米国からは全く信用されていないと聞く。日本政府もそのあたりの事情は心得ているのだろう。
その意味で、「反日」は韓国の宿痾であって諦めるほかないが、「媚中」「従北」は北東アジアの安全保障環境に影響を与え、看過できない。渡辺利夫・拓殖大学学事顧問は、「韓国が無力化され、中国がこの中に割り込んでくる事態となれば(中略)日清戦争開戦前夜の極東アジア地政学の再現である」と指摘され、こんなエピソードを紹介されていた。「過日、久しぶりにソウルを訪れ、知識人を中心に憂国の重鎮の話をうかがう機会を得た。デモや集会や結社の自由はふんだんにある一方、言論の自由、とりわけ対北朝鮮、対日関係の言論には自由がきわだって少なく、何か政権の意に反する言説を吐けばすぐに名誉毀損や損害賠償の対象になるとの懸念を聞かされた。司法では原告勝利が原則となっているらしい。韓国はもはや自由民主主義の国とはいえないという嘆息をもらされ、暗然たる気分で帰国した」。
繰り返すが、「反日」の韓国は相手にしなければいいだけの話だが、それだけでは済まないのが現下の情勢だ。日本として、脇腹に刃のように突き刺さったような立地にある朝鮮半島の不安定化には、無関心ではいられない。
韓国・聯合ニュースによると、日本人の旅行先調査で、韓国の順位は5位(2014年)→9位(2015年)→10位(2016年)と下がっているらしい。今年は北朝鮮の軍事的威嚇や円安でさらに下がる見通しだという。朝鮮近現代史研究所の松木國俊所長は、「文在寅政権になってから、日本への嫌がらせが加速した。文政権は米国と中国にペコペコして、独自の外交をできていない。経済もうまく回っていない。『支持を維持するためには反日しかない』という考えではないか。これでは、日本人の嫌韓感情が回復する見通しはない。『韓国に観光客を寄越せ』というのはとんでもない。自業自得だ」と話しているが、最近の韓国の動きを見ていると、まさにこの言葉に尽きるように思う。
「とんちんかん」は、反米市民団体が反トランプのデモを展開する中、トランプ大統領が、アメリカ大統領として25年ぶりに韓国を国賓訪問したときにも見られた。今さらではあるが、歓迎晩餐会で出された「独島エビ」と、「元従軍慰安婦・李容洙さんとのサプライズ抱擁」である。訪韓が訪日より一日短いと不満が渦巻いていたことは問わない。元従軍慰安婦・李容洙さんが京畿道広州市にある「ナヌムの家」に住む結構な活動家で、2000年に東京で行われた「国際戦犯法廷」に証人として参加したし、2007年に米下院で可決された「従軍慰安婦問題の対日謝罪要求決議」(米下院121号決議)の審議の席上でも、米国議員の前で泣き叫びながら証言を行ったほどの役者で、これまで語ってきた内容に矛盾が多いことでも知られることも、もはや問わない。韓国には「日本だってトランプ氏に拉致被害者家族を会わせたじゃないか」といった主張があるようだが、未解決で北朝鮮が絡む国際犯罪と、事実かどうか疑わしい、日韓政府間で「最終的かつ不可逆的な解決」を確認済みの問題を同列には並べられないし、政府間で調整・合意済みのイベントか完全なスタンドプレーかの違いもある。いずれにしても、トランプ大統領は、韓国でのいずれの演出に対しても大して関心を払わなかっただろう。なにしろアメリカ・ファーストで、訪韓目的は、北朝鮮の核・ミサイル開発問題と通商問題しか頭の中になかっただろうから。「とんちんかん」と思うのは日本人だけで、韓国内では、トランプ大統領の歓心を得られなくても気にしないはずだ。何しろ国民向けパフォーマンスとして成功したのだから。韓国では(中国もそうだが)、所詮、外交は内政の延長でしかないのだ。
また、文在寅大統領は習近平主席とベトナム・ダナンで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の場を利用して会談した。中韓関係の関係改善を図っていくことで一致したのはいいが、中国側の発表によると、THAAD追加配備は不可、米国のミサイル防衛システムへの不参加、日米韓の軍事同盟には発展しない、の三点に韓国側が合意した、と解釈されているらしい。THAAD問題で中国から散々嫌がらせを受けているとは言え、あんまりではないか。ウォールストリートジャーナル紙は、こうした文在寅大統領の「媚中」外交と、北朝鮮に融和的な「従北」姿勢を徹底批判し、文在寅大統領の掲げる「バランス外交」を「中国の圧力に直面し、自国や同盟国の安全保障に関して譲歩もいとわない姿勢は、バランス外交とは程遠いものだ」とし、「文氏が取った一連の行動は、(北朝鮮の)金正恩氏を包囲するための同盟関係を損なうものとなった」と、極めてまっとうな指摘をして、韓国内では大騒ぎになったらしいが、何をかいわんや、である。
もう一つオマケ。日韓両政府が昨年11月に締結した、防衛情報を共有する基礎となる「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」で、韓国側は北朝鮮の核・ミサイル開発以外の情報交流を拒んでいるらしい。日本側も、韓国側に米軍の情報能力を超える力がないと判断し、政治的な摩擦を避ける意図もあり、新たな情報交換の提案は行っていないらしい。このため、朝日新聞は、「朝鮮半島有事に至った際に日韓双方の被害を最小限に抑える手段を巡る意見交換や合同軍事演習の実施、米国による『核の傘』を含む拡大抑止力の提供がどこまで信頼できるかという確認、中国の東アジア戦略を巡る情報交換などができずにいる」と伝えている。誠に残念ではあるが、まあ韓国は、いつの頃からか、米国から入手した軍事機密情報を北朝鮮や中国に流すというので、米国からは全く信用されていないと聞く。日本政府もそのあたりの事情は心得ているのだろう。
その意味で、「反日」は韓国の宿痾であって諦めるほかないが、「媚中」「従北」は北東アジアの安全保障環境に影響を与え、看過できない。渡辺利夫・拓殖大学学事顧問は、「韓国が無力化され、中国がこの中に割り込んでくる事態となれば(中略)日清戦争開戦前夜の極東アジア地政学の再現である」と指摘され、こんなエピソードを紹介されていた。「過日、久しぶりにソウルを訪れ、知識人を中心に憂国の重鎮の話をうかがう機会を得た。デモや集会や結社の自由はふんだんにある一方、言論の自由、とりわけ対北朝鮮、対日関係の言論には自由がきわだって少なく、何か政権の意に反する言説を吐けばすぐに名誉毀損や損害賠償の対象になるとの懸念を聞かされた。司法では原告勝利が原則となっているらしい。韓国はもはや自由民主主義の国とはいえないという嘆息をもらされ、暗然たる気分で帰国した」。
繰り返すが、「反日」の韓国は相手にしなければいいだけの話だが、それだけでは済まないのが現下の情勢だ。日本として、脇腹に刃のように突き刺さったような立地にある朝鮮半島の不安定化には、無関心ではいられない。