従軍慰安婦問題の日韓合意について、韓国外務省の作業部会が検証結果を公表する一方、韓国政府は、安倍首相を招待している(でも参加するかどうか決まっていない)平昌五輪を間近に控え、今は波風を立てるのは得策ではないと判断したのか、政府の立場表明を先送りした。一連の報道に目を通したが、日本人としていい加減、腹が立つ・・・というより、これは韓国の一人芝居に過ぎないじゃないかと、呆れてしまった。産経新聞電子版は怒りをあらわにするが、まともに取り合うのは馬鹿馬鹿しい。お騒がせトランプ大統領と似た構図だ。
文在寅大統領は日韓合意について、「国際社会の普遍的な原則に反するだけでなく、当事者(元慰安婦の女性)と国民を排除した政治的な合意」だとし、「大統領として気が重い」などと語ったという(産経電子版)。合意に至った日韓政府間交渉についても、「手続き、内容にも、重大な欠陥があることが確認された。遺憾だがそれを避けることはできない」と述べたという(同)。その上で、「歴史で最も重要なのは真実」とし、慰安婦問題での新たな対策を韓国政府に指示したという(同)。一体、誰に向かって語ったのかと言うと、多分、自らの支持者であって、日本や、ましてや国際社会ではない(そんな恥さらしな国だとは思わないことにしておこう)。
その証拠に、メディアの評価も二分する。リベラル系のハンギョレ新聞は、非公開部分はソウルの日本大使館前の少女像の撤去問題などで日本の言い分を一方的にのんだ内容だとの認識から、朴前大統領には「被害者の痛みへの最小限の共感や歴史認識、外交感覚も判断力も麻痺していたと見るしかない」と厳しく批判し、当初から非公開にしてはならない内容だったと主張したという(同)。他方、保守系の中央日報は「交渉も経緯調査も間違っていた」と題する社説で、非公開部分の公表は「外交上、越えてはならない一線を守らなかった」と断じ「今後日本は言うまでもなく、どの国が韓国政府を信じ、秘密の取引をできるというのか」と外交への影響を憂慮したという(同)。また同じ保守系の朝鮮日報は「慰安婦は重大な問題だが、もし2年前の合意を破棄し再交渉を要求するなら、韓日関係は破綻する」と韓国内での合意破棄要求に反対を表明したという(同)。韓国や中国の外交は、往々にして内政の延長だが(まあ程度の問題ではあるが、日本や欧米に比べて、韓国や中国では甚だしい)、それならそれで、こうしたやりとりは国内に閉じてやって貰いたいものである。
欧米的な価値基準から逸脱していると思われる韓国の、近代国民国家として成熟し切れない身勝手さは、民主化から30年と、まだそれほど時間が経っていない事情というより、そもそも韓国という国家自体が、北朝鮮も含めて、反目し合う三つの国が一緒になったご都合主義に起因するように思う。Wikipediaでも「韓国の地域対立」として説明されている通り、地域対立と言うより民族対立が、古代史における新羅(東)、百済(西)、高句麗(北)の後三国時代にまで遡るわけだ。その後、李氏朝鮮として統一されたではないかと反論されそうだが、一見、統一されたようで、実は東(慶尚道)と西(京畿道や忠清道)とでそれぞれ派閥が形成され、政治的イニシアティブをとるための泥仕合が500年以上も続いて、全羅道出身者はその泥仕合に参加すらできなかったというオマケつきである。2012年の大統領選が象徴的で、朴槿恵の得票率は全羅道で僅か10%、右派傾向が強い慶尚道で69%だったのに対し、文在寅の得票率は全羅道89%、慶尚道31%だった。こうした国民国家の中の民族対立を抑制し、国家としての統一に目を向けさせるため、従軍慰安婦問題などの反日カードが使われるわけだ。
従軍慰安婦問題に戻ると、文在寅大統領は、日韓関係について「両国が不幸だった過去の歴史を閉じ、真の友人になることを願う。歴史問題解決とは別に韓日の未来志向的な協力のために、首脳外交を回復させる」と対日関係を悪化させる意図がないことを強調し、以前から主張する「ツー・トラック政策」(歴史認識問題によって経済協力を滞らせない)を再確認したようだ。如何にもご都合主義なもののいいである。それなら我が国としては、北朝鮮問題で連携できるよう、歴史認識問題によって安全保障を滞らせない(しかし経済協力では韓国が望むようには易々と応じない)、安倍政権の「戦略的放置」路線でいいと、心からそう思う。
文在寅大統領は日韓合意について、「国際社会の普遍的な原則に反するだけでなく、当事者(元慰安婦の女性)と国民を排除した政治的な合意」だとし、「大統領として気が重い」などと語ったという(産経電子版)。合意に至った日韓政府間交渉についても、「手続き、内容にも、重大な欠陥があることが確認された。遺憾だがそれを避けることはできない」と述べたという(同)。その上で、「歴史で最も重要なのは真実」とし、慰安婦問題での新たな対策を韓国政府に指示したという(同)。一体、誰に向かって語ったのかと言うと、多分、自らの支持者であって、日本や、ましてや国際社会ではない(そんな恥さらしな国だとは思わないことにしておこう)。
その証拠に、メディアの評価も二分する。リベラル系のハンギョレ新聞は、非公開部分はソウルの日本大使館前の少女像の撤去問題などで日本の言い分を一方的にのんだ内容だとの認識から、朴前大統領には「被害者の痛みへの最小限の共感や歴史認識、外交感覚も判断力も麻痺していたと見るしかない」と厳しく批判し、当初から非公開にしてはならない内容だったと主張したという(同)。他方、保守系の中央日報は「交渉も経緯調査も間違っていた」と題する社説で、非公開部分の公表は「外交上、越えてはならない一線を守らなかった」と断じ「今後日本は言うまでもなく、どの国が韓国政府を信じ、秘密の取引をできるというのか」と外交への影響を憂慮したという(同)。また同じ保守系の朝鮮日報は「慰安婦は重大な問題だが、もし2年前の合意を破棄し再交渉を要求するなら、韓日関係は破綻する」と韓国内での合意破棄要求に反対を表明したという(同)。韓国や中国の外交は、往々にして内政の延長だが(まあ程度の問題ではあるが、日本や欧米に比べて、韓国や中国では甚だしい)、それならそれで、こうしたやりとりは国内に閉じてやって貰いたいものである。
欧米的な価値基準から逸脱していると思われる韓国の、近代国民国家として成熟し切れない身勝手さは、民主化から30年と、まだそれほど時間が経っていない事情というより、そもそも韓国という国家自体が、北朝鮮も含めて、反目し合う三つの国が一緒になったご都合主義に起因するように思う。Wikipediaでも「韓国の地域対立」として説明されている通り、地域対立と言うより民族対立が、古代史における新羅(東)、百済(西)、高句麗(北)の後三国時代にまで遡るわけだ。その後、李氏朝鮮として統一されたではないかと反論されそうだが、一見、統一されたようで、実は東(慶尚道)と西(京畿道や忠清道)とでそれぞれ派閥が形成され、政治的イニシアティブをとるための泥仕合が500年以上も続いて、全羅道出身者はその泥仕合に参加すらできなかったというオマケつきである。2012年の大統領選が象徴的で、朴槿恵の得票率は全羅道で僅か10%、右派傾向が強い慶尚道で69%だったのに対し、文在寅の得票率は全羅道89%、慶尚道31%だった。こうした国民国家の中の民族対立を抑制し、国家としての統一に目を向けさせるため、従軍慰安婦問題などの反日カードが使われるわけだ。
従軍慰安婦問題に戻ると、文在寅大統領は、日韓関係について「両国が不幸だった過去の歴史を閉じ、真の友人になることを願う。歴史問題解決とは別に韓日の未来志向的な協力のために、首脳外交を回復させる」と対日関係を悪化させる意図がないことを強調し、以前から主張する「ツー・トラック政策」(歴史認識問題によって経済協力を滞らせない)を再確認したようだ。如何にもご都合主義なもののいいである。それなら我が国としては、北朝鮮問題で連携できるよう、歴史認識問題によって安全保障を滞らせない(しかし経済協力では韓国が望むようには易々と応じない)、安倍政権の「戦略的放置」路線でいいと、心からそう思う。