風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

日本規格

2009-09-05 02:09:31 | 日々の生活
 海外で生活することになった場合、例えばマレーシア(ペナン)では家具付きのマンションが多いので、家具を持って行く必要がありません。日本とで電圧が違うので、日本の家電製品を持っていっても無駄で、これも日本の倉庫に置いて行くことになります。ところが更にオーストラリアに移ると、家具付きのマンションは見当たらなくて、自ら家具を買い揃えなければなりません。そして日本に戻る頃には、愛着も湧いて、折角、買ったものだからと、家具の一部を日本に持ち帰ってみたくなります。そうすると必ず引越しの時に後悔することになるわけです。やっぱり海外で調達した家具は持ち帰るべきではなかったと。
 これは諸先輩から何度も聞かされた教訓なのですが、痛みを感じるまで本当の意味で理解できないものです。実際にマレーシア(ペナン)で買った机と本棚は、大きいには違いないと頭では理解しつつ、スペースもたっぷりあるのでそこまで大きくないだろうと錯覚させられていて、いざ日本で二階に持ち込もうとすると、階段を曲がり切らなくて、バルコニーから吊り上げなければならない現実に愕然とします。広めのリビングと思っていても、日本ではたかが知れていて、海外から持ち込んだテレビ台やソファを入れると足の踏み場もなくなります。ソファなど、玄関から入らなくて、ガラスの扉を外さなければなりませんでした。
 結局、日本の家は(一部の豪邸を除いて)どこも同じで、玄関、部屋、廊下、階段など、全てにおいてサイズが一回りも二回りも小さくて、家具も家電製品もそれに合わせて小さく造られているのですね。あるいは大きくてもバラして運び込めるようになっている。それがようやく肌身に染みて、周囲を見渡してみると、よくもまあ家と家とがひしめき合って建てられていて、駐車スペースも小さくて壁ギリギリに駐車していることに、あらためて気づかされます。住宅街の道も狭い。
 これが日本規格かと実感しました。工業製品の分野で日本が得意とするのは軽薄短小だと言われますが、日本ではごく自然に人々の居住空間さらには社会そのものがコンパクトに造り込まれているわけです。
 上の写真は、リゾート・ホテルではなく、ペナンのマンションです。
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