風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

ボルトン砲・補遺その2

2020-07-16 22:38:36 | 時事放談
 文春砲ならぬボルトン砲に、安全保障上の秘密事項がないとは言え、各国首脳の生々しい発言が暴露されると、小っ恥ずかしい程度ならいいが、立場を失いかねないこともあって、韓国当局は大いに当惑したことだろう。
 回顧録によると、トランプ大統領は安倍首相との会談をいつも歓迎し、前向きに交流していたようで、特に安倍首相の中国や北朝鮮に関する意見を傾聴し、重視したというし、ボルトン氏自身も、安倍首相の意見を有意義だとして重く受け取ったということが繰り返し書かれているらしいだけに、韓国としては面白くないだろう。
 とりわけ日韓の歴史認識問題について、文在寅大統領がトランプ大統領に「度々日本が歴史問題を論争にしてきた」と話したことについて、ボルトン氏が「もちろん歴史問題を取り上げるのは日本ではなく、文大統領だ」と指摘しているところは、大いに気に入らないことだろう。
 日韓関係について、文在寅大統領とトランプ大統領とのやりとりを、高濱賛氏のコラムから孫引きする。

(引用)
 ハノイでの米朝首脳会談後の2019年4月11日、ワシントンで米韓首脳会談が行われた。
 「トランプ大統領は、ワーキングランチで文在寅大統領にこう尋ねた。『韓国は同盟国として日本と共に戦うことができるか』」
 これに対して文在寅氏はこう答えた。「日韓で合同軍事演習はできる。しかし日本の兵力(自衛隊)が韓国の土を踏むことには韓国国民に(日韓併合時の)歴史を思い出されることになる」
 トランプ氏はさらに質問した。「万一我々が北朝鮮と戦わなければならない状況に立ち入ったら、どんなことが起きるか。韓国は日本の参加を受け入れることができるか」
 文在寅氏は答えた。「日本の兵力が韓国の地に足を踏み入れない限り、韓国は日本と一つになって戦う」
(引用おわり)

 日米、米韓という二つの軍事同盟が、米国を扇のカナメとして繋がる三国間の関係は、日韓にはGSOMIAという軍事情報を共有する枠組みしかなく、三角形とはならずに、飽くまで日-米-韓の折れ線でしかない。文在寅大統領は、トランプ大統領の前だからこそ、これでも抑制して語ったのだろうが、憎しみが滲み出ているし(笑)、日韓当局者同士の会談では、もっと明け透けなのだろう(笑)。
 トランプ大統領が5月にG7拡大構想、すなわち7か国に豪・印・韓・露(・伯)を加えて、G11(あるいはG12)体制に拡大することを唐突に言い出して、韓国まで含めたのは、巷間囁かれるように中国包囲網への踏み絵を迫ったものだろう。文在寅大統領は「喜んで招待に応じる」と舞い上がったが、共同通信によって、「日本政府高官が米政府に対し、韓国の参加に反対する考えを伝え」「中国や北朝鮮への外交姿勢がG7と異なると懸念を示し、枠組みの維持を求めた」ことが伝えられると、文大統領に近い左派系ハンギョレ紙は、「日本政府がそれを妨害するのは非常に身勝手で、隣国としてありえない仕打ちだ」と憤った。果たして韓国がこれまで「隣国として」日本を気遣ったことがあるのかどうか教えて欲しいものだが、韓国大統領府高官に至っては「日本の恥知らずの水準は全世界で最上位圏に位置する」との発言を記者団に流したそうなので、欧米諸国に対しては決して使われることがない、しかし南北の親しい(?)間では普通に罵り合うような、いつもながらの韓国人の薄汚い言葉が日本に対しては使われるということは、華夷秩序に沿って、小中華の自らより格下の野蛮な国だと、「隣国として」気安く見ていることは確かなようだ。

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