かーちゃんはつらいよ

施設入所した18歳そうちゃん(自閉症、最重度知的障害、強度行動障害、てんかん)のかーちゃんが書く雑記。

ゆあーん ゆよーん ゆや ゆよん

2005年12月01日 10時34分51秒 | みゆみゆとの生活
親子でNHK教育「にほんごであそぼ」に夢中。
特にコニちゃん(小錦)のコーナーと、野村萬斎のコーナーが好き。
「今日の名文」を見るだけでも、元文学少女の私にはたまらない。

 いやなんです あなたのいってしまふのが  『人に』 高村光太郎
 智恵子は東京に空が無いといふ   『あどけない話』 高村光太郎
 恥の多い生涯を送って来ました   『人間失格』 太宰治
 汚れつちまつた悲しみに   中原中也
 けふのうちにとほくへいってしまふわたくしのいもうとよ  『永訣の朝』 宮沢賢治
 私の上に降る雪は 真綿のやうでありました   「生ひ立ちの歌」 中原中也
 みんなちがって、みんないい。   「私と小鳥と鈴と」 金子みすゞ

あめゆじゅとてちてけんじゃ・・・
あ~、泣ける
特に、山口の「中原中也記念館」まで足を運んだことがある私としては。
「生い立ちの歌」どおりに、24歳で結婚しようと決めてたっけ。(かなわなかったけど。)
ついでに言えば、太宰治の墓参りしたこともある・・・。(これは東京)

みゆみゆのお気に入りはこれ。

 「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」   『サーカス』 中原中也
あ~、それもいいよねさすが我が娘、中也のよさがわかるのかー。
ちなみにこれは、野村萬斎が、風船を頭にくっつけて、空中ブランコしながら朗々と語ってくれます。私もみゆみゆも、くぎづけ。萬斎さんがブランコから落ちるのではないかと・・・。あんまり無理しないで、萬斎さん。

あと、
 「咳をしても一人」
というのも、印象的だったらしい。ご飯時に、みゆみゆが妙に神妙な顔をして声を精一杯低くし、「・・・ひとり」と言っていました。つくづくしぶい2歳児だ。
この「咳をしても一人」、勝手に、『結核で死んだ貧しい人』のイメージで、正岡子規だと思い込んでいたのですが、大きな誤解でした。(結核・貧乏・短命のキーワードはあってました。)
尾崎放哉という人の俳句だそうです。(無知で恥ずかしいです・・・。)
しかし、いくら「自由律」といっても、この字数で俳句って!!   

こんな具合に、知らない名作を発見できるのも魅力。言葉だけは聞いたことがあるけど、誰の何の作品かわからない、とか。(当然知らないものの方がずっと多い。)

そんな一つがこれ。

 あかしやの金と赤とがちるぞえな   「片恋」 北原白秋
うつくしぃ~美しすぎる。読んでみたいです。

暗唱してくれるのが、年長児か1年生くらいの子ども、というのがまたすごい。
なかには、こんなの覚えて、どうするの?というのもある。
 李陵は歩卒五千を率い、辺塞遮虜障を発して北へ向かった。   「李陵」 中島敦
とか。
はっきりした意味が分からないうちに、言葉の面白さから「すりこんじゃう」のも、いいかも、とも思うけど。

最後に、この言葉を。

ほんたうのさいはいは一体何だろう   「銀河鉄道の夜」 宮沢賢治