事前にチケットを取っておいたのは、ひとつ。
リスト弾きの名手、ジャン・デュぺ(カナダ出身のピアニスト)のソロコンサート。
演目は
リスト:ペトラルカのソネット第47番、第123番
リスト:19のハンガリー狂詩曲より第1,4,18,19番
の6曲。
45分間の演奏会で、チケット代は1500円でした。
ピアノの響きが美しくて・・・
多彩な表現、超絶技巧。絵画を鑑賞しているかのようなうっとりした気持ち。
あまりの美しさにぐっすりおねむのお客さんもおられましたが、私は寝るどころではなく、
完全にピアノの世界に引き込まれて身を乗り出して聴きました。
これが1500円で聴けるなんて!
もっとお支払いします、と言いたいくらいでした。
しかしラフォルジュルネはすごい。
その日にひとつでもチケットを買った人は、半券を見せれば「交流ホール」でのコンサートが聴ける
。
また、半券なんぞなくても、ウロウロしてるとそこかしこで音楽が聞こえてくる。
まさに、街じゅうが音楽一色なのです。
そんなわけで、全公演スケジュールのパンフを片手に、会場から会場へ、走る走る。
夢のような音楽の一日、レポートです。
朝、6時前にみゆみゆを送り出し、親は7時に家を出て、一路、特急「しらさぎ」にて金沢へ。
電車に乗っていたのは3時間でした。
細かいことだけど、金沢駅に着いて驚いたのは、
「こんなに大きな駅なのに、自動改札じゃない
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/roket.gif)
」という事実。
久々に、半円の改札に駅員さんがハンコ持って立ってるのを見ました。
駅でお昼ご飯を食べてから、会場へ。
ジャン・デュベの前に、「合唱の日」会場の「交流ホール」を確認しておこう、と行ってみたら、
ピアノの連弾がやっていて、何気なく足を踏み入れる。
と、横ひじで私を突っつく夫。
促されてパンフに目を通し、驚きました。
目の前でピアノを弾いているのは、池辺晋一郎さんでした
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/cat_5.gif)
あの、作曲家の。
司会をしながら、演奏もされていました。
素敵な連弾と、フルート演奏をそこで聴き、終わり次第移動してジャン・デュベさんの会場「邦楽ホール」へ。
移動の途中にサックスカルテットをやっていて、ちょうど「こうもり序曲」だったので、最後まで聴く。
邦楽ホールで聴いた、ジャンデュベさんのリストは、それはもう鳥肌もので・・・
終了後、「すごかったね!すごかったね!」と連発しながら、また小走りで「交流ホール」へ戻る。
交流ホールの「合唱の日」イベントは、さすがにたくさんの合唱団が出演するとあって、家族と思われるお客さんが、大勢入口に並んでいました。
みゆみゆの所属する合唱団を含む11団体の演奏を堪能して、
終わったら金沢駅に移動し、またみゆみゆの合唱団を聴く。
今度はビデオ回して
この時点で4ステージ見ています。
でもまだまだ行くのだ。
みゆみゆの合唱団が終わり、思いがけない方との再会もあって感激しながら、次の会場へ。
交流ホールに戻って、今度は「ブルーアイランド氏の音楽教室」というイベント。
作曲家、青島広志さんの、解説付き演奏会です。
(青島さん、「題名のない音楽会」で時々出てくる先生です。)
様々なオペラの歌を、ソプラノ歌手・テノール歌手・バイオリン奏者と共演しながら、演奏しながら解説してくれました。
おネエ言葉でめちゃめちゃ早口だけど、わかりやすく面白い、演奏会でした。
ちょいちょい出てくる、作曲家にまつわる小ネタが笑える。
それを、弾く直前までマイクで話してるのが、すごい。
私は「演奏前の静けさ」も音楽の一部だと信じているけど、でも、いいや!
音楽って、そもそも楽しいもの。
小難しく考えるものではないと、この人は伝えたいんだと思う。
中でも一番笑ったのは、シューベルト「魔王」。
普通はテノール歌手が「語り手」「お父さん」「坊や」「魔王」と4役するのですが、それをさらに分かりやすく分けてくれました。
お父さんと語り手はテノール歌手小野勉さん。
坊やをソプラノ歌手石川公美さん。
そして、青島広志さんが、ピアノを弾きながらおもむろにマイクに顔を向け、魔王を歌うという!
なかなか凄かったです。
ピアニストが、突然裏声で歌い出す。
♪かわいいー ぼうや おいーでよ おもーしろいーあそびをしよう
こわすぎます。
ぼうやじゃなくても絶対行きたくありません。
クラシックコンサートでゲラゲラ笑う、という経験をして、
勢いで青島先生自身が販売されていたオリジナルマグカップを買い、
また駅前に走る。
慶應義塾大学グリークラブの演奏を30分聴いて、私たちのラフォルジュルネは終了。
男子学生のみの歌声は、若さあふれ、迫力があり、感動しました。
計6つのコンサート。
お得でお腹いっぱい。
幸せな気分になれました。
できれば毎年来たい、と思いました。(無理だけど)
そうちゃんがいつ退院できるかわからなかった関係で、宿を取るのが遅くなり、金沢市内は一軒も空いてなくて、普通電車で1時間移動した福井のビジネスホテルにその日は泊まりました。
翌日は福井市内を少し観光し、ほぼ普通電車で、時間をかけて帰宅。
みゆみゆ達はバスで行ったので、大渋滞に巻き込まれたようで夜の8時過ぎに帰ってきました。
夫は青島さんの演奏会がよほど面白かったらしく、「あの人はほんとにすごいなー。」と感心しきりでした。
マイペースでスーパー落ち着きない雰囲気を醸し出している人でしたが、
「ああいう人が、天才と呼ばれる人だ。小さいころから個性をつぶさず、『人と違っている子』を大切にすることが、国にとって大事なことなんだね。」
なんて、しみじみ夫婦で話しました。
みゆみゆも、ちょいとマイペースで人と違う観点を持っている女子。
子どもはみんな天才だ。
がみがみ叱ってばかりじゃなくて、みゆみゆの個性を大事にしてあげなきゃ・・・
と思いながら、でもやっぱり今朝も朝ごはん食べるのが遅くて叱ってしまいました。
理想と現実は、うまくいかないものです。
さて、明日からまた日常だ。
気持ち切り替えて、頑張らなくちゃ。