《アメリカから来た女性研修生》
【156ページ】
「なにせ女性第一号のトレイーニーですから受け入れるかどうかちょっと揉めたんです。面倒臭いから断るべきだとする意見も強かったんじゃないですか」
中山がにやにやしながら煙草に火をつけた。
【166ページ】
「ま、心配したらきりがありませんね。私は池浦(日本興業銀行第4代頭取)のやることに口出ししたことは一度もありませんけれど」
「口出しするときは二人で一緒にするのがいいだろう」
中山は右手を政宗(日本興業銀行第3代頭取)と自身の間で往復させてから煙草を咥えた。
[ken] 先日、相鉄線の優先席に座っていたら、幼児を抱っこした女性と、隣に座った中年女性がお話しをしていました。「どこの保育園なの?」「勤め先が都内の蒲田、保育園をなかなか探すのが大変で、もっと都心寄りの保育園なんです」「じゃ、今から帰えるとけっこうな時間だから大変よね。毎日だものねぇ。私の孫はね----」といった会話でした。先進諸国、とくにヨーロッパでは少子化対策が進んでおり、日本みたいに『一億総活躍社会』などという掛け声だけではない、堅実な国民的合意が形成されています。
先般、日本では『なんなんだよ日本。一億総活躍社会じゃねーのかよ。昨日見事に保育園落ちたわ。どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか」「子供を産んで子育てして社会に出て働いて税金納めてやるって言ってるのに日本は何が不満なんだ? 何が少子化だよクソ。子供産んだはいいけど希望通りに保育園に預けるのほぼ無理だからって言ってて子供産むやつなんかいねーよ」という匿名ブログが話題になり、数多くの共感が寄せらマスコミでも取り上げられました。また、保育園や保育士の問題では、都道府県やエリアによる過不足も明らかになりました。一方では入園待ちが続き、もう一方では充足している。それも、家族・親戚が周囲に住むような地方で充足し、家族・親戚と離れ共稼ぎしている都会で不足している現状は、将来を見据えた政策を実行していない行政の怠慢ですね。
匿名ブログは『不倫してもいいし賄賂受け取るのもどうでもいいから保育園増やせよ。オリンピックで何百億円無駄に使ってんだよ。エンブレムとかどうでもいいから保育園作れよ。有名なデザイナーに払う金あるなら保育園作れよ。どうすんだよ会社やめなくちゃならねーだろ。ふざけんな日本。----』と続きます。保育園については、行政のリードはもちろん、東京一極集中からの脱却、男女の働き方、企業労使の支援など、総がかりで解決していく問題だと心底から思います。(つづく)