前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

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「姿なきテロリスト」と「ETERNAL CHOPIN」

2010年01月03日 | Weblog
豊崎由美という方の書評につられて買った「姿なきテロリスト」(リチャード・フラナガン、渡辺佐智江訳、白水社)を昨日読んだ。最初は読みづらかったが、読みすすんでいくうちに一気に読んでしまった。

ポールダンサーの女性がテロリスト容疑者とされ、逃亡する数日を描く。
「テロとのたたかい」を錦の御旗にして、アメリカのアフガン、イラク戦争を支援し、過剰な対策をとりつづけている日本においても、とくにマスコミ報道という観点からも、警鐘の書だと思う。

たまたま福井市の松木屋で、「ETERNAL CHOPIN」(EMI)を買い、流しながら読み始めた。そうしたら、この物語にショパンの夜想曲が重要な役割をもち、つかわれている。
たとえば、・・・「この曲は、西洋文化の頂点だ。テロリストどもがすべてを破壊しても、ショパンの夜想曲へ短調は存在しつづけ、人々を永遠に魅了するだろう」・・・との科白もある。偶然に驚いたが、流しっぱなしにして読んだ。

ショパンは生誕200年。作曲家の池辺晋一郎さんは、元日の読売紙上で「曲は印象的で耳に残り、断片的に使われても効果がある。ムード音楽のような感傷だけで終わらないのは祖国を背負っていた影や孤独があるから。それが現代人の心に沿うのだろう」と語っている。

さて、訳者によれば、著者は日本を主要輸出先としているオーストラリア・タスマニア州原生林の伐採企業ガンズ社の原生林破壊にたいして保護を訴えて抗議行動などをおこなっている。このことがメデイアから虚偽の人身攻撃をうける「事件」にもなったという。この著者自身の体験が「姿なきテロリスト」にも反映し、マスコミの報道におびえる主人公として完成されている。