前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

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2011年6月県議会 厚生常任委員会会議録 原子力防災、原発再稼働問題

2011年09月16日 | Weblog
2011年7月4日 福井県議会厚生常任委員会

◯大久保委員長  説明は終わった。
 これより質疑、討論に入るのであるが、審査については、初めに調査依頼を受けた予算関係議案、次に所管事務の調査の順で行うので了承願う。
 初めに、予算関係議案の第37号議案のうち、安全環境部関係の所管分について各委員より発言を願う。

原子力防災について
◯佐藤委員  防災計画検討事業については基礎調査を実施するというが、この事業はどういう規模で、どういう内容で行われるのか。


◯危機対策・防災課長  この基礎調査については、発電所周辺の市町全域の住民が避難するということを考えて、そのときに車等を使うので、渋滞時間がどのくらいあるのか、どのくらいの時間で避難できるかということで、嶺南地域を調査していきたいと考えている。


◯佐藤委員  そうすると、EPZが10キロメートルとかというけれども、実際の避難訓練も狭い範囲でやっているが、何キロメートル以内で調査を行うのか。


◯危機対策・防災課長  確かに、EPZは10キロメートル範囲ということになっているけれども、国から明確なEPZの範囲はまだ示されていない。そこで、国に先立って嶺南地域全域ということで計画をつくっていきたいと思っている。


◯佐藤委員  調査対象地域が嶺南地域ということになると、例えば越前市、南越前町は除かれてしまうのか。


◯危機対策・防災課長  今の嶺南地域の交通事情を考えると、山に囲まれ、国道27号が雪、事故等で通行止めになったり、海水浴客等で渋滞が起きたりすることが多いので、今回は嶺南地域を中心に基礎調査を行いたいと考えている。


◯佐藤委員  福島原発事故を考えれば、嶺南地域に限定するのはおかしいと思う。


◯危機対策監  委員の言う嶺南地域に限定をするという指摘であるが、これは福島の事故のケースをつぶさに検証して、避難範囲あるいは防災対策を重点的に講ずべき地域、いわゆるEPZの拡大というのは十分考えられるので、そういったことを念頭に置きながら、防災計画の見直しを進めていかなければならないと認識している。しかしながら、EPZと言われる防災指針が明確に示されていない段階においては、とにかく当面やらなければならないことを考えた結果、予算でお願いしている調査については、嶺南地域における従来の10キロメートルにこだわることなく、広域的な避難のあり方を検討する際の基礎データを得ようとするものである。


◯佐藤委員  つながりの防災力推進事業は、自主防災組織の組織率向上に向けて研修会を開催するとあるが、福井県内の自主防災組織の組織率というのはそんなに低いのかどうかということをお尋ねしたい。それと、福井市内でも結構、自主防災会議を組織されていると思うのである。ところが、実際に現場の要望は、県は組織をつくれというけれども、実際いろいろな資機材を備えるときの金が来ないので、もう少し面倒を見てくれないかという要望があるのだけれども、そういうことも含めて、今後考えていくという事業なのか。


◯危機対策・防災課長  福井県の自主防災組織の組織率は77.7%で、相当高い率である。全国的にも高いところにある。それで、県内で極端に低い、高浜町などの自主防災組織率をかさ上げするということを考えている。

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原発の再稼働問題
◯佐藤委員  知事が今、定期検査が終わった後の原発についても、国の暫定基準が出されていないということを言われているのだが、よくわからないのは、いろいろ高経年化の問題とか地震対策の問題とか言われているけれども、具体的な、知事が描いている、安全環境部が描いている暫定基準の内容をもう少し教えてもらえるか。


◯原子力安全対策課長  県としては、事故発生直後、3月17日と4月19日と2回にわたって国に対して、既設の原子力発電所の安全対策を事細かに要望してきている。特に4月19日においては、最初に、やはり今運転中のもの、それから定期検査でとまっているものの安全については、国として暫定的な安全基準を強く求めている。
 一方で国は、5月6日、それから先月のIAEAの報告書を受けて、6月18日に、緊急安全対策とシビア・アクシデントの成果を確認しているが、全体としては、従来から言っているように、やはりまだ、地震と津波の影響の程度に対するどういう安全を担保していくか、それから高経年化の影響はどの程度、今回の事象進展に影響があったか。これは劣化が明らかに事故を起こしたものではないという結論にはなっているが、やはり、高経年化の問題等についても、一つの知見を国としてしっかり出していただくことが大事ではないかと申し上げているところである。


◯佐藤委員  これはこれまで聞いているのであるが、要するに、もっと言えばどの程度のものを求めているのか。国ともし相談をされているのであれば、どの程度のものを国とのやりとりの中で求めているのかをもう少しわかりやすく説明してほしい。


◯原子力安全対策課長  どの程度のものというのは、事細かに言うと、一つは4月19日に、さまざまな点、例えば使用済み燃料プールの冷却の問題であるとか、いろいろなことを申し上げている。国のレポート、IAEAのレポートで、大体その点の必要性というのは認識しているが、今運転中の、それから定期検査でとまっているものを動かすに当たって、やはりここまでやっておくことで安全が確保されるという説明を国としてしっかりしていただきたいと強く求めているわけである。


◯佐藤委員  なかなか、何か具体的にはよく見えてこない面もあるのだが、例えば、今言われた使用済み燃料プールでいっても、福島も全部ではないかもしれないけれども、たしか途中で容量をふやしている、使用済み燃料を入れる体数、リラッキングをやっている。福井県の原発も何カ所かリラッキングを繰り返している。使用済み燃料を当然入れる量がふえればそれだけ発熱量もふえるから、いざ循環がとまったときには、より早く問題が起きるということになる。だから、そういうことの見直しも含めて要求しているということか。


◯原子力安全対策課長  今回、使用済み燃料プール、BWR、沸騰水型、福島のタイプは上にあるというのが一つの大きな特徴である。加圧水型は建物の床面と同じぐらいのフロアである。ただ、燃料を冷やすのに当たっては、常用の電源で冷却ポンプを回しているというのが大概である。関西電力の施設には、その電源系を非常用の電源につないでいるプラントもある。そういう意味では、今回、福島では非常用の電源が使えなくなったということで、その後も結局冷却ができずに、全体としては上から水を入れ込んで冷却を維持しているというところもあるけれども、やはり、そういう使用済み燃料のプールの冷却というのを十分確保する。それからプールの状態をしっかりと監視できるようなことが必要でないかということを4月19日に申し上げている。


◯佐藤委員  これまで国が原発の運転を延長するためにやってきた措置をそのままそのとおり認めておいて、そして電源を確保すればいいというだけであれば、何ら特別な厳しい基準にはならないのではないか。


◯原子力安全対策課長  今回の事故においては、一つ、電源車の確保を国が5月6日に求めている。これは、非常用電源が津波等によって使えなくなった。その電源のバックアップということで電源車を求めているわけだが、その一方で、やはり津波対策ということで建物の水密性なども求めているし、特に浜岡では防潮堤の設置なども求めている。だからそういう意味を込め、県内の原子力発電所の安全性というのはどこまでやれば安全かということをしっかり国に示していただく必要があるかと思う。


◯佐藤委員  だから、そういう議論を重ねていった歴史がこれまでの福井県の原子力安全対策課の、原子力行政の歴史だと思うが、いろいろな事故が起こる、繰り返し起こる、そのたびに何をやっているのだと、もっとこうしなさい、ああしなさいということで積み重ねてきた歴史で、課長も苦労されてきた歴史だと思う。だけれども、そういうことを福島県も当然やってきて、積み重ねてきてもだめだったのも事実なのである。だから、言いたいのは、西川知事、安全環境部が要求している新しい暫定基準にのっとって仮に行われたとして、それで安全だということにならないのではないかということを言いたいのである。


◯原子力安全対策課長  言葉上、安全だということはなかなか言いづらいという言葉は変だけれども、やはりシステムとしての安全は確保されているということをしっかり国に言っていただかないとだめだと思う。また、事が起きた場合には、例えば電源車などは事が起きた後の対応として必要なものだから、まず本来は、今回のような地震とか津波とかがあった後に福島のような事故が起きないように、まずプラント全体の安全性を高めておくというのが大事である。その上で、もしあのような事態になったときに電源車が、それから消防的なホース、ポンプ車等をバックアップしていくということで二重三重に安全性を求めている状況であるので、ある意味では、すべてが大丈夫ということではなくて、一重二重というか、通常の設備でまず安全だという前提と、それから、それがだめでも次の場合、次の場合という多重性を持って安全を担保していくように努力しているところである。


◯佐藤委員  敦賀市の河瀬市長が、新聞報道にはいろいろあったけれども、敦賀1号機を廃炉に、そのかわり3、4号機は急ぐべし等のいろいろな新聞報道があった。その敦賀1号を廃炉にというのは、今後、もともと廃炉の期日は決まっているわけだが、それを前倒しで廃炉も考えてもいいというのは、結局一つには、この福島第一発電所の1号機と同じタイプの老朽化原発だということもあるのかと。最初に早く炉心が溶けてしまったというのも敦賀1号と同じタイプだから、そういう懸念も敦賀市長としてあるのかと思っているが、そういう懸念は課長も共有しているわけか。


◯原子力安全対策課長  県も4月19日の要請の中では、炉型、1号機、2号機、3号機については3つが運転中でそれぞれ大きな被害、事故を起こしている。その被害を起こした経緯等も違うということで、それらについてどういうことが影響しているのかはっきりするようにということで国には求めている。
 そういうところは、やはり高経年化の問題として福島の1号機がその影響があったのか、それとも、やはりマーク1といいながら、いろいろタイプが違えば設備も違う。そういうことが影響したのか。それとも何か運転員等の操作やほかのところが影響したのか。やはりそういうところをしっかりと国として事実調査をして、ある程度明らかにしていただく必要もあるかとは思っている。


◯佐藤委員  この福島事故そのものがまだ収束に至っていないと。だからきちんとした原因の解明とか分析には、これは相当年数もかかるし、国のいろいろな耐震とかの基準の見直しにはあと数年かかるというような報道がされているが、県は、暫定的な安全基準のこれは期限を区切って国に対して求めるようなことはしていないのか。


◯原子力安全対策課長  最初の答えと同じではないのだが、起きたらすぐに問題提起を国にしているつもりである。そういう意味ではなるべく早期に、安全対策をしておくことで、あのような事故は防げる、安全は担保されるということを国にしっかり示していただきたいということを最初から求めているので、いついつという時限を別に求めているところはないが、早急に対応することへの気持ちは全く変わらない。


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もんじゅについて
◯佐藤委員  今の仲倉委員の話も、突き詰めていけばいろいろな議論にもなると思う。福島県と東京都のやりとりなども、以前はそういう議論があって、福島の知事がこれだけの連携を東京都ととって、東京都の石原知事は、これだけの税金であの当時につくっているではないかと言うとか、いろいろな国民の目の前で余りそういう議論をしても、福井県にとって得になるかどうかというのは今、部長が言ったような面もあると思うので、いかに福井県民のいろいろな意味で安全を守っていくかということで、もういろいろ議論したほうがよいし、大阪が敵ではないわけである。大阪の府民を逆に敵に回すようなことを何か福井県知事が言ったところで余り得策にならないから、そのような橋下知事の不安ではなく、むしろ橋下知事に対して期待しているけれども、そういうことを考えていくのではないかと思うのと、今これだけの事故が起これば、滋賀県知事もこの間来られたが、滋賀県も、京都府なんかは、京都府下全部の市町が連名で申し入れを出したりしているような動きになってきているから、はっきり言ってこれはとまらないと思う。要するに、我々の安全はどうしてくれるのかという要求が国、関電にそれぞれ出てくると、もうとまらなくなる。
 だからそういうところを牽制するのではなくて、もう少し、ある意味では協力できることは一緒に、国や関電、電力事務所に要求していくというような作戦も考えていった方が、気持ちはわからないではない気がする。そういう点が1点目である。
 それと、「もんじゅ」の引き抜いた装置について詳細に評価される必要があると考えているということだが、きょうのニュースでも報道があったような、結局装置が傷んでいたから、それが原子炉内部に傷がついていないかも確認しないといけない等、いろいろなことになってきていると思う。であるから、とりあえずは引き抜いた装置を分解して調べるということであるが、原子炉の中に傷がついているかどうかをどうやって調べるのか。


◯原子力安全対策課長  まず、炉内中継装置を抜き出して、先週末に、ついているナトリウムを洗浄することをやっている。であるから、まずは抜き出したものを詳細に調査し、その上で原子炉容器の中に受け手側的な形の構造物があるので、それと当たっているのか当たっていないのか、それともどれぐらいの当たり程度があるのか、そういうことを抜き出したものを詳細に見て評価をしていくことが第一段階である。その上で、その後どのような調査がさらに必要かを検討することになっている。


◯佐藤委員  原子力機構は、最初この情報のときに福井市民への説明会で大したことはないと言った。だからそういう、最初から大したことはないと言うという自信が不遜だと思う。結局大したことがあったわけであるけれども、県として厳しく、原子力機構はこれまでさんざん問題を起こしているところであるので、当たっているか当たっていないか。へこんでいるのだから当たっているであろう。どこかに当たらなければへこまないだろう。だからそういう当たっているのか当たっていないのかということでなくて、きちっと徹底的にどう調査をするのかという、その調査手法も含めて、これはすべての原因がわかるかどうかわからないけれども、原子力機構に任せるのではなくて、県でも厳しく点検するという姿勢が必要ではないか。


◯原子力安全対策課長  まず、抜き出したものを詳細に見て、へこみか打痕か、どういう傷かというのを詳細に評価した上で、炉内の反対側に当たっているようなものがあるならば、その部分に対してどういう調査が必要なのか、できるのかを原子力機構と議論していきたいと思っている。


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敦賀民間最終処分場問題
◯佐藤委員  7ページの最終処分場対策事業は以前の環境エネルギー対策特別委員会でもいろいろ議論があって、そのときも発言したと思うが、なぜごみが捨てられている場所がちゃんと業者と確認できていなかったとかというのが1点目である。
 それからもう1点は、あのときもボーリングの箇所が少ないではないかという指摘が議会からあったと思う。けれども、県側は、それでボーリングはオーケーであるということで対応した結果が、今度の予算である。だから、議会の指摘も聞いていれば再発防止になったと私自身も反省しているということが2点目である。
 最後に、100億円近くの予算が使われるが、結局いろいろな形で事業者あるいは個人から回収されているのは幾らかという点の3点を端的にお尋ねする。


◯循環社会推進課長  まず、1点目の処分場になぜ立ち入れなかったのかという点であるが、大分古い話になるけれども、当時立ち入りをしようと何度も試みて、拒否をされている。強制的に立ち入ることも考えたが、国にいろいろ指導を仰ぐと、その事業者の同意を得て立ち入れという指導を受けている中で、立ち入りができずに来てしまったと聞いている。
 それから、設計時の調査ボーリング数については、特別措置法の適用を受けようということで、調査、設計をしてやってきたわけである。その段階では、1つは期限的なものがあり、1つは期限が限られていて平成18年3月までにどうしてもやろうということと、費用的にもボーリングというのはお金がかかって、はっきり言うと県単独事業でやっていく必要があるということで、設計をしていく中で必要な数、必要な調査はやるということで対応したわけである。そういうことで、その数が少なかったと言われれば、確かに結果から見れば、現状から見ればそういうことかと思うが、当時の状況としてはそういう対応であったという状況である。
 それから、費用回収の件については、キンキクリーン株式会社の経営者、役員などから自主納付も含めて現時点で約2,600万円の回収をしている。


◯佐藤委員  約束であるから終わるけれども、県民の税金、国民の税金で大変なことになっているということがあるから、回収はしていただきたいということと、ボーリングなんかでも専門家の意見を聞けば、足りないとか、委員の意見でも荒過ぎるのではないかとかいう意見があったわけで、そういう意見をしっかり酌み取って調査していれば、少なくとも今回のさらなる追加工事が必要でなくなった可能性もあるので、今後とも精査しながらやっていただきたいことを要望しておく。

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透析について
◯佐藤委員  今の山岸委員の関連であるが、木村病院、済生会病院等のうち、夜間透析を実施する医療機関はどこか。


◯健康福祉部長  透析のデータを持ち合わせていないので、調べてすぐ報告させていただく。


◯佐藤委員  以前、日赤とか県立病院が夜間透析をやめたということで、大きな問題として報道されたことがあるが、これは改善されたか。


◯企画幹(子育て・医療)  腎臓の夜間透析については、今、腎臓の透析をやっている機関は県内で25機関あって、その中でいろいろネットワークを組んで、治療体制をどうしようかということで、そこに県も入っていろいろ話し合いというような形をやっている。夜間の透析については、おのおのの病院間の役割分担を進めていく中で、県内で10機関夜間透析をやっているけれども、県立病院は以前たしか夜間透析をやっていたが、今はやっていないけれども、県立病院は県立病院として合併症の患者を中心にやっていこうということで、夜間透析についてはそれ以外のところでやっていこうという形で、今進めているというのが現状である。


◯佐藤委員  いろいろ理屈は言われるだろうが、問題だと思うのは、今、山岸委員の話もあったけれども、県立病院はもちろん県民の税金でつくられて運営されている病院であるし、日赤であっても相当県などからお金を出して、そしていろいろ整備されている病院である。そういうところが需要の高い、要するに日中働いている人は日中透析できないわけであるから、夜間透析を頼る。どうしてもこの夜間透析を受けられないということになったら、仕事をやめないといけない、あるいは休まないといけないということになってくる。そういうところも含めてきちんと県立病院、日赤病院等の公立病院こそ責任を果たすべきだと思うが、いかがか。


◯企画幹(子育て・医療)  そういう医療機関との話の中では、夜間の透析について、今どうしても夜間透析をお断りしているというような、逼迫した状態だというようには聞いていないわけであるが、ただ、そういった意見があったので、またそういう話し合いの中で、そういう意見は申し上げたいと思う。


◯佐藤委員  県立病院は健康福祉部の管轄であろう。だから、皆さんがやらないといけないと決断すれば、県立病院については、すぐできるのではないか。日赤は少し相手があるかもしれないが、そういうことが普通だと思うし、実際困る透析患者がいるからあれだけ大きく報道されたのだと思うから、改善するよう要望しておく。
 それと、3ページの新規事業の地域支え合い体制づくりについては、結構大きなお金が出ているけれども、幾つかいろいろ書いてあるが、この事業の補助金の交付金をここで出しているのか。補助金交付要綱はつくられているか。


◯地域福祉課長  この事業は、全額国からの財源であって、その中である程度事業の想定があって、それを福井県の現状に置きかえて事業化したものである。ある程度市町にやっていただく事業の中身というのは決めてある。


◯佐藤委員  補助金として県が出すのか。また、補助金交付要綱はあるのか。


◯地域福祉課長  県から市町へ助成する。補助金交付要綱はつくっている。この議会でお認めいただければ、執行ができることになるので、今、準備を進めている。


◯佐藤委員  補助金交付要綱も大事であるので、また後ほど委員に要綱を提供していただきたいと思う。

   
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介護保険について
◯佐藤委員  第5期老人福祉・介護保険事業支援計画の策定について、今年度策定するということでいろいろなニーズの調査を行っていくと思うし、今策定に向けたサービス量の見込みとか、いろいろチェックされている時期だと思うが、今度はどういう点が論点のポイントになるのか。


◯長寿福祉課長  介護保険の計画は3年間ごとにつくるので、先ほど委員がおっしゃったとおり、次期の3年間でどれだけぐらいの施設のニーズがあるとか、在宅のニーズがあるということをきちっと見積もっていくということがまず前提にある。今後、先月の参議院で成立した改正介護保険法の内容が平成24年4月から施行される中で大きなポイントになってくるのが、夜間型の訪問介護を日中にまで対応するという24時間型の定期巡回・随時対応の訪問介護看護といったサービスが県内でどれぐらいできるのかといったことがポイントになると考えており、それをもとに高齢者が医療や介護が必要になっても、住みなれた地域で生活していけるといった体制づくりにつなげていくことが議論になろうかと思う。


◯佐藤委員  政府の法案の関係で言うと、これまでみんな強制的に介護保険料を払って、介護サービスを受けていた方でもサービスを外したりするというような要支援の問題等は、どのようにお考えなのか。


◯長寿福祉課長  昨年の社会保障審議会の介護保険部会でも、介護給付費の抑制に努めるために介護保険料を払っている方々の対象年齢を引き下げるとか、要支援者の軽度の方々を対象から外すといったような議論がなされたことは承知しているが、それに対する県としての所感か。


◯佐藤委員  要は今度の介護保険支援計画で、そうやって外されてしまう人に対する対応はどのように考えているのか。


◯長寿福祉課長  これも申し上げた議論の経過を見ていると、軽度も次期の計画では外されないことになっているので、介護保険給付の対象という意味では4期と5期で変わらないので、県としては同じ対象者に対して適切なサービスを提供できるよう計画をつくっていくということだと思う。


◯佐藤委員  保険料の問題だが、保険料をどう設定するかということも議論になると思う。今でも相当高いということでいろいろ議論があって、以前から福井県がため込んでいるのではないかということで、今幾らかわからないけども、4~5年前まで20数億円を福井県がため込んでいると、何で県庁がそんなため込むのかという議論があったと思う。やはりそういうお金を保険料の抑制とか値下げに活用するというのが今回のポイントではないか。


◯長寿福祉課長  今回の改正介護保険法の改正事項の一つとして、県に設置されている財政安定化基金という基金があり、それは国と県と保険者が3分の1ずつを拠出する形で現在基金残高が26億円ほどある。こちらを取り崩す形で保険者が拠出した部分については3分の1を保険者に返すが、保険料の上昇抑制に充てるということで使うことにしている。


◯佐藤委員  3分の1とは、26億円の3分の1だけ引き下げに使うという趣旨でとらえると思うが、積み立て金は結局県民の税金であろう。県はなぜ返さないのか。


◯長寿福祉課長  財政安定化基金本来の趣旨は、介護給付費を3年間の当初に見積もりをして、その見積もりよりも超えてしまった場合に保険者に対して県から貸し付けをする、あるいは交付をするという形で対応してもらうという趣旨である。その本来の趣旨がきちんと果たされる程度の財政安定化基金の残高を残しつつ、余剰になっている部分を取り崩してもともとの拠出部分である国、県、保険者に返すということであり、国と都道府県に戻ってくる使途については、介護保険法の一部改正の中でも介護保険の事業に充てるように努力義務が課されている。
 福井県の推計はまだしていないが、全国的には2,800億円の財政安定化基金の残高がある中で、厚生労働省としては1,500億円ほど取り崩せるのではないかという見込みを持っているので、その3分の1の500億円が全国の市町に保険料の上昇抑制という形で戻ってくるといったことが考えられる。


◯佐藤委員  これまで実際その基金を使った実績は3年間で幾らあるのかと、向こう3年間でその実績に基づいて幾らぐらい基金を積んでおく必要があるのか。


◯長寿福祉課長  過去の財政安定化基金が使われた実績としては、現在4期の3年目になるが、1期の3年目、平成14年度に当時の市町合併前の団体として越前町、織田町、三方町の3町に貸し付けを行っている。交付としては越前町、織田町に1回行っているが、貸し付けについてはその後3年間で返済していただいているので、現在のところ基金の増減はない。平成20年度まで国、県、市町で積み立てとして、毎年度5,000万円ほど拠出する形で積み立ててきていたが、一定程度の金額の貸し付けや交付実績がないということで、平成21年度からは特に新規に積み立てはしていない。


◯佐藤委員  今度新しくつくる支援計画ではどれくらいの積み立てを、この3年間はゼロだったけれども、今度の基金はゼロにするのか。幾ら積み立てるつもりなのか。だから、これまで3年間ゼロだったらそんなに、10億円とかそんな単位では要らないだろうと、そういうお金の基金はなるべく県民、被保険者に返すような形で利用したらどうかというのが質問の趣旨である。


◯長寿福祉課長  これまでの実績を考えると、5期計画においても新規の積み立てをする必要はないのではないかと思っている。財政安定という本来の目的が達せられる程度の金額がどれくらい福井県において必要であるかということは、本年度の懇話会でも委員に意見を伺いながら決めていくものであり、まだ推計していないので現時点では答えられない。


◯佐藤委員  3分の1というのにこだわらずに、やはり県民の税金で3分の1を積み立てている分も含めて保険料の抑制とか、引き下げ等に積極的に活用すべきではないかと提案しておきたいと思っている。
 最後だが、介護職員の処遇改善交付金は、ことしで終わりか。たしか1人につき1万円か2万円ぐらい給料が交付されるというか、償還がされるとかということで大変現場では歓迎されている。介護職というのは離職者が結構多くて、物すごくきつい仕事の割には給料が安くて離職者が多いということで、ありがたい交付金だと言われているが、県として国へどういう要望を出しているのかとか、見通しはどういう状況になっているのか。


◯長寿福祉課長  委員指摘の介護職員の処遇改善交付金については、平成21年10月から平成23年度末までの基金として交付されている。来年度の取り扱いについては、厚生労働省が介護報酬の中で見ていくのか、交付金という形で継続していくのかがまだ決まってないのが現状であり、福井県としてもこの3年間で、正確には2年であるが、介護職員の処遇改善交付金を申請された事業所においては1万4千四、五百円ほどの改善はなされたということはあるので、それを急激に交付金がなくなって介護報酬に入れると、今度は介護保険料にはね返りもあるし、交付金という臨時的な形をいつまで続けられるのかということもあるけれども、今回の職員の処遇改善につながった部分は、来年度以降も継続していただきたいという形で国へ要望している。

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県立病院について
◯佐藤委員  非正規職員のこともあるし正規の看護師のこともあると思うが、県立病院の経営自体は毎年どの程度の黒字、赤字になっているのか。


◯地域医療課長  単年度だけの、いわゆる世間一般に言う経常収支と、収益的収支というのは毎年赤字を出している。今、平成22年度の決算で申し上げると約4億円の赤字になっている。これは減価償却部分が約20億円あるので、だから、実際現金の支出には出ていかないものの、普通の会社もそうだけれども、収益がどうなるのかといえば当然償却も含めて、償却も費用であるので、それを含めてやっていくと約3億9,100万円、4億円近い赤字になっている。ただ、今、現金の支出を伴わない償却が20億円あるので、単にいわゆる資金収支というか、資金の出入りだけ見ると17億円ほどの黒字を出しているということである。


◯佐藤委員  山本(正)委員が言われたようにいろいろと考えられる余地もあるのかと思うが、それとあわせて北陸3県でも富山県とか石川県は7対1看護とかやっているけれども、福井県については採用していない。それは要するに看護師の過重労働という形になってきているわけで、だから、看護師が病気になって欠勤すると、以前はそれほど多くなかったが、最近は病欠者もふえているという話も聞いている。
 やはり、そういう労働条件全体をしっかり改善していくということと、健康に仕事をして県民に健全なサービスを提供していただくことをやっていかないといけない。とにかく職員をこき使えばいいと、もう日勤、深夜でふらふらになるまで使えばいいということにはならないのではないか。要するに、労働条件を改善し、医療現場で働いている人は健康でいないといけない。


◯地域医療課長  7対1看護の話である。委員仰せのとおり、北陸3県で見ると、いわゆる県立中央病院と言われるような病院ではほとんど7対1がある。7対1のやはりネックとなるのは、今、県立病院で7対1看護を導入すると約100人前後を入れていくことになるということである。100人前後を入れていくことになると、相当経営上も厳しいことになって、一時的な費用ではないのでどんどん給料は上がっていく。かといって、このままでいいのかという話であるが、それはそれで県立病院は急性期の病院であるので、このままでいいとは言いかねるところもあった。財政的な問題、人事的な問題もあるので、現在、県庁内で検討を進めているところである。


◯佐藤委員  現場で医療ミスが起こってからでは遅いわけだから、きちんと医師、看護師が働けるというのは大事であるし、石川県、富山県ではできて、なぜ福井県ではできないのかということにもなるし、いきなり100人入れて、言葉は悪いけども質の問題で、すぐ簡単に100人ふやせばよいというわけでもないと思うので、何年かの計画で健全な病院にしていくことを考えていただきたいということを要望する。

2011年6月県議会 予算特別委員会会議録・・・・・原発問題、国保問題など

2011年09月16日 | Weblog
2011年7月8日 予算特別委員会

「県民の命と健康、県土の安全を守る行政について-原子力、社会
         福祉を中心に-」
                              佐藤 正雄 委員


◯佐藤委員  今ほど恐竜博物館の話があった。今、日本では、原発事故の妖怪が放射能を伴って徘回している。これから高レベルの放射性廃棄物などを5,000年後あるいは1万年後ということで管理していかなければならないが、5,000年先、1万年先の人類が掘り出したらどうなるかというと、恐竜の化石みたいには喜べないなと思っている。
 質問に入るが、今回の事故を見れば、世界で活断層の上や活断層の近傍に原発をつくっているような非科学的な国は日本だけである。もともとつくるときには活断層が見当たらないとかいうことでの技術水準があったと思うが、今の技術水準だと、下に活断層があるとか、近傍に活断層があるということがわかっていても、そのままつくる、動かすということをやっている。そういう国は、日本だけなのである。だから、地震大国、津波大国の日本で、原発の安全基準を決めるということが果たして可能なのかどうかということも今問われてくるわけである。だから、ここまでやれば安全だという基準が果たしてあるのかどうかということも、今回の事故を見れば、率直に思わざるを得ないし、世界はそんなことはやっていないのである。だから、新しい基準、知事も提案されているし、政府もいろいろとまた提案されるみたいであるが、これで大丈夫ということにはならない。新たな安全神話になるのではないかというように懸念するが、知事の見解を尋ねる。


◯知  事  世界には400ないし500基近くの原子力発電所があると思うが、それぞれの国あるいは地理的条件のもとで原子力発電所を設け、また安全に気を配っていると思う。福井県あるいは我が日本の問題について申し上げると、国の原子力安全委員会は、6月16日に今回の事故を受けて、安全設計審査指針、耐震設計審査指針などの見直しに着手したが、この見直しには相応の時間が要すると見られる。
 そこで今、御指摘もあったが、県としては国が現在までに明らかになっている原因、そしてその対策のもとに、今できることをまず示し、これを新たな安全基準として設定し、事業者の対応を確認するよう求めている。
 また、今後の事故の原因究明の進捗によって新たに得られた知見については、その都度、原子力発電所の安全対策に反映するシステムを構築するなど、安全性の向上に不断の努力を傾けるよう、国に強く要請をしているところである。


◯佐藤委員  余り私の質問には正面から答えてはいないと思う。私もいろいろこういう事故が起こって調べて見たが、昭和48年当時、衆議院の科学技術振興対策特別委員会でこういう議論がなされている。アメリカの研究成果として紹介されているのであるが、冷却剤がなくなった後、核燃料の燃料ピンの表面は10秒から15秒のうちに燃料の損傷が始まり、1分以内に被覆管、覆っている管は溶けて、燃料ピン自体も溶け始める。この最初の1分間のうちに緊急炉心冷却装置が効果的に働かなければ、全炉心、燃料、支持構造体は溶け始めて、原子炉容器の底に落ち込み、この段階で水を注入すると、被害は一層大きくなると書いてあるのである。
 だから、今回の1号機がそうだったのだろうと思うが、この段階で水を入れると、被害は一層大きくなる。というのは、溶けたばかりの金属が水と激しく反応して、大量熱を発生し、蒸気と水素を大量に出して、格納容器を吹き飛ばす、そういう圧力になる。もし、格納容器が爆発しないとしても、どんどんどんどん下に溶けた燃料が落ち続ける。事故のこの段階においては、溶融をとめるのに十分な工学技術は全く存在しない、制御不可能なのであるということで、昭和48年当時であるが、国会でもこういうふうに、アメリカの研究成果であるけれども、報告されている。
 だから、やはりこういうことが、当時はある意味では冷静に国会でも議論されていたのであるが、いつの間にか原発だということになって、そういうことがきちんと検証されないまま、核事故対策が検証されないまま、どんどんどんどんつくられてきたというのが実態だと思う。だから、もう一回知事に問うが、福島で起こったような過酷事故、これは福井で起こるかもしれないと、そういう危険が常につきまとうと、こういう危険と一緒に福井県民がずっと暮らしていてよいのか。


◯知  事  昭和48年の例を上げられたが、こういうことが実際アメリカの原発でどのように反映されているのかということを調べないとわからないが、ともあれいろいろな知見をその都度それぞれの国が、国際的な機関もあるけれども、反映しながら、人類がこれまで得てきた技術をいかに、安全を第一にしながら、エネルギー供給に活かしていくかと、こういう努力をこれまで積み重ねているということであり、その経過の中でさまざまな事故やいろいろなことが起きた時代があるけれども、これを教訓に具体的な対応していくというのがこれまでの歴史であり、これからもそのような必要があると思う。


◯佐藤委員  アメリカの研究成果は、昭和48年の国会で報告されたものであるが、実際はこういうことになってしまって手の打ちようがないということが当時の技術水準とか研究水準でも報告されているというである。だから、そういう過酷事故の危険が常に、常にというか、あり得る原子力発電所というのは、やはりこれは見直すという方向に踏み出すべきだと思う。
 それで今、問題になっているのは、ストレステストの問題である。これは二つ問題があると思う。内容がどうなるかという問題と、もう一つは、どこがちゃんと責任を持ってこういうことをやるのかということである。知事は、内容の問題で、福井県の要望にもこたえないで、また別に新たなそういうテストを出してけしからんと、その内容もさっぱりわからないということでお怒りになっているが、もう一つは、どこがそういうことをきちんと客観的にやるかという問題があると思う。新聞報道だと、原子力安全委員会が原子力安全・保安院に言って、原子力安全・保安院がやるのだと、こういうことになっているみたいである。そうすると、これまで原発をやれ行けそれ行けと進めてきたところがやるわけであるから、全く信用ができないように思う。
 知事もいろいろ意見はあると思うが、ストレステストをやるということは政府が決めたことであるから、これを中止してとはなかなか言えないと思う。やる以上は、原子力安全・保安院が中心になってやるのではなくて、もっと幅広く研究者も集めて、第三者の機関でこういうものをきちんとやっていくということを求めるべきではないか。


◯知  事  今回のストレステストというものが、まだどういうもので、どういう中身で、どういう期間を要するもので、そしてどういう評価をするものかよくわからないので、残念ながら十分にお答えできないというのが現状である。


◯佐藤委員  政府はやるということをもう発表している。十分答えられない、内容がわからないというのはわかっている。私が言っているのは、内容ともう一つはどこがやるのかという問題で尋ねている。原子力安全・保安院だけではだめではないかと思わないかということを尋ねている。


◯知  事  どのようなことをするかによって、だれがするかということがわかるわけであって、それを詰めないとわからないと思う。


◯佐藤委員  内容の問題とともに、どこがやるのかという体制の問題も厳しくチェックしていただきたいと思う。
 次に、知事が言っている高経年問題である老朽化問題であるが、原発は使っているうちに中性子を浴びてもろくなってくる、壊れやすくなってくるという問題がある。通称脆性遷移温度と言われているが、これは福井県で古い、例えば敦賀1号、美浜1号でいうと、運転開始時は何度であって、現在は何度になっているのか。県内の原発で一番高くなっている原発はどこか尋ねる。


◯安全環境部長  原子炉容器の材料が中性子の照射を受けて、粘り強さというか、それが徐々に変化する脆性遷移温度であるが、敦賀1号機では、運転開始時にはマイナス12度、直近の電力業者の評価、平成15年と伺っているが、そこでは77度になっている。美浜1号機については、運転開始時ではマイナス50度、同じく直近の検査を行った平成13年の評価では81度になっている。県内の発電所でどれが一番高いかということであるが、今説明した美浜1号機の数値が一番高くなっている。


◯佐藤委員  今説明いただいたように、当初から見ると、敦賀1号機で80度以上、90度近く高くなっているし、美浜1号機に至っては130度ぐらい高くなっている。いざというときにECCSで冷たい水を入れたときに、ガラスの熱いコップが一気に冷たい水を入れるとぱりんと割れる現象と同じようなことが起こり得る危険があると専門家から指摘されているわけであるが、やはり老朽化原発の問題で、こういう欠点がどんどん拡大しているという原発は運転をやめてもらうことが必要ではないか。


◯安全環境部長  高経年化の炉については、これまで福井県としても国に強く安全対策を要望してきたところである。敦賀1号機については、私ども、40年を超える際に中間安全確認ということで特別な検査も要求している。国においても、このような高経年の炉についてはさまざまな安全対策を実施し、検査、評価していただく必要があると思っている。


◯佐藤委員  幾ら高経年対策をやられても、この温度を下げているわけではない。この温度はずっと上がってきているのである。要するに原子炉そのものが壊れやすく、だんだんもろくなってきているということをとめられてはいない。だから、そういう危ない原発はとめたらどうかと言っているのである。


◯安全環境部長  原子炉の運用に当たっては、脆性遷移温度を把握して、これの温度に下がらないように運転するという、こういう運転規定というか、そのように対応していると聞いている。


◯佐藤委員  いざというときには冷たい水を入れるであろう。そのときにぱりんといったらどうするのか。ふだんはいい。ふだんはそうやって温度管理に気をつけてやっていればいいけれども、いざというときに、冷たい水を入れなければいけないときに、こういう問題が焦点になるわけであるから、今の部長の答弁はおかしいのではないか。


◯安全環境部長  運転の温度について、その対応策というか、温度管理というものをしっかりして、緊急の場合の安全も加えるということである。


◯佐藤委員  答えられないということは、打つ手がないということなのである、はっきり言えば。部長を責めるわけではないが、これに打つ手がないのである。打つ手がないものは、やっぱり県民の安全のためにはとめることが必要である。交換するとか、改修するとか、そういうことはこれまでもいろいろ県も要求しているが、これは打つ手がないのである。打つ手がないものはとめるということを強く要求したいと思う。
 次に、今回の福島事故と津波対策の問題が取り上げられたが、実は2005年、2006年の県議会で私も質問し、福井の原発について対応を求めていた。そのときの議事録を読んでみると、要するにちゃんと検証して、県民に対してちゃんと情報を公開してほしいということも要求していた。今回こういう事故が起こって、福井県も福井県内の電力事業者も慌てて対応しているという状況を見ると、2005年、2006年の県議会での質疑、これをまともに受けとめていなかったということか。


◯安全環境部長  その当時の質問については、津波の際の引き波で海水が取水できなくなるのではないかというお尋ねだったと思う。その際、国は、平成14年の土木学会の手法を用いて評価を行い、引き波のときでも海水の取水は可能と評価をしているが、当時、敦賀発電所ではさらなる対策工事を行って、海水の取水を確保するための工事を実施している。その後、平成18年9月に兵庫県南部地震等を契機として、地震安全性に対する耐震設計審査指針の改定が行われ、津波や地震に伴う考慮すべき事項として示されたところである。現在、国において、その評価の審議が進められていて、これまでに活断層及び地震の揺れであるとか、主要機器の評価は終了しているが、津波の評価はまだ完了していないので、県としてはこの評価が早期に完了するように国に求めていく。


◯佐藤委員  当時の委員会で私がどう言ったかというと、福井県というのは、先日の新聞報道によればということで、津波の対策とかそういうのをほとんどしていない県の一つになっており、もし仮にスマトラ沖の地震のときのように来た場合に、原子力発電所はどういう対応ができるのか、どんと押し波が来ても、引き波が来ても大丈夫なのかということを伺っていた。そういう点では、県としてもその時々、いろいろな世界的な問題とかあるいは国内の問題とか考えて県会議員はそれぞれ問題提起もするわけだから、やはり真剣に受けとめていただきたいと思う。
 次に、今回、防災対策の問題がいろいろと議論になっているが、原発から放射性物質が放出される事態での住民避難の問題である。かつて福井県が国民保護のプランをつくったときに外注した資料を見ると、最悪の場合は80キロの住民避難が必要になるというような資料が提供されたと思っている。だから、厚生常任委員会でも議論があったし、知事もやりとりでいろいろ答えていたが、何か嶺南地域だけに限定した基礎調査をやるとか、そういうやり方では当然だめなわけで、福井県であるから、当然福井県内全域で、よその県まで調査するわけにはいかないが、そういう基礎調査はやはり福井県内全域にまたがってとやるべきだと思っている。
 先ほどの松井議員と知事のやりとりを聞いていると、知事は、県下全域でやっていくものもあると答えているが、この県下全域でやっていくものもあるというのは、ただ単にモニタリングポストをつけるというだけでなく、そういう全県民的な避難が必要になる場合も含めて調査すると考えるということで認識してよろしいか。


◯危機対策監  先ほど、松井委員の質問に知事から答弁申し上げたとおりである。これからいろいろ議論を進めていく過程の中、県下全体について検討していかなければならない項目というのも考慮に入れている。その中にはモニタリングのあり方あるいは道路といったハードのあり方、あるいは食物や水の摂取制限であるとか、健康問題、いろんなファクターが考えられる。そこを今の段階では柔軟にとらえていかなければならないと考えており、そうした趣旨で答弁を申し上げたところである。


◯佐藤委員  先般の厚生常任委員会の議論も踏まえて、ぜひそのようにやっていただきたい。


◯危機対策監  今、佐藤委員が指摘された80キロの話であるが、平成16年に福井県が国民保護計画をつくる際、参考資料としたアメリカの飲食物摂取制限区域が80キロであり、これを一つのケーススタディーとしてコンサル側が提示したものである。県としてこれを認め、県の計画に反映させたものではないということをつけ加えさせていただく。


◯佐藤委員  県の計画がそうなっていないということはわかっている。しかし、実際に、例えば今回のような地震、津波とか、あるいはその想定はテロであるが、どちらにしても大量の放射性物質が飛び散ったときに、そうしたことが必要になるということであるから、そういうのも一つの参考だと思う。
 今、福井県は消防の統合というか、広域化を進めているが、やっぱり今回の事態を踏まえると、これ自体も見直す必要があると思う。というのは、消防広域化というのは、結局資機材は落ちるのである。資機材の整備、表向き率は上がるが、一カ所一カ所の住民当たりの消防車とか、いろんな消防資機材の数は落ちるわけであり、この際、今回のような大震災、大津波、原発災害を踏まえて、県のそういう計画は改めて見直しも含めて考えるべきではないか。


◯危機対策監  広域化については、県の重要課題として推進計画の検討に着手しているところである。平成20年には消防管理者会において県内3消防本部体制に持っていこうということを全管理者が了承し、今後、広域化の実現に努力することで合意をしている。また、同じく平成20年であるが、嶺北北部、丹南及び嶺南の3消防本部体制を柱とする県の消防広域化推進計画を策定しているところである。御承知かと思うが、広域化の期限が平成24年度末に迫っている。また、消防の情勢も今回の大震災などで刻々と変化しているという事情もあるので、今後こうした合併のための準備協議会の設置等、強力に働きかけていく必要があると考えている。


◯佐藤委員  今回の災害を踏まえたら、そういう広域化は見直すべきではないか。要するに、小浜から消防署なくすとか、そんなことはだめだと思う、はっきり言えば。例えば、原発地域の隣接地域で消防署がなくなってしまうことはいけないと思う。


◯知  事  消防の機能を高めるために集中した方がよいのではないかと質問をされて、答弁したのではないか。


◯佐藤委員  逆なのである。広域化というのは、機能を高めるという名目であるが、実際は各地域の消防署がなくなっていく。実際、今、福井県にある台数よりも、いろんな資機材の整備台数は、率では名目的には上がっても、台数そのものは落としていくのである。そういうことはだめではないかということをお尋ねする。


◯危機対策監  今回、広域化を進めているけれども、この一つの目的は、消防力の基盤強化である。単に効率化、削減といった観点ではなくて、そうした基盤強化も目標にしているので、そうした観点も加えた広域化の推進というのに留意していきたいと考えている。


◯佐藤委員  結局、広域化で拠点がなくなるということは、いざというときにはそこに災害対応の拠点がなくなるということである。幾ら敦賀市に集めるとか、福井市に集めるとかいっても、それぞれの地域の拠点がなくなったら、いざというときの対応は遅くなるのである。今回のように、あっという間に事故が進展したときには対応できないである。そこは、今の計画をやめるとは言えないかもしれないけれども、真剣に今回の災害を踏まえて、見直していただきたいと思う。
 次に、社会保障関係の問題に移る。以前の任期のときにも国民健康保険問題を繰り返し取り上げさせていただいていた。国民健康保険の保険証が、要するに役所から取られてしまった、病気だけれどもお医者さんにかかれない、私どもにそういう相談が結構実はあるのである。だから、実態を尋ねるが、国保税の滞納世帯に対する資格証明書、これは医療が実質上は受けられないというケースが多いのであるが、資格証明書とか短期保険証の発行の状況、そして資格証明書での医療機関を受診された件数、これはこの数年間、どのような状況かお尋ねする。


◯健康福祉部長  国民健康保険税の滞納世帯に対する被保険者資格証明書の発行状況であるが、平成19年度から平成21年度までの3年間を申し上げると、それぞれ平成19年度が2,885世帯、平成20年度が2,631世帯、平成21年度が2,284世帯と減少してきている。一方で、短期保険証というものがあるが、それは逆に5,241世帯、5,437世帯、5,530世帯という形で、発行数をふやしているという状況である。それと、被保険者のいわゆる資格証明書での医療機関の受診ということであるが、同じく3年間で、平成19年度が1,009件、平成20年度が898件、平成21年度が644件という状況である。


◯佐藤委員  このように、実際には滞納世帯もふえていく中で、短期証が発行されたり、資格証が発行されたり、そういうことになっているのだと思う。それで、実際、資格証明書で受診された件数が1,009件から644件に減っているが、実際にこの資格証明書では10割全額を窓口で払わなければいけないから、なかなか医療機関にかかれないという問題がある。
 それで、実際どれぐらい大変なのかということで、いろいろ資料もいただいたが、1人当たりの税額というのが、平成21年度は8万4,565円で、そういう方の世帯の平均所得が幾らかというと、120万円である。だから、120万円で、例えば二人家族なら17万円ぐらいを国民健康保険税だけで払わなければいけないということで、結果的にどうなっているかというと、1世帯当たりの滞納額が平成17年度は7万5,000円だったのが、平成21年度は10万2,000円と、ぐっとふえてきているわけである。だから、やっぱりこの根底には、収入が少ない、収入が減っている世帯に対して税金だけはどんどんかけていくという矛盾がどうしても出ていると思う。見解を伺う。


◯健康福祉部長  確かに経済状況が厳しい中で、国保の対象者に所得の低い方が入ってきているという現状がある。そういう方々であっても、国民健康保険税については、滞納されても基本的にはそれぞれの市町の窓口あるいは担当と相談していただければ、すぐにそういう資格証明書ということにはならない。基本的には所得の範囲の中で分納を誓約していただくことなどをそういう方にはお願いしている。それと、国保税の条例には減免規定というのがある。本当に資力がない方とか、事情があって収入よりも資力がないと認められる方、あるいは医療がどうしても必要という方については、そういう減免規定もある。ただ、市町の担当と相談していただけない、あるいは何回相談に来ていただきたいと督促をしても来ない方がどうしてもいる。その段階に応じて、短期証であるとか、これは普通の保険証と基本的に同じであるが、資格証明書、これは10割払っていただき、後で7割返すという制度であるが、そういう方々については、国保財政には税と公費の投入があり、負担と公平のバランスもある。そういう事情をきめ細かくやるようにという、国からもあるいは県からも市町へ指導している状況の中で、短期証がふえて資格証明書が減っているという状況になっている。


◯佐藤委員  部長が言われるように、きめ細かく現場でもやっているかというと、現場は必ずしもそうではない。では尋ねるが、国保税の減免条例を持っている保険者の数、それから免除規定を持っている保険者の数、実際どれぐらい減免されているのか。


◯健康福祉部長  災害等があったときなど特別な事情がある場合に適用できる国保税の減免については、平成22年度末現在で、全市町が条例に規定している。その中で、具体的に保険税を全額免除という規定まで持っているところは10市町で、あとは減免である。平成19年度からの3年間の減免世帯数と減免額を申し上げると、平成19年度が43世帯で約2,000万円、平成20年度が332世帯で約1億1,000万円、平成21年度が364世帯で約1億2,000万円という状況である。


◯佐藤委員  そのように、減免規定を持って活用されているにもかかわらず、実際には滞納世帯、滞納額がふえ続けているというのが実態なのである。だから、主には市町であるけれども、行政の機能として市民生活の実態に合っていないという問題があると思う。実際その背景で何がやられているかというと、強権的な差し押さえである。これもお聞きしたら、平成17年度は488件、平成21年度は1,396件ということで、そういうように強権的な徴税行政をやって、ある意味では市民をおどして、やっているわけである。
 そもそも年収が、福井市でいうと100万円未満の世帯が2分の1なのである。100万円未満の世帯が2分の1のところに、二人子供がいるところに20万円も税金をかけて、まともに払えるはずがないのである。やっぱりそういうことは見直さなければいけないと思う。見直しは国の責任が大きいのであるが、ここは県議会であるから、県として役割を果たしてほしい。県としてはこれを支援するということで、県独自の財政支援というものをぜひ考えていただきたい。
 これは市がやることだ、町がやることだということで、市町任せではなく、県として独自に考えてほしい。福井県としては、独自のそういう財政投入は1円もしていないわけであるから、やはりそういう財政投入はやるべきである。そして、県民の生活、市民の生活を支えるべきだというように思う。


◯健康福祉部長  県独自の国保への助成は確かに行っていないが、今現在も県からは国保の会計へ毎年法令に基づいて40億円を超える財政支援をしている。これは高額な医療費がかかった場合であるとか、それこそ今、委員が御指摘の低所得者の保険料の軽減の財源にするためにやっていて、この金額もここ毎年数億円ぐらいずつ増額している状況にある。
 そして、県独自でのそういう国保財政の支援というのは、全都道府県調べても、現状のところ、やっていない。ただ、先ほども申し上げたように、国保のいわゆる加入者の構造的な問題というのは、全国的な状況である。今、国では社会保障と税の一体改革の中で、保険料の軽減の部分についても議論されているので、そういう議論も見ながら、そういう制度ができるように県としても要望していきたいと思っている。


◯佐藤委員  全都道府県がやっていないということはない。やっている都道府県もあるはずである。だから、やはりきちんと県として県民の命と健康に責任を持っていただくことを再度要望して終わる。


2011年6月県議会 一般質問議事録

2011年09月16日 | Weblog
2011年6月県議会 一般質問

◯議長(田中敏幸君) 佐藤君。
    〔佐藤正雄君登壇〕

◯7番(佐藤正雄君) 日本共産党の佐藤正雄です。少し長いお休みをいただいておりましたが、再び復帰いたしまして、県民の声の代弁者として大いに知事初め理事者の皆さんに提言をしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。
 まず、福島原発事故で安全神話が崩壊した原子力行政について質問します。
 私自身も救援物資の輸送と、がれき処理のボランティアで福島県を訪ねました。相馬市、南相馬市、飯舘村、新地町などを訪ね、津波被害のすさまじさとともに、原発の過酷事故でふるさとを奪われ、家族がばらばらにされた苦悩を伺いました。飯舘村の女性からは、私たちはここに戻ってくることができるのですかと聞かれまして、返す言葉がありませんでした。
 南相馬市の自営業者の方からは、家族4人で暮らし、商売をしていた。原発事故で立ち退かざるをえなくなり商売はできない。自分は、知り合いの方の2階に間借り、高校生の娘は高校を転校して1人で下宿、妻ともう1人の子供は神奈川の親戚へ、家族がばらばらになりましたとお話になりました。
 また、南相馬市や浪江町では避難所に福島県がヨウ素剤を届けたけれども、箱で届けられて服用の指示がなく、そのまま置かれて、住民の方々の甲状腺被曝を防ぐことができなかったということもお聞きをいたしました。
 今、これらの多数の方々がふるさとに戻ることができない、家族の生活や営業を取り戻すことができない、また被曝して将来の発がんの恐怖を味わっています。このような状態を放置したままでの国や原子力安全・保安院の安全宣言は許されないと、強い憤りを覚えます。
 6月21日の原子力安全・保安院による福井県と福井県議会への説明は、科学的な説得力に欠き、多くの議員からも厳しい批判が出されました。何より問題なのは、地震によっても各安全機能は正常に動作していたと断定し、老朽化についても、事故の発生及び拡大の起因になったことはないとし、さらに浜岡原発の停止要請との関係でも、福井県の周辺海域にはプレート境界は存在しておらず、浜岡原発で想定されるような大きな津波が襲来する切迫性はないと決めつけ、結論として、福井県内の原子力発電所等の運転継続や運転再開することは安全上支障ないと述べていることです。
 これらは、第1に、今回の東日本大震災において、福島原発並びに女川原発が受けた地震による損傷を全く評価していないこと、第2に、機器・配管などの損傷の分析もされていないのに、老朽化の影響はないと決めつけていること、第3に、若狭の歴史的巨大地震や大津波の記録などの検証が行われていないこと、第4に、原発直下や近傍の活断層の存在が明らかであり、中越地震での柏崎刈羽原発や、今回の大震災での女川原発での2,000ガルの地震動記録を無視していることなど、科学的な議論と検証に耐えられない、極めて雑な説明でした。
 このような非科学的な断定は許されません。経済産業大臣が浜岡以外は運転しても大丈夫だと述べた、その政治的な思惑に追従した官僚による説明でしかありません。こんな調子で、全国の原発は安全ですよということにされたら、新たな安全神話の誕生となるではありませんか。
 日本共産党の志位和夫委員長は23日、首相官邸で枝野官房長官と会談し、定期点検などで停止中の原発について、政府が「安全宣言」を行って地元自治体に再稼働を要請したことを強く批判し、首相あてに要請の撤回を求める申し入れを行いました。枝野氏は「一般社会の常識で考えても、地元の知事が絶対反対と言っているものを再稼働させることはできない」と答え、地元自治体の同意が得られなければ、原発の再稼働は不可能との認識を示しました。
 西川知事の態度を応援する言質を官房長官からとったわけで、知事には揺るがず県民の安全最優先に頑張っていただきたいと思います。
 さて、原発で過酷事故が起こったときは、航空機事故や炭鉱事故などほかのどのような事故とも比較にならない空間的、時間的、社会的に巨大な、異質な危険を人間にもたらすものだということを私たちは思い知ったわけです。人類の英知をもってしても、なお制御できない原発事故、このような技術が果たして私たちと共存し続けることができるのでしょうか。
 私はこれまでも、福井県民の安全がより脅かされる原発増設や、「もんじゅ」の運転再開、プルサーマル計画、老朽化原発の運転延長などに反対し、巨大地震、津波に備えて既存原発についての安全総点検を議会の内外で求めてまいりました。しかし、今回の福島事故を見れば猶予はありません。日本共産党は政府に5年ないし10年で原発から撤退するプログラムを策定するよう提言を発表し、政府にも申し入れを行いました。
 世界でもドイツ、スイス、イタリアなどで原発からの撤退の動きが始まっています。福島県では原発に頼らない県づくりの計画が始まりました。大阪府知事、滋賀県知事、大阪市長など福井の原発の電気を使用している地域で、原発からの撤退を望む発言や行動が強まっています。福井県内でも、小浜市議会で全会一致で期限を決めて原発からの撤退を求める意見書が採択されました。越前市議会でも同様の動きがあると報道されています。坂井市長も、原発に頼らない社会の必要性を述べています。
 このように、世界の流れ、日本の流れが、福島原発事故を通じて大きく変わってきています。福島と並び原発集中地の福井県こそ、福島原発事故の教訓を酌み尽くし、県民の命と安全、財産を守る地方自治体の使命を発揮すべきときであります。福井県の原発群を期限を定めてゼロにしていくことを決断されるように、知事、理事者並びに議員の皆さんに呼びかけるものです。
 こういう立場から、何点か知事に質問をいたします。
 一つは、今回の福島原発事故を受けて、なお民主党政権は原発はやめない。絶対安全の原発をつくる、浜岡以外の原発は安全だなどと原発推進に固執し、世界から失笑を買い、国民からは総スカンです。
 朝日新聞の世論調査では、「原子力発電を段階的に減らして将来はやめること」に74%が賛成。NHKの世論調査では「減らすべきだ」が47%、「すべて廃止すべきだ」が18%。日本世論調査会の調査では廃炉が82%、現状維持は14%。国民の多数が原発からの撤退を求めています。
 知事は、今回の事故を受けてなお、巨大地震や津波が繰り返し襲来する日本で、絶対安全の原発が可能であり、原発推進を続けるべきだとお考えですか。それとも、日本は原子力中心のエネルギー政策を見直すことが必要だとお考えですか。今こそ、県民の命と県土の安全を最優先に考えれば、期限を定めて原発からの撤退を決断すべきだと考えますが、知事の所見をお尋ねをいたします。
 2点目は、今回の福島原発事故、また女川原発の被災を受けて、安全設計審査指針、耐震設計審査指針の見直しが行われますが、国はこれをどのような内容にし、どのようなスケジュールで進めるべきか、知事の所見をお尋ねします。
 3点目は、福井県の原子力発電の受益地域である大阪、滋賀、京都を初めとする自治体から、原発見直しの声が上がっています。これは、平たくいえば、福井に迷惑施設の原発というだけではなくて、福島事故をみれば、20キロ、30キロ、40キロと被害が及ぶのであり、「私たち関西の人間にとっても危険な迷惑施設だ」ということがわかったからです。私は、関西地域で原発に頼らないエネルギー開発を大いに進め、福井の原発を頼ることをやめていただいたらいいと思います。エネルギーも地域での自給を考えていく時代です。また、福井県としても再生可能エネルギーの研究・開発・普及を大いに進めるべきです。いずれにしても、消費者に歓迎されない商売、消費者が嫌がる商品ではうまくいきません。
 知事は、この間の関西地域の巨大な変化をどう受けとめますか。また、福井県の原子力行政への影響をどう考えますか、お尋ねをいたします。
 4点目は、原子力防災についてです。
 今、これまで原子力災害を考えてこなかった各自治体でも、原子力防災計画の準備が始まっています。この計画を自治体関係者や住民が考える上でも、県内各自治体単位で、今回の事故と住民避難など対応の課題について、福井県が主催をして、原子力安全・保安院や専門家などによる住民説明会を開催すべきではありませんか。
 また、各自治体が原子力防災に関するヨウ素剤や線量計などの必要資機材を準備するに当たり、国に財政措置を要求するとともに、当面は県単独の補助制度をつくり応援すべきではありませんか、お尋ねをいたします。
 大きな二つ目は、教育行政について質問します。
 まず、教育振興基本計画案についてです。
 今回の基本計画案の策定は、余りに拙速であることを指摘しないわけにはいきません。ほかの県では、検討委員会が設けられ、県民に開いた形で行われています。しかし、福井県ではそのような委員会はつくられず、教育文化ふくい創造会議の提言に基づきまとめられました。今後の福井県の教育にかかわる重要な内容が一方的に策定され、県議会の意見やパブリックコメントで形だけ意見は聞くという手法で定められることは重大な問題です。
 また、内容上も重大な問題があります。小規模校では切磋琢磨が困難として学校再編を進めようとしています。今回の予算案でも、公立小中学校適正規模化支援事業として、合同授業の開催など、基本計画の内容がなし崩し的に進められようとしていることは許されません。そこで、策定時期を急がず、今回の議会、パブコメの意見を踏まえつつ、さらに県民参加の検討委員会を立ち上げて、せめて年度内での策定にするなど、慎重に進めることを提案します。見解をお尋ねをいたします。
 次に、環境エネルギー教育についてです。
 昨年11月のエネルギー研究開発拠点化推進会議では、文部科学省が原子力・エネルギーに関する教育の支援として、福井県下の児童・生徒、教員を対象とした原子力などのエネルギー環境教育に関する取り組みを支援する財政措置が示されました。また、平成21年11月から昨年10月までの実施状況として、行政として敦賀工業、若狭東、大野東高校において原子力・エネルギーの授業を実施、小・中の教員を対象に研修、教職員、生徒を対象とした「もんじゅ」の施設の見学、原子力・エネルギー教育に関する教材の整備を実施している。電力事業者としては、平成21年度に2万2,000部の教材を提供して、150回の出前授業を行っている。平成22年度には、2万4,000部の教材を提供して、120回の出前授業を行っている。藤島、高志、武生高校では高校生の実験・発表を支援など得々と報告されております。福島原発事故を受け、このような一方的な原発の安全宣伝を子供に注入していくようなやり方はやめるべきではありませんか。事、原子力関連の教育については、今回の事故を受けて、従来の電力事業者本位の教育研修は直ちに中止すること、仮に講師を呼ぶ場合は、電力事業者に偏らずに、県内外で原発の危険性を指摘してきた専門家や運動団体の方の話も聞かせて、教育現場で公正さを保つようにするべきではありませんか、お尋ねをいたします。
 3点目は、学校耐震化についてです。
 小・中学校の耐震化では、100%は池田町と高浜町だけで、全体では71%にとどまっています。福井市は69%です。今回の東日本大震災、この間の全国各地の大地震を見ても、子供たちの安全の確保、そして地域住民の避難所の安全の確保を急がなくてはなりません。県の補助実績は、104棟、1億6,000万円で、実に1棟当たり150万円ほどにしかすぎません。県の補助率、補助額を抜本的に引き上げ、子供の安全・安心、地域の避難所の耐震安全性確保に全力を挙げるべきではありませんか、お尋ねをいたします。
 また、小・中学校の耐震化、県立高校の耐震化、それぞれいつまでに100%にするのですか、お答えください。
 あわせて、県議会が2月議会で予算措置した特別支援学校へのクーラーの設置について、今ももう暑い毎日が続いておりますけれども、ことしも猛暑という予想でございますが、対応状況をお尋ねをいたします。
 最後に、学級編制について質問します。
 民主党政権の政策のダッチロールは国民生活の各方面に混乱と不安を与えております。とりわけ子供の政策にそのような混乱を持ち込むことは大変な問題です。しかし、学級編制問題で、小学1年だけ35人学級となりました。予算の都合で2年生は来年40人学級に戻るということになるわけです。大体1年生、2年生は学校になれていく、集団生活にもなじんでいくということで、従来からクラスがえとか担任の変更は極力避けられてきたと思います。しかし、今のままでは、福井市で9校、鯖江市で3校など全県で21校で学級数が減少し、現場と子供に混乱が持ち込まれます。これは国の責任ではありますが、県として独自の教員増などの対応で、小学1年生から2年生に進級する際のかかる混乱を回避し、子供の成長と教育に責任を果たすべきではありませんか。以上お尋ねをして、質問を終わります。

◯議長(田中敏幸君) 知事西川君。
    〔知事西川一誠君登壇〕

◯知事(西川一誠君) 佐藤議員の一般質問にお答えします。
 まず、原子力行政であります。
 安全を最優先に考えれば、期限を定めて原子力発電から撤退を決断すべきではないかとの御質問であります。
 今回の福島原発事故の影響の大きさから、国内や海外ではドイツあるいはイタリアなどで、既存原発の運転停止でありますとか、あるいは新規原子力発電所の建設を中止するという、いわゆる脱原発の動きがあることは承知をいたしております。一方、石油あるいは天然ガスなどエネルギー資源が乏しい我が国は、自然エネルギーについての国土条件、また地熱発電なども立地条件などさまざまな制約がありながらの議論になっているかと思います。このため、原子力発電は将来にわたるエネルギー確保と産業政策や地球環境保護のため重要と認識しており、現実を直視しながら冷静に今回の問題を考える必要があると考えます。
 エネルギー政策は、国家の基本政策であり、その変更等については慎重な議論が必要でありますが、今回の事故を機に、自然エネルギー、新エネルギーの普及など、エネルギーの多角化も重要であると考えます。
 次に、原子力行政の中で、安全設計審査指針及び耐震設計審査指針の見直しが行われるが、国はこれをどのような内容にし、またどのようなスケジュール、手法で進めるべきかについての所見であります。
 福島第一原子力発電所の事故を受け、国の原子力安全委員会は、6月16日に、原子力発電所の安全基準であります安全設計審査指針、これはシビアアクシデント対策などを含めた議論が行われます。それから、耐震設計審査指針、これは海溝型あるいは活断層の地震などを再評価する項目などが入ると思います。こうした審査指針等抜本的な見直しに着手をしたところであります。
 この見直しに当たりましては、原子力安全委員会の専門部会において、地震や津波の基本的な評価や、今回の福島事故で明らかになった長期の原子力発電所の外部電源装置に対する備えと、万が一の非常用電源の確保などについて、平成24年3月までに、まず主な論点、基本的な問題の整理を行うことにしております。
 しかし、具体的な指針の見直しの時期については、いまだ示されていないことから、県としては、この見直しが早期に行うとともに、スケジュールを明らかにしていただく必要があると思います。県としては、こうした動きはありますけれども、その結果をただ待つことなく、既存の原子力発電所の安全向上に反映できる福井県として考えられる施策については、直ちに実行すべきであると考えております。
 それから、同じく原子力行政の中で、関西地域のいろいろな自治体から、原発の見直しの声が上がっており、こうした関西地域のさまざまな動きをどう受けとめるか、また福井県の原子力政策への影響をどのように考えているのかということであります。関西2府4県で生活している約2,000万人の消費者といいますか、消費に対する電力の通常でございますと約55%は、福井県の若狭嶺南地域の原子力発電所から長年にわたって供給をしているところであります。原発立地地域からのこうした一刻も途絶えることのない電力供給が、これまで40年余にわたってなされていることによりまして、関西の発展、また生活や生産などの維持がなされてきているわけでありまして、電力消費の住民、企業の皆さんがさまざまな恩恵を享受できていることを、まず十分認識をしていただく必要があると考えます。
 原子力発電所の安全に対し、住民に不安がある中で、福井県及び立地市町は安全確保と住民理解のため、さまざまな対応を厳しく行ってきているところでありまして、電力消費地の皆さんにはこうした立地地域の努力についても、なおなお十分理解をしていただく必要があると、このように考えております。
 その他については、関係部長から答弁します。

◯議長(田中敏幸君) 安全環境部長石塚君。
    〔安全環境部長石塚博英君登壇〕

◯安全環境部長(石塚博英君) 私のほうからは2点お答えをさせていただきたいと思います。
 まず、原子力行政につきまして、県内の各自治体単位で、今回の福島の事故と住民避難などの課題につきまして、原子力安全・保安院などによる説明会を要請すべきと考えるがどうかというお尋ねでございます。
 県は、3月17日に国へ行いました緊急要請におきまして、福島第一原子力発電所事故について、国みずから県民、国民に対する迅速・正確な情報公開を行うよう要請をしたところでございます。これを受けまして、原子力安全・保安院は、県内の各自治体の求めに応じまして、事故の対応でありますとか課題につきまして、市町の首長、市町議会、住民等に対する説明を行っており、今後も要請があれば積極的に対応する意向であるというふうに聞いております。
 県では、防災機関や市町に参加いただきました原子力防災計画の検討委員会や住民避難部会におきまして、原子力安全・保安院や文部科学省の参加を得まして、今回の福島第一原子力発電所事故におけます対応や課題について説明を求めているところでございます。
 今後、国において原子力防災対策についての見直しが進められまして、住民避難等につきまして、新たな対策でありますとか、課題が明らかになっていく過程におきまして、引き続き、県内自治体に必要な説明を行うよう求めていきたいというふうに考えております。
 次に、原子力防災に関しますヨウ素剤でありますとか線量計などの必要な資機材を準備するに当たり、国に財政措置を要求しますとともに、当面は県単独の補助制度をつくり応援すべきではないかというお尋ねでございます。
 これまでヨウ素剤や線量計など原子力防災対策に必要な資機材につきましては、県がすべて整備といいますか、購入をいたしまして、ヨウ素剤は二州・若狭健康福祉センターで備蓄しますとともに、線量計などの資機材はEPZ範囲内の市町に貸与しているというところでございます。しかし、今回の福島第一原子力発電所事故では、避難対象となる地域が広範囲に及んでいるという事実がございまして、国においてEPZの見直しが検討されているところでございます。
 県としましては、このEPZの範囲が広がるということでありますれば、国に対し、EPZなどの必要な見直しと、国が講じるべき対策について要請をしているところでございまして、今後、防災計画の見直しの中で、必要となる資機材の整備手法について検討していきたいと考えております。

◯議長(田中敏幸君) 教育長広部君。
    〔教育長広部正紘君登壇〕

◯教育長(広部正紘君) 教育委員会関係、6問の御質問をいただきました。
 まず、教育振興基本計画について、県民参加の検討委員会を立ち上げて、年度内までかけて策定すべきではと、こういった御質問でございます。
 福井県教育振興基本計画でございますが、福井県民の将来ビジョンであるとか、三次にわたります教育・文化ふくい創造会議を基本として策定をいたすものでございます。将来ビジョンの策定についてはもちろんでありますが、教育・文化創造会議の議論におきましても、県内外の教育関係者や有識者などからなります会議を十数回にわたり開催をいたしまして、また授業の視察であるとか、校長・中堅教員との意見交換、あるいは教員の多忙化や学級編制についての教員の意識調査などを行っておりまして、本計画案はこれらの内容を十分反映したものになっていると考えます。
 特に、創造会議の運営に当たりましては、基本計画も視野に入れながら議論を進めていただいた、こういった経緯もございまして、本計画の策定のために、改めて検討委員会を開くといった必要はないと考えております。
 なお、本計画の策定に当たりましては、議員各位からいただきますいろいろな意見であるとか、県民パブリックコメントで寄せられました提案等の内容を十分に検討、さらに反映をいたしまして、よりよい計画となりますよう努めてまいります。
 次に、環境エネルギー教育、特に原子力教育について、一方的な原発の安全宣伝を子供に注入していくそういったやり方はやめるべき、こういった御質問でございます。
 原子力関係の教育につきましては、例えば、中学校の学習指導要領の理科におきましては、人間は、水力・火力・原子力などからエネルギーを得ていること、さらに放射線の性質と利用にも触れることと定められております。また、これに沿った教科書におきましては、原子力発電の長所、短所がバランスよく併記されておりまして、学校では、これに沿って教えているわけでございます。
 ちなみに、長所といたしましての記述では、少量の燃料で莫大なエネルギーを得ることができる。それから、短所としまして、放射線は人体や作物などに大量に当たると危険なので、常に厳しく監視する必要がある、こういった中身でございます。同時に、水力発電、火力発電についても、それぞれ仕組み、それから長所、短所を教えておりまして、一方的な原発の安全宣伝ということで、子供たちに原子力教育を教えているわけではございませんので、こういった観点からも今後エネルギー教育を推進していきたいと考えております。
 次に、子供の安全・安心のために、小・中学校の耐震化、全力を挙げるべきという御質問でございます。
 今回の東日本大震災におきましては、耐震化されていた学校施設が児童・生徒等の命を守っただけでなく、地域住民の応急避難場所としても機能しておりまして、その安全性を確保することは極めて重要であると考えております。県におきましては、平成20年度に行われました中国四川大地震後の国庫補助率の大幅かさ上げ、これは2分の1から3分の1になったわけでございますが、これに合わせまして県の小・中学校耐震化促進事業における補助率を引き上げるとともに、1棟当たりの補助上限額を撤廃することによりまして、市町の耐震化工事を積極的に支援をしてまいりました。
 本年の3月に、国は国庫補助率のかさ上げ措置を平成27年度まで5年間延長しましたことから、県といたしましても、小・中学校耐震化促進事業により、引き続き支援しようとするものでありまして、現在、市町に対し、早期に小・中学校の耐震化を完了するよう改めて要請をしているところでございます。
 ちなみに、平成22年度の小・中学校耐震化率全国平均で申しますと、19位でございます。それから、高等学校は全国で16位という位置にいるわけでございます。
 次に、小・中学校の耐震化、県立高校の耐震化、それぞれいつまでに100%にするのかという御質問でございます。
 福井県建築物耐震改修促進計画というのがあるわけでございますが、平成27年度末での耐震化率を、県立学校については100%、それから小・中学校を含む災害時の拠点となる建築物については90%とすることが目標とされております。今回の東日本大震災を受けまして、先月文部科学省は、平成27年度までのできるだけ早い時期に、学校施設の耐震化を完了する目標を示したところでございます。このため、県立学校施設につきましては、平成27年度までに耐震化を完了するよう計画的に耐震化を進めるとともに、小・中学校の施設につきましても、個々の市町に対し、耐震化計画の聞き取りを実施しておりまして、学校施設の耐震化が早期に完了するように、さらに要請をしてまいりたいと思います。
 次に、2月議会で予算措置をしていただきました特別支援学校へのクーラーの設置についてのその準備状況でございます。
 特別支援学校へのクーラーの設置につきましては、本年2月に国の交付金を活用して、7校140教室への導入を予算化をしていただきました。工事の実施に際しては、クーラーの設置数が非常に多く、また学校ごとに受変電設備や配線の設計内容が異なる、こういったことから、さらには設置箇所がすべて普通教室であるために、平日の工事が非常に難しい、こういったことなどから、設計から設置までには相当の期間を要することになります。現在、学校ごとの実施設計を終えまして、工事入札手続を進めているところでございます。特別支援学校で学ぶ児童・生徒の活動状況であるとか、健康状態を十分に配慮して、極力設置工事期間の短縮を図るよう努めていきたいと考えております。
 次に、小学校1年生の35人学級につきまして、今年度から国が35人学級を推進しているわけでございますが、これに関しまして、来年2年生はどうするのかと、こういった御質問でございます。小学校1・2年生は、安定した集団生活が送れるようクラスがえのない同じ学級編制であるべき、これは私ども県の各小・中学校、教育界、いずれもそういった考え方でございます。小学校の2年生以降の学級編制基準につきましては、現在国においても、この6月から検討が始まっております。2年生、来年35人学級が実現しなかったらどうかということじゃなくて、是が非でも国において35人学級、2年生もこれに続いてやっていただきたいと、こういったことを強くいろんな機会、また全国の都道府県教育委員会連絡会とも連携しながら、働きかけてまいりたいと思います。

◯議長(田中敏幸君) 佐藤君。

◯7番(佐藤正雄君) 知事と教育長にお尋ねします。
 知事は、エネルギーの問題では原発はどうしても必要なんだと、冷静に議論することが必要なんだというお考えなんですが、確かに冷静に議論することも必要なんですが、この福島の事故を見て、やはり多くの国民の実際意識は変わっているし、現場、福島県自身ももう原発に頼らないそういう県にしようということで変わってきている。その背景には、やはり大きな被害があるわけですね。ですから、そういう被害が起こり得るんだということがわかった以上、CO2対策のために必要だとか、そういう議論ではなくて、もう一歩抜け出す認識が必要ではないかというふうに思うんです。
 そこでお尋ねをしたいんですが、今、国がそういういろんな耐震等の指針の見直しをやっているわけですが、知事は暫定的にそういうものを示してほしいということをおっしゃっていますね。国の見直しには一定何年かかかると、正式には何年かかると。暫定的なのはもっと早く出してもらって、その暫定的なもので福井県の原発を再稼働を認めようということであるとすると、これは逆に言うと、しっかりした安全が確保されていないまま、再稼働を認めることになるんじゃないかと、こういう懸念も生まれるわけですね。その点はどうかということが1点。
 もう一つはですね、福島原発事故というのは、まだ終わっていないんですね。いまだに放射能汚染水が漏れ続けている、いろんな問題が解決されていない。だから、いざ事故が起こったときに、まだ解決する能力がないということなんですよ。せめて、これはこの事故が収束される、解決される、そういうことがないと、当然、再稼働のサインは出せないということにもなるのかなと思いますが、その辺2点ですね、知事に再質問をいたします。
 それから、教育長ですが、学習指導要領を持ち出していろいろおっしゃいました。学習指導要領はそうなのかもしれないけれども、福井県教育委員会はこういうことを書いてるんですよ。平成23年度、環境・エネルギー教育支援事業実施要領、何て書いてあるかと。物品の購入や施設の見学については、すべて原子力教育につながる内容である必要がありますと、原子力教育を行わない学校の備品、原子力関連施設を含まない施設見学会はだめです、予算つけませんって書いてるんですよ。こんないいかげんなことをやっておって、教育指導要領では満遍なくエネルギーのバランスだと言っていても、これは違うでしょう。この2点、知事と教育長に再質問いたします。

◯議長(田中敏幸君) 知事西川君。

◯知事(西川一誠君) 今回、点検中の原子力発電所の再起動についてでありますけれども、いろいろな課題がありますが、まず、点検中の原子力発電所を再起動するに当たって、現状ですべての津波、地震の原因、知見というんですか、それが判明しないわけでありますので、現状でわかっているものを、まずその中へ反映をさせるという意味で、暫定的と言っているわけであります。そして、その後、一定の期間が必要かと思いますが、新しい知見あるいは問題点があれば、点検中のものに対してそれを入れ込んでいくという、そういう大きな方向が必要だろうとまず言っております。
 それから、こうした短期の問題のほかに、中期的にここ1年あるいは2年にかけて、ぜひなすべきことがあるわけです。これについても国に要請をしております。そして、より長期の課題についても、三つ目の項目として要請をしており、こういうものを全体として実行することによって、福井県において、ああした福島県のような事故を起こさせないと、そして原子力の安全性について、さらに徹底をさせると、こういう方針を国に提示をしていただきたいと、それの答えをいただきたいと、このように申し入れておると、こういうことであります。

◯議長(田中敏幸君) 教育長広部君。

◯教育長(広部正紘君) ただいまおっしゃったのは、文部科学省の原子力・エネルギー教育支援事業についてのことをおっしゃっているんだと思うわけでございますが、これは文部科学省の100%の事業である以上、何でも使えるというものじゃございません。しかし、この結果ですね、佐藤議員、報告書等をお読みいただいたんじゃないかなと思います。小・中学校、高等学校、いろんな報告書をつくっておりますが、この報告書を見ていただきますと、まさに多彩であって、エネルギー全般にわたって、いろんな各学校ごとに子供たちに自由に研究をさせたり、実験をさせたり、学校ぐるみでやっている例もございます。そういった面では非常にすぐれた研究事業成果、取り組み成果があっているんじゃないかと思います。じっくりとごらんいただけたらと思います。

◯議長(田中敏幸君) 佐藤君。

◯7番(佐藤正雄君) ちょっと答えが中途半端ですので、要するに、不完全なままで、暫定というのは、結果的には不完全になるんじゃないかと。なぜ不完全になるかといえば二つ、要するにちゃんと国の基準が確定されないという点で不完全だと、もう一つは、もし事故が起こったときには、おさめることができないんです、まだ。おさめることができない危険性があるものを動かすということになると、不完全になるんじゃないかという点で、もうちょっと明確に答えていただきたいというように思います。

◯議長(田中敏幸君) 知事西川君。

◯知事(西川一誠君) 暫定的なというのは、点検中のものを再稼働するために、どういうことがなされなければならないか、こういうことを申し上げているわけです。より長期的な課題、それから、さらに中期的な課題もありますが、そういうものについても解明をして、それを実行に移すと、こういう三つの段階によって対応をすべきではないかという提案をしているということです。



畑野坂井市議と県に要望。9条の会で原発のお話し。中山太郎元外相から改憲の訴え。

2011年09月16日 | Weblog
昨日は、坂井市の畑野市議から坂井市丸岡町内のトンネル内の要望などがあり、県庁で道路保全課とやりとりしました。
道路の維持管理についての住民のみなさんからの「要望」は増えています。
むこう数十年は人口減少時代に福井県もはいります。80万人台から60万人台まで人口が減少するとの推計もでているわけですから、新しい道路の建設よりも「人口減少、財政縮小時代」をみすえて総延長がどんどんのびている道路などの維持管理をどうしていくかこそ、中長期的な課題でしょう。
ことは道路だけでなく、橋梁や箱物などあらゆる構造物に及びます。
派手ではないが、こういう仕事をきちんと考えてすすめる行政と人材こそ、これからは必要でしょう。


夜は、ふくい9条の会の例会。私から原発問題での話題提供をおこないました。
参加されたみなさんからは「知事は原発をどうしょうとしているのか」「脆性遷移温度とはなにか」「除染などやっているが、あのようなやり方で大丈夫なのか」「原発問題でのさまざまな市民の動きがはじまっている。私も、福井市で開催される鎌田慧講演会に取り組んでいる」などざっくばらんに意見交換をおこないました。

福井市内など原発問題や県政問題など話しにでかけますので、お気軽にお声かけください。

また昨日、中山太郎元外相から憲法改憲試案がおくられてきました。9条の会でもその内容を紹介し、「大震災を口実に緊急事態規定の憲法改憲が必要、との論調。災害時のインターネットでの発信の制限など、国民を規制する内容だ」などと紹介しました。

改憲勢力は、今回の大災害を改憲にまで利用しようとしています。
いま、求められているのは憲法に照らして、すみやかに国民の生存権が保障される被災地の復旧復興であり、原発事故などの補償です。