前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

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福井県議会一般質問、県立病院、原発、教育問題などで質問。柳家三三落語を堪能。

2012年09月26日 | Weblog
  昨日は県議会での一般質問でした。私は、領土問題や、教育問題、大型公共事業と財政問題、原発問題、県立大学中期計画問題などを取り上げました。お聞きいただいた方々から、電話やメールで激励や感想などをいただきました。ありがとうございます。

●領土問題では「福井県の中国との経済活動や文化学術交流、アジア戦略に大きな陰をおとさないよう、知事として、政府が領土問題の存在を認めて、中国ときちんと外交交渉をおこない、将来に禍根をのこさないよう国に働きかけるべきではありませんか」と質問。
西川知事は「わが国の立場を国際社会にしめすとともに、国民に対してもわが国固有の領土であることを啓発していくことが大事」などと答弁しました。

●県立病院における消費税増税の影響について、小林健康福祉部長は、「増税で約3億5000万円の影響がでる」と答弁し、経営にも大きな打撃となることが浮き彫りになりました。
また、看護体制の充実、 7対1看護の実施計画、給与・処遇の変更について、「かなり高い看護師給与の実態があり、初任給の引下げなど県内主要病院なみの給与水準にしていくことが必要」などと答えましたが、おなじ職場に2つの給料表をつくることの問題については答えませんでした。


●ルネサス福井工場の大リストラ計画について、山田産業労働部長は、「労働局などと支援窓口など支援策を実施するとともに、県職員が企業訪問で離職者の雇用を要請している。ルネサスに対しては、福井工場の存続と離職者にたいする責任ある対応を求める」と答えました。

●原発問題では、野田総理がおこなったように、反対団体との面会して意見を聞くように求めました。知事は「県の対応については、私自らが丁寧に説明するとともに、理解を得ていきたい」などと答弁しましたが、再稼動反対の市民団体との面談については明言をさけました。

●40年を超える老朽化原発である敦賀1号、美浜1,2号の廃炉にむけた取り組みでの雇用確保などを求めたのに対し、知事は「それだけを個別に議論できない」と拒否しました。

●県立大学の学費値上げをふくむ中期目標案は教育費無償化の流れに反すると指摘。総務部長は、「今回の国連人権規約留保撤回の閣議決定により、ただちに授業料を無償とするものではなく、授業料減免や奨学金の段階的な拡充に努力したいとしている。国の動きにあわせて適切に対応する」と答えました。


   夜は、柳家三三落語会。真田小僧、夏泥、妾馬の3席を堪能しました。主催者の方も書いておられましたが、たしかに、妾馬はとくに素晴らしかった。名演です。
会場も満員の盛況でした。まくらもたっぷり聞かせました。子供さんの笑い声もあり、ネタもそういう子連れの親子にも楽しめるものにしたのかな、とも思いました。師匠は11月にも来福されるそうで、都合がつけばぜひ聞きたいものです。


以下、一般質問の内容です。


       ★


日本共産党の佐藤正雄です。

1、民意と乖離した国政と影響

① まず、領土問題についておたずねします。尖閣諸島問題では政府の「日中間に領土問題の紛争はない」という政府の態度が混迷の元凶です。いま尖閣諸島問題をめぐって起こっている日中両国間の対立と緊張は、国交回復40年ということで県議会の議員連盟も参加する祝賀行事などをおこなった直後であり、大変残念なことです。引き金は、石原都知事や政府が引いたわけですが、日本への批判を暴力であらわす行動は、いかなる理由であれ許されません。

尖閣諸島が日本の領土であることは明瞭であります。第一に、1895年の日本による領有宣言は国際法上正当です。第二に、中国側の主張の最大の弱点は、1970年までの75年の長きにわたって異議をだしていないことです。第三に、中国側の日清戦争に乗じてとられた、との主張は、戦争の講和条約に照らしても成り立ちません。
このように、日本領であることは明々白々です。

しかし、歴代政府がこの問題をいっかんして棚上げし、「領土問題は存在しない」と外交交渉を通じてアピールしてこなかった。だから中国のあやまった主張に反論もしないという自縄自縛に陥ってきたのです。
日中間に領土問題が存在することを認めて、道理をつくして交渉をおこなうことが必要です。
このことをやらないで、放置しつづければ、今回の事態のように経済活動、交流活動に大きな障害をもたらしかねない火種を残しつづけることになります。
 福井県の中国との経済活動や文化学術交流、アジア戦略に大きな陰をおとさないよう、
知事として、政府が領土問題の存在を認めて、中国ときちんと外交交渉をおこない、将来に禍根をのこさないよう国に働きかけるべきではありませんか。知事の所見をおたずねします。

② つぎに、国民多数が反対する消費税増税問題では、医療機関への深刻な影響も懸念されます。消費税制度においては、医療機関において、診療報酬による補填を考慮しても、多額の控除対象外消費税が発生しています。たとえば高額な医療機器購入で消費税を医療機関は支払うわけですが、患者に転嫁することができないのです。これが、現行制度のまま8パーセント、10パーセントとひきあげられれば、経営がたちゆかなくなる医療機関もでかねません。
そこで、具体的におたずねしますが、福井県立病院において、現行の消費税負担額、8パーセント、10パーセントに引き上げられた場合の負担額、経営への影響をおたずねします。

③  つぎに、県立病院の看護体制の充実、 7対1看護の実施計画はどうなっているか、おたずねします。また、その実施にあたり、給与・処遇の変更が職員に打診されているとお聞きしました。その変更のなかには、看護職の給与を引き下げる内容がふくまれており、しかも新採用職員から導入するとお聞きしました。おなじ職場のおなじ仕事で、異なる給与体系をもちこむことは公務労働の性格からも、人命をあずかる職場という特殊性からみても、大きな問題があります。
そこで、県が看護職など県立病院職員に説明している給与・処遇の変更内容とその意図について具体的な説明を求めます。

④ さて、今回の12万人ともいわれる電機リストラ問題は全国各地に雇用不安をひろげています。経営者の身勝手、横暴は目にあまるものがあります。かつて圧倒的なシェアを誇っていたデジタル家電や半導体の収益悪化などで危機感をあおり、何の責任もない労働者の大量首切りを次々にうちだしています。政府も国民生活の危機になんら手を打とうとしていません。
電機各社は、2008年のリーマン・ショック後、労働者の削減と賃金抑制、下請けたたきをすすめ、利益をため込んできました。主な電機企業で27兆円の内部留保があります。にもかかわらず、収益が悪化したことを口実に労働者の首を切る。エコポイントなどで稼いだ後はポイ捨てとはひどすぎます。こんなことが許されていいはずがありません。
福井県では12日に、坂井市にありますルネサス福井工場縮小にともなう関係機関対策連絡会議が開催されました。明日26日まで早期退職が募集され、10月31日が退職日になります。規模は300人程度といわれています。
一方、会社側の予想を超える退職希望者が出ているとの情報もあります。労働者を大事にしない会社を辞めたい人は多いのかもしれません。
ある社員は、「今回のリストラは従業員に2者択一の非常に重い決断をさせました。会社に残る人は賃金カット、職群転換、無期限出向に耐える。会社を辞める人は厳しい再就職が待っている。どちらの選択も苦難です」と語っています。
  県として、経済界にたいして各県と共同して地域経済と雇用を破壊する無謀な大リストラを中止するようつよく求めるとともに、ルネサスを退職される方への支援、残される工場に雇用などの社会的責任を果たさせることにどう取り組むのか、おたずねします。



2、知事の政治姿勢
つぎに知事の政治姿勢について質問します。
⑤ 知事は原発推進に固執していますが、私は知事が原発ゼロの立場にたたれるよう訴えるものです。
その理由は、福島原発事故から1年半がたちました。しかし、事故は収束せず、原発事故のほかの事故にはみられない「異質の危険」が猛威をふるい、被害はなお拡大しつづけているからであります。
 第二に、原発の再稼働が国政の大問題になりましたが、政府が強行してきた再稼働方針は、道理も科学的知見もない無謀きわまるものであり、再稼働の条件も必要性も存在しないからであります。事実、大飯再稼働でつかわれた暫定指針は、その際の政府の説明に反して、今後の再稼働には適用されないのです。いかに、その場しのぎであったかが明瞭です。
さらに、関西地域には停電の脅しがかけられました。しかし、この夏、関電管内では大飯原発再稼働なしでも72万キロワットの余力がありました。
 さらに、東京をふくむ関東でも、九州でも、猛暑のなか、原発なしで乗り切れたわけであります。
  原発は安全だ、という神話は福島原発事故で崩壊し、原発は必要だ、という神話もこの夏、崩壊しました。

 第三に、使用済み核燃料をどう処理するかについて、国民的注目と不安が強まっていますが、原発を稼働するかぎり、核のゴミは増え続けるからであります。
 西川知事は、反原発の動きにたいして、使用済み核燃料を消費地が引き取れ、と脅します。もともと県内に使用済み燃料の中間貯蔵施設をつくらない、というのが栗田元知事以来の方針です。しかし、知事がいまの局面でこのような発言を繰り返せば、関西住民の反感も買いますし、逆に、運転再開認めたんだから福井県でなんとかしてね、との逆襲もうけます。
 原発を動かし続ければ、この矛盾が拡大し続けることになります。電力の生産地、消費地の双方が責任をもてない核廃棄物を増産しつづけることはやめなくてはなりません。

 第四に、国民世論が大きく変化し、「原発ゼロ」を目指す声は、国民多数の声となっています。政府の「パブリックコメント」では8割が「即時原発ゼロ」を求めています。
すなわち、これまで福井県の原発行政がその前提としてきた、原子力政策での国民合意は完全に崩壊しているからであります。
 いまこそ、即時原発ゼロの政治決断こそ、国民の願いにこたえる道であります。
福井県もそういう立場にたってこそ、関西近畿の住民をはじめ、国民から尊敬されることになるでしょう。

知事、福島原発事故のビフォアーとアフターではまったく違います。
福島原発事故をうけてなお、原発にしがみつき、ふたたび公衆に影響を与える事故を起こしたならば、それは国民と国土にたいして申し開きはできません。福島事故を引き起こした責任よりも、何千倍も、何万倍も重い責任を負うことにもなります。これは、知事のお得意のリスク論でかわせる問題ではなく、政治家としての政策倫理の問題でもあります。

そこでおたずねします。
政府の原子力政策の方針は大揺れでありますが、その根本には福島原発事故をうけた国民の衝撃と、原発ゼロへの世論と運動があります。
野田総理は、脱原発に取り組む運動団体の代表者たちとの懇談をおこないました。
福井県としては、再稼働にあたっても県民説明会の開催はおこなわず、知事が直接県民の声を聞き、県民が直接知事に意見を述べる場はもうけられていません。
 総理ですらそういう機会をもうけました。住民により身近な知事としても、そのような機会を設けるべきではありませんか。知事の所見をおたずねします。

⑥ところで、19日に発足した原子力規制委員会の田中委員長は改正原子炉等規制法で原発の運転期間を40年としていることについて、「延長は相当困難だろう」と述べて、40年廃炉の原則を厳格に適用する方針をしめした、と報道されています。
 私は以前から老朽化原発の廃炉を求めてきましたが、今回対象となる、敦賀1号機、美浜1,2号機は老朽化問題に加えて、活断層問題が指摘され、いわば2重の欠点があり、運転再開は当然認められるべきではありません。
そこで福井県としても、このまま原発を「寝かせて」おくだけでは地域経済、雇用にとってもマイナスです。廃炉判断がなされるのであれば、一気に3基が廃炉作業にはいることになります。
今後、数十年にわたっていわば廃炉ビジネスのさきがけとなるチャンスをどういかすのか、考えなくてはなりません。そこで、3基の廃炉作業にともなう雇用と地域経済への試算、廃炉技術開発の展望をおたずねします。

⑥ つぎに、今後の新幹線建設や北陸本線の買い取りと第三セクター化、足羽川ダム建設や国体開催など大型事業と財政問題について質問します。
県の県債残高は平成8年度末で4926億円が、平成22年度末には8809億円となっています。県内総生産も同時期に3.4兆円から3.1兆円へと下降がつづいています。県税収入をみますと平成8年度には1108億円で歳入の20.8パーセントをしめていたのが、22年度は907億円で17.8パーセントに落ち込んでいます。
 問題は、いわゆる経済成長期にも大型開発で県債を増やしてきたわけで、それが国、地方ともに大きな借金となっています。仮に経済成長と税収増が見込めれば、借金総額が増えても負担比率は低くなり、問題は大きくはなりません。
しかし、この間の県内総生産と県税収入の推移、今後の生産人口の減少と高齢化をみても、それを見込むのは困難ではないでしょうか。
 こういう時期にこれから10数年のスパンで大規模な公共事業をおこなうにあたり、知事が責任をもって県民と議会に事業計画と財政計画の展望をしめしたうえで事業をすすめるべきではありませんか。知事の責任ある答弁を求めます。


⑦  さて、こういう状況のなかで総務部長は、代表質問への答弁で行政改革の推進にもふれました。
県はさらなる出先機関の統廃合計画を各部に提出させたと聞き及んでいます。健康福祉センターでは2次医療圏などのさらなる統廃合・武生分庁舎の廃止、土木事務所のさらなる統廃合、勝山・丹生などの分庁舎廃止、坂井地区水道管理事務所の地元自治体への移管などについて検討されているとお聞きしました。
 このように、県民の身近なサービス提供をズタズタにしていく行政改革がもし計画されるのなら断固反対です。
県民の身近なサービス体制を切るのではなく、不要不急の新幹線やダム計画こそ見直すべきであります。
 そこでおたずねします。県民へのサービス体制を縮小する行政改革を計画しているのかどうか、はっきりとお答えください。


⑧ つぎに、教育問題について質問します。私は、知事が過度に教育現場に介入し、それが現場教員の多忙化やストレスにつながっているのではないか、との疑いをもちます。
たとえば、今年の9月2日に知事は「問題と解答の意味」と題してこう書いています。「数学の解答の詳しいものをあらかじめ生徒にくばっておくことは、生徒の自習効果を高めることはあっても、授業の効果を妨げるものでは全くない」「県内の一部の学校において、数学の問題集の解答とプロセスを、生徒にこれまで配っていなかったところがあるのだが、今年の夏からは配布するようにしたのは良いことだ」と。
知事個人の教育にたいする考え方が、こうして県内の各学校のすみずみにまで、その具体的な教授法にまで徹底されるとしたら問題です。知事による教育行政への過度の介入はやめるべきではありませんか。はっきりとご答弁ください。



⑩ 代表質問でも教員の多忙化問題が取り上げられました。
いま、県立高校には就職支援コーディネーターが38人配置されております。小中学校には、生活支援員や教員活動補助員など98名が配置され、多忙化の渦中にある教員のさまざまな仕事の補助をおこなっています。ところが、国の交付金事業による緊急雇用のため、この136名が年度限りで現場からいなくなる問題があります。
 県として、多忙化解消を口だけでなく、予算をつけて、雇用継続をはかり、県民の雇用確保とともに、現場の教員への人的サポート体制が後退しないようにすべきではありませんか。教育長の責任ある答弁を求めます。

3、その他
⑪その他で2点質問します。今議会には福井県立大学の中期目標案がしめされています。
全員協議会で私が、「授業料の見直しを必要に応じておこなう」とあるが、いまは高等教育無償化の時代であり、学費の値上げは問題では、と指摘したのに対し、森阪総務部長は「必要であれば値上げも考えていく」と答弁しました。
この9月に政府は高校・大学までの段階的な無償化を定めた国際人権A規約(13条2項b、c)の適用を留保してきた問題で、「留保撤回」を閣議決定し、国連に通告しました。日本は文字通り、中・高等教育の無償化を国際的にも迫られることになります。
 同規約は1966年に採択され、日本は1979年に批准しましたが、中・高等教育への「無償教育の漸進的導入」の規定については留保。締約国160カ国のうち、留保しているのは日本とマダガスカルだけになっていました。
 外務省は、高校・大学の経済的負担の軽減策をあげて、「留保の撤回は可能と判断」したとしています。
 まさに世界の流れは教育無償化であり、政府も遅ればせながらその方向にふみだした。そのタイミングで、学費値上げを含む中期目標案の提案は、世界に恥ずべきことです。
この項目の削除を求めますが、見解をおたずねします。

⑫最後に議会事務局の知事部局からの独立性に関して知事に質問します。
県が作成した、「目標管理ガイドブック」および「人事評価ガイドブック」によって、県庁職員は、知事をトップに末端の職員まで目標管理、人事評価、それが手当や昇給へ連動するということで、肉体的にも精神的にもがんじがらめにされております。この結果、目標進捗を毎週のように上司から責め立てられ、精神状態がおかしくなった職員もいるとお聞きしています。
私は、このような仕組みの改善をもとめるものです。
さらに問題は、この仕組みを知事部局から、極力独立性を高くしなくてはならない県議会事務局にまで適用している問題です。
  もちろん、事務局職員も県職員であり、人事異動で行き来があるわけですが、問題は、このシステムによって議会、議長の方を向いて仕事をすることよりも、知事や総務部長の方を向いて仕事をする仕掛けがつくられていることです。
 人事評価や手当・昇給までが知事部局の評価に左右されるようでは、知事部局との緊張関係ではなく、従属関係に陥る傾向がいっそう強まるのは当然ではありませんか。
仮に、議会事務局の評価をおこなうのであれば、それは知事がおこなうのではなく、議長と議会がおこなうシステムにすべきであります。
 議会事務局職員については、知事をトップとした目標管理、人事評価、処遇のシステムから切り離すべきではありませんか。知事の見解を求め、私の質問を終わります。