福井県議会2012年9月議会での日本共産党・さとう正雄県議の反対討論。
◯7番(佐藤正雄君) 日本共産党の佐藤正雄です。
第63号議案公立大学法人福井県立大学中期目標(第2期)の制定について、反対です。
この議案は、県立大学構成員の意見反映が極めて不十分であります。8月24日付で西川知事は、県立大学に中期目標を定めるに当たり法人の意見を求めました。その5日後の8月29日付で、西川知事宛てに福井県立大学の吉田優一郎理事長名で4点の意見が回答されました。中期目標について大学側の意見が聞き入れられたのは、任期制の拡大運用についての懸念を受けて、「新たに採用する教員については任期制を導入する」の項目を案から削除したことだけであります。そのほかの「語学に関する入試制度の大幅見直しは慎重に」とか「地域医療の高度化を担う看護師養成の新たな教育プログラム作成には人的、資金的支援が必要」とか「今年度から研究費の配分に教員評価の結果を反映している。給与等への処遇への反映は、まず研究費への反映の検討を」の3点の意見については、原案への反映と修正がなされないまま県議会に提案されております。
県は5月以降、繰り返し大学内での検討がされたと説明しています。ある意味ではその最大公約数が吉田理事長から出された4項目であったと考えますが、受け入れたのは1つだけであります。独立行政法人にしたとはいうものの、財政は縮減して、口出しの口だけが大きくなっているのではありませんか。
乱暴な口出しは教育現場に混乱をもたらします。例えば、英語で行う授業を開講するといっても実際には学生が理解できなければマイナス効果になります。地域医療の高度化を担う看護師の養成の新たな教育プログラム作成についても、経費削減で教員確保もままならない状況で、現場では意見が噴出、否定的意見が大半とお聞きをいたしました。さらには、研究費配分を評価で左右しながら、さらに給与にまでそれを拡大し、学者、研究者の生活と大学への思いの基盤を掘り崩そうとしていることは大問題です。
独立行政法人にしながら、全県庁職員を人事評価とボーナスや昇給への差別化という手法で縛っている福井県庁のシステムをなぜ大学に押しつけるのか。全く整合性がありません。創立20周年の県立大学の人材を崩していくようなことはやめるように強く求めるものであります。
そもそも一体、現場の意見を酌まない中期目標とは誰のための目標なのか。何のための目標なのか。大学の学問や授業方法にまで行き過ぎた行政の介入があるのではないのかと厳しく指摘しなくてはなりません。
また、一般質問でも指摘しましたが、9月に政府は高校、大学までの段階的な無償化を定めた国際人権A規約の適用を留保してきた問題で、留保撤回を閣議決定し、国連に通告しました。日本は文字どおり中高等教育の無償化を国際的にも迫られることになった状況のもとで、旧態依然とした受益者負担原理に基づく学費値上げの項目が残されることは問題です。こういう目標に6年間も拘束されることになるからです。
県は従来型の減免と奨学金で対応すると答弁していますが、これでは問題は解決されていきません。大学進学先の県内志望がふえているのは経済的要因が大きいと考えられます。さらに消費税10%で家計が直撃されれば、その傾向がさらに強まったり、大学進学を断念せざるを得ない子供もふえるでしょう。高校生や親は、学費が安いかどうかでその大学を受けるかどうかを一層考えるようになるでしょう。
減免、奨学金は、成績などが加味されますから、二次的な要素で左右されるものです。学費は大学の敷居に相当します。まず、スタートラインに立てません。学費値下げこそ、大学のステークホルダー、利害関係者に強く印象づけます。今後、大学が生き延びていく重要な鍵になります。
総務教育常任委員会では、各委員から県内出身の生徒をふやすこと、卒業後は県内で就職をとの声も多数出されました。難関10大学に県内から何百人送り出すかを教育現場で競わせるのではなく、福井県への人的リターンを考える総合的な政策が求められています。年収200万円がワーキングプアの水準とされておりますが、夫婦2人で年収400万円に満たない県内世帯の学費を思い切って軽減する措置を私は委員会で提案しました。このような措置は、一部の大学で既に行われております。
今求められているのは、世界標準を国内で先駆けて実現していくこのような取り組みであると考えます。世界からおくれた受益者負担主義を今ごろ掲げる目標案には到底賛成できません。
次に、陳情第22号地方財政の充実・強化を求める意見書提出を求める陳情は、採択すべきです。
近く行うと野田総理が述べたという総選挙で国政進出を目指している維新の会などは、公然と地方交付税の廃止を掲げております。維新の会は、その分は消費税の地方税化を主張しています。現行の消費税は1%分が地方消費税です。残り4%を地方税化すれば約10兆円地方の税収がふえます。ところが、廃止としている地方交付税は約17兆円です。これが不足した場合の穴埋め措置としての臨時財政対策債が約6兆円ですから、実質的には合わせて23兆円超をつくり出さなくてはなりません。めちゃくちゃな話です。代表の橋下大阪市長は、消費税を地方税化しても、地方交付税を廃止すれば地方は損をすると認めつつ、その場合、地方は消費税を上げるかサービスを削るしかないとあからさまに述べています。
このように、近く行われるであろう総選挙は、地方行財政をめぐっても激しく争われ、その結果は全自治体に甚大な影響を与えます。
日本共産党は、地方財政の重要な柱である地方交付税の復元、増額で本来の財源保障、調整機能を回復、強化し、住民の暮らしを守るために必要な地方の財源総額の確保を図ることを訴えて頑張ります。
こういう時期であるだけに、地方交付税総額確保など地方財政の充実・強化を求める本陳情は、採択すべきであります。
以上で、討論を終わります。
◯7番(佐藤正雄君) 日本共産党の佐藤正雄です。
第63号議案公立大学法人福井県立大学中期目標(第2期)の制定について、反対です。
この議案は、県立大学構成員の意見反映が極めて不十分であります。8月24日付で西川知事は、県立大学に中期目標を定めるに当たり法人の意見を求めました。その5日後の8月29日付で、西川知事宛てに福井県立大学の吉田優一郎理事長名で4点の意見が回答されました。中期目標について大学側の意見が聞き入れられたのは、任期制の拡大運用についての懸念を受けて、「新たに採用する教員については任期制を導入する」の項目を案から削除したことだけであります。そのほかの「語学に関する入試制度の大幅見直しは慎重に」とか「地域医療の高度化を担う看護師養成の新たな教育プログラム作成には人的、資金的支援が必要」とか「今年度から研究費の配分に教員評価の結果を反映している。給与等への処遇への反映は、まず研究費への反映の検討を」の3点の意見については、原案への反映と修正がなされないまま県議会に提案されております。
県は5月以降、繰り返し大学内での検討がされたと説明しています。ある意味ではその最大公約数が吉田理事長から出された4項目であったと考えますが、受け入れたのは1つだけであります。独立行政法人にしたとはいうものの、財政は縮減して、口出しの口だけが大きくなっているのではありませんか。
乱暴な口出しは教育現場に混乱をもたらします。例えば、英語で行う授業を開講するといっても実際には学生が理解できなければマイナス効果になります。地域医療の高度化を担う看護師の養成の新たな教育プログラム作成についても、経費削減で教員確保もままならない状況で、現場では意見が噴出、否定的意見が大半とお聞きをいたしました。さらには、研究費配分を評価で左右しながら、さらに給与にまでそれを拡大し、学者、研究者の生活と大学への思いの基盤を掘り崩そうとしていることは大問題です。
独立行政法人にしながら、全県庁職員を人事評価とボーナスや昇給への差別化という手法で縛っている福井県庁のシステムをなぜ大学に押しつけるのか。全く整合性がありません。創立20周年の県立大学の人材を崩していくようなことはやめるように強く求めるものであります。
そもそも一体、現場の意見を酌まない中期目標とは誰のための目標なのか。何のための目標なのか。大学の学問や授業方法にまで行き過ぎた行政の介入があるのではないのかと厳しく指摘しなくてはなりません。
また、一般質問でも指摘しましたが、9月に政府は高校、大学までの段階的な無償化を定めた国際人権A規約の適用を留保してきた問題で、留保撤回を閣議決定し、国連に通告しました。日本は文字どおり中高等教育の無償化を国際的にも迫られることになった状況のもとで、旧態依然とした受益者負担原理に基づく学費値上げの項目が残されることは問題です。こういう目標に6年間も拘束されることになるからです。
県は従来型の減免と奨学金で対応すると答弁していますが、これでは問題は解決されていきません。大学進学先の県内志望がふえているのは経済的要因が大きいと考えられます。さらに消費税10%で家計が直撃されれば、その傾向がさらに強まったり、大学進学を断念せざるを得ない子供もふえるでしょう。高校生や親は、学費が安いかどうかでその大学を受けるかどうかを一層考えるようになるでしょう。
減免、奨学金は、成績などが加味されますから、二次的な要素で左右されるものです。学費は大学の敷居に相当します。まず、スタートラインに立てません。学費値下げこそ、大学のステークホルダー、利害関係者に強く印象づけます。今後、大学が生き延びていく重要な鍵になります。
総務教育常任委員会では、各委員から県内出身の生徒をふやすこと、卒業後は県内で就職をとの声も多数出されました。難関10大学に県内から何百人送り出すかを教育現場で競わせるのではなく、福井県への人的リターンを考える総合的な政策が求められています。年収200万円がワーキングプアの水準とされておりますが、夫婦2人で年収400万円に満たない県内世帯の学費を思い切って軽減する措置を私は委員会で提案しました。このような措置は、一部の大学で既に行われております。
今求められているのは、世界標準を国内で先駆けて実現していくこのような取り組みであると考えます。世界からおくれた受益者負担主義を今ごろ掲げる目標案には到底賛成できません。
次に、陳情第22号地方財政の充実・強化を求める意見書提出を求める陳情は、採択すべきです。
近く行うと野田総理が述べたという総選挙で国政進出を目指している維新の会などは、公然と地方交付税の廃止を掲げております。維新の会は、その分は消費税の地方税化を主張しています。現行の消費税は1%分が地方消費税です。残り4%を地方税化すれば約10兆円地方の税収がふえます。ところが、廃止としている地方交付税は約17兆円です。これが不足した場合の穴埋め措置としての臨時財政対策債が約6兆円ですから、実質的には合わせて23兆円超をつくり出さなくてはなりません。めちゃくちゃな話です。代表の橋下大阪市長は、消費税を地方税化しても、地方交付税を廃止すれば地方は損をすると認めつつ、その場合、地方は消費税を上げるかサービスを削るしかないとあからさまに述べています。
このように、近く行われるであろう総選挙は、地方行財政をめぐっても激しく争われ、その結果は全自治体に甚大な影響を与えます。
日本共産党は、地方財政の重要な柱である地方交付税の復元、増額で本来の財源保障、調整機能を回復、強化し、住民の暮らしを守るために必要な地方の財源総額の確保を図ることを訴えて頑張ります。
こういう時期であるだけに、地方交付税総額確保など地方財政の充実・強化を求める本陳情は、採択すべきであります。
以上で、討論を終わります。