monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

「掻く⑧」用例

2017年10月28日 | 日本国語大辞典-か行

 「掻く」という単語の「熊手などで、集め寄せる。」という語釈の用例は、日本国語大辞典では1689年の俳句の用例を早い例として挙げていますが、もっとさかのぼる用例が複数あります。

 路落葉
落葉かく程成けりな吹かせのひまにもそよく森の下道
(巻第百六十三・為尹卿千首、冬)
『群書類従・第十一輯(訂正三版)』続群書類従完成会、1993年、22ページ

04857 [詞書] 庭紅葉
岩かくれ汀のちりとつもるともかきもはらはし宿の紅葉は
08288  [詞書] 寄絵恋
墨染の夕波かけて落葉かく絵島のあまもまつと告けこせ
01662  [詞書] 磯春草
春は又落葉かきても松陰の礒菜摘むなりあまのをとめ子
(草根集~日文研HPの和歌データベースより)


「神風」用例

2017年10月27日 | 日本国語大辞典-か行

 「神風」という単語の「(1)神の威徳によって吹き起こるという風。」という語釈の用例は日本国語大辞典・第2版では、『拾遺愚草』(1216-33年頃)からの例が早いのですが、さらに、120年ほどさかのぼる用例があります。

神かぜもかばかり身にはしまじかしかたしくそでのさゆるよなよな
(102・祐子内親王家紀伊集、78)
『新編国歌大観3』1985年、416ページ


「恋衣(こいごろも)」用例

2017年08月05日 | 日本国語大辞典-か行

 恋衣という語の「恋する人の衣服。」という語釈は、日本国語大辞典・第二版では風雅和歌集(1346-49年頃)の用例が早い用例として挙げられていますが、もっとさかのぼる用例があります。

恋衣重(かさ)ぬるつまもなき物を別れを告(つ)ぐる鳥の声かな
(藤原季経、恋、980)
『和歌文学大系49 正治二年院初度百首』明治書院、2016年、171ページ

かさねしもむかしになりぬ恋衣いまは涙にすみぞめの袖
(問はず語り、巻四、岩波文庫、1968年、222ページ)


「神ならぬ身」用例

2017年04月08日 | 日本国語大辞典-か行

 「神ならぬ身」という用語の用例を日本国語大辞典・第二版では1220年頃の保元物語の例を早い例として挙げていますが、200年ほどさかのぼる用例があります。

 高松殿のうへにきこえさせたまひけるにさふらはせ給ひけるほとにや
かみならぬみは蓮葉のいける世にうきは独とおもほゆる哉
(巻第二百五十一・実方朝臣集)
『群書類従・第十四輯(訂正三版)』1993年、667ページ

かつらきの-かみならぬみの-かなしさは-くるれはものを-おもひますかな
(散木奇歌集・01003)~日文研の和歌データベースより


「神祭」用例

2017年04月02日 | 日本国語大辞典-か行

 「神祭(かみまつり)」という語の日本国語大辞典・第二版の用例は、1310年頃の夫木抄の和歌を早い例として挙げていますが、もっとさかのぼる用例があります。
 また、語釈としては「神をまつること。祭事。祭。」とだけなっていますが、これではなぜ夏の季語なのか分かりません。「特に葵祭をいう。」という語釈を追加してもよいと思います。

 神まつり
神祭る卯月に咲ける卯の花を白くもきねがしらげたるかな
卯の花の色に紛へるゆふしでて今日こそ神を祈るべらなれ
神祭る時にしなれば榊葉の常磐の陰は変らざりけり
神のます森の下草風吹けば靡きても皆祭るころかな
(古今和歌六帖・第一帖・夏)233~234ページ
『校注国歌大系 第九巻』国民図書、1929年

 四月神まつり
神のます杜の下草風吹はなひきてもみなまつるころ哉
(源順集~群書類従14、636ページ)

四月神祭のこゝろをよめる 永成法師
やかつ神祭れる宿のしるしにはならの廣葉のやひらてそ散る
(巻第三百六十六・金葉和歌集(奏覧本)、第二・夏)
『続群書類従・第十四輯上(訂正三版)』続群書類従完成会、1982年、7ページ

神まつりをよめる //源兼昌 
//さかきとる/夏の山ちや/遠からむ/ゆふかけてのみ/*まつる神かな/*5まつるそてかなイ //
(詞花和歌集巻第二・夏・00053)~国文学研究資料館HPより