「葉風」という単語の早い用例は日本国語大辞典・第二版では1187年ですが、100年ほどさかのぼる用例が複数あります。
しらくものかかるやまべをへだててもをぎのはかぜはふきはよかなむ
(30・斎宮女御集、198)
『新編国歌大観3』角川書店、1985年、108ページ
秋たつときゝつるからに我宿の荻の葉風のふき變るらむ
(千載和歌集~バージニア大学HPより)
「葉風」という単語の早い用例は日本国語大辞典・第二版では1187年ですが、100年ほどさかのぼる用例が複数あります。
しらくものかかるやまべをへだててもをぎのはかぜはふきはよかなむ
(30・斎宮女御集、198)
『新編国歌大観3』角川書店、1985年、108ページ
秋たつときゝつるからに我宿の荻の葉風のふき變るらむ
(千載和歌集~バージニア大学HPより)
「葉柴(はしば)」という単語は日本国語大辞典・第二版にも角川古語大辞典にも立項されていませんが、以下の複数の用例があります。語釈としては「葉の付いた枝」という意味のようです。
露
枝折(しほり)する楢(なら)の葉(は)柴に散(ち)る露のはらはらとこそ音(ね)は泣(な)かれけれ
(長秋詠藻、上、147)
『和歌文学大系22 長秋詠藻・俊忠集』明治書院、1998年、29ページ
ふきすさふ-みやまおろしも-ふもとなる-ならのはしはに-おとたてつなり
(白河殿七百首・668)~日文研HPの和歌データベースより
寄椎柴恋
いからなん椎の葉柴の下もえにあまるけふりは思ひけつとも
(巻第四百八十八・春夢草)
『続群書類従・十七輯下(訂正三版)』1958年、850ページ
「ほたで(穂蓼)」という単語の用例は、日本国語大辞典・第二版では、『新撰六帖』(1244年頃)からの例が早いのですが、200年以上さかのぼる以下の用例があります。
我がやどのほたでふるともとりうゑしみちなるまでに君をしまたん
(4・古今和歌六帖、第六、たで、3868)
『新編国歌大観2』角川書店、1984年、246ページ
「ふるさる(旧・古)」という語は日本国語大辞典では、動詞「ふるす」+助動詞「る」とに分かれると判断して、一語とは認定していないようですが、私見最古例・後撰集の片桐洋一の脚注では、一単語として扱っているようなので、別項を立ててもよいのではないでしょうか。
ひたぶるに思なびそ古(ふる)さるゝ人の心はそれぞ世の常(つね)
(巻第十二・恋四、830、藤原時平)
『後撰和歌集(新日本古典文学大系6)』片桐洋一校注、岩波書店、1990年、243ページ
宮をこにとりなして
ふるさるる時にもあらずあふひをばまつりならずと人やとがめむ
かへし
はるなればかへしのみきるからころもかけてもさににたたたぬこひかな
(18・敦忠集、90)
『新編国歌大観 3 私家集編1 歌集』角川書店、1985年、57ページ
みかのはら-くにのみやこは-やまたかみ-かはのせきよし-ありよしと-ひとはいへとも-ありよしと-われはおもへと-ふるされし-さとにしあれは…(略)
(歌枕名寄)~日文研の和歌データベースより
ふるされん後をばしらず言のははしのぶにぞまつおき所なき
(37・嘉元百首、津守国冬、恋二十首、忍恋、2162)
『新編国歌大観 4 私家集編2、定数歌編 歌集』角川書店、1986年、497ページ
すぢごとにまだくろかみを宿ながら身ぞふるさるる霜の通ち(草根集、7385)203ページ
うらみずや里さへ世世にふるされて山の嵐のとへるばかりは(草根集、8696)224ページ
『新編国歌大観 8』1990年、角川書店
いかにせむ-なみたのあめの-ふるさるる-みにはおもひの-はれぬならひを
(永享百首)~日文研の和歌データベースより
つゆなみた-かかるうきみに-こひをして
ふるさるるにも-かはるとそしる
(長禄三年千句 11巻)~日文研の連歌データベースより
かせのおと-むしのこゑにも-いとひわひ
たへかたきまて-ふるさるるさと
(永禄年間百韻 何路)~日文研の連歌データベースより
ふるされし-なかはなけくも-いやはかな
あやしちきりの-たのみくやしき
(慶長年間百韻 [けふことに]/裏白)~日文研の連歌データベースより
ふるされし-はんちよかこころ-あはれなり
(紅梅千句 11巻)~日文研の俳諧データベースより
御影堂も物さび、友禅絵もふるされ、
(好色一代女、巻五、美扇恋風)
『新編日本古典文学全集66 井原西鶴集1』小学館、1996年、531ページ
一 旧恋 ふるき恋にて久恋のたくひや。又ふるす恋にてふるさるゝ心や。
(烏丸光栄卿口授、130)
『近世歌学集成 中』近世和歌研究会編、明治書院、 1997年、510 ページ
浮草の根もたえはてたすたり者。ながめせしまにふるされて。賣(うり)ぐひなれば肌さむし。
(世間妾形気、巻之四)
『気質全集』大橋新太郎編、博文館、1908年、253ページ
めぐりあふ今宵(こよひ)一夜をかぎりにて明日(あす)やわが身もふるされぬべき(うけらが花、巻四・冬歌)139ページ
水草(みくさ)ゐる板井の清水ふるされて涙のみこそさしぐまれけれ(うけらが花、巻五・恋歌)165ページ
後夜(ごや)の鐘のひびきを、物の底に聞くらむやうに、おもはれし夜もありつるを、かくふるされし身は、跡つけむ人もなきや、(うけらが花、巻七・文詞)276ページ
いたづらに拾ふ人なきやれ貝をふるされし身のたぐひとぞ見る(琴後集)446ページ
ふるされしうき身のともと見る月はよもぎがもとの心しりきや(琴後集)498ページ
『うけらが花、琴後集(有朋堂文庫)』橘千蔭、村田春海(塚本哲三)、有朋堂書店、1914年
あふぎによす
手になれし扇の風もつたへてよふるさるゝ身の秋のこころを
(六帖詠草、恋歌)
『校註国歌大系 第17巻』国民図書、1929年、188ページ
鶯声老
ふるされし宮のうぐひす春くれて人もすさめぬねをも鳴くかな
(泊洦舎集、巻一・春歌)
『校註国歌大系 第18巻』国民図書、1929年、582ページ
「吹きさやぐ」という用語は日本国語大辞典・第二版には立項されていませんが、以下のような複数の用例があります。
水郷寒蘆
汀なる芦のしほれにふきさやきこほりもよほすゝまの濱風
(巻第三百九十・為家卿藤川題百首、冬十首)
『続群書類従・第十四輯下(訂正三版)』1983年、822ページ
00389 為家
ふきさやく-みやまあらしの-ささのはに-ぬるよすくなく-ふるあられかな
(弘長百首~日文研HPより)
吹きさやぐ夜風をさむみおほかののたかばかりしき臥しぞわびぬる
(夫木和歌抄・巻第二十二・野)
『校註国歌大系・22巻』国民図書、1930年、58ページ
00034
竹の葉にあけかたしろく霜さえてふきさやく風もおとそこほれる
00036
ふきさやく竹の葉かせはまとさむしすたれにかかる雪のゆふくれ
(院六首歌合~日文研HPより)
小川の岸のねこやなぎ銀の芽をふきさやぐ時~
(松田瓊子全集 - 第 4 巻 - 26 ページ、1997年 ~GBSより)