monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

古典の季節表現 冬 十月(初冬) 落葉

2014年10月26日 | 日本古典文学-冬

初冬落葉といへる事を 法印長舜
見るまゝに紅葉吹おろす嵐山梢まはらに冬はきにけり
(新千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

題しらす 前中納言匡房
唐錦むらむら残る紅葉はや秋のかたみの衣なるらん
(新勅撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

落葉
おそくとくちりみちらすみ世にみてる紅葉や冬の光なるらん
くれなゐのうす花色を染めまして山桜戸にちる紅葉かな
(草根集~日文研HPより)

春日社歌合に、落葉といふことをよみてたてまつりし 藤原雅経
うつり行雲に嵐のこゑすなりちるかまさきのかつらきの山
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

おなし心(落葉)を 前大僧正公朝
足引の山おろし吹て冬はきぬいかに木のはのふりまさるらん
(新後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

落葉 参議公明
神無月吹や嵐の山高み雲に時雨てちる木葉哉
(続千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

冬歌の中に 二品法親王尊胤
落葉にも秋の名残をとめしとや又さそひ行木からしの風
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)

落葉 従三位忠兼
立田山秋はかきりの色とみし木葉は冬の時雨也けり
(続拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

右大臣に侍ける時、家に歌合し侍けるに、落葉 後法性寺入道前関白太政大臣
槙のやに絶す音する木葉こそしくれぬ夜半の時雨也けれ
(続後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

落葉如雨といふことをよめる 源頼実
木のはちる宿はきゝわく事そなきしくれする夜も時雨せぬよも
(後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

家に歌合し侍けるに、落葉をよめる 大弐資通
こすゑにてあかさりしかはもみちはのちりしく庭をはらはてそみる
(詞花和歌集~国文学研究資料館HPより)

落葉の心を 藤原清輔朝臣
山おろしの風なかりせは我宿の庭の木葉を誰はらはまし
(続後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

四日、間近き紅葉を風の吹き散らすを、取り集むとて
木枯らしの風のたよりにつけつつも問ふ言の葉はありやと思はん
(和泉式部続集~岩波文庫)

嘆くこと侍りけるころ、紅葉の散るを見て 雨宿りの太宰権師重康
木枯しに千々に砕くる紅葉ばは物思ふ人の心なりけり
(風葉和歌集~岩波文庫「王朝物語秀歌選」)

冬歌よみ侍けるに 相模
木葉ちるあらしの風の吹比は涙さへこそおちまさりけれ
(新勅撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

冬のはじめ
もみぢ葉や落つると思へど木枯らしの吹けば涙もとまらざりけり
(和泉式部続集~岩波文庫)

題知らず とりかへばやのみてものの聖
秋果てて四方(よも)の嵐に誘はるる木の葉にたぐふ我が身ともがな
(風葉和歌集~岩波文庫「王朝物語秀歌選」)

風前落葉といふことをよませ給ける 後伏見院御歌
山嵐にもろく落行紅葉ゝのとゝまらぬ世はかくこそ有けれ
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)

平等院の名かゝれる率塔婆に紅葉の散りかゝりける見て花より外のとありけむ人ぞかしとあはれに覺えて詠みける
哀とも花見しみねに名をとめて紅葉ぞけふはともに散りける
(山家和歌集~バージニア大学HPより)

廿七日、皇后宮の御かたへいらせおはしまして、日の御座の御つぼのもみぢ、御覽ぜさせおはします。女房たちも、みぎはにちりつもりたるなどたちいでゝみる。「おもふことかなふといはゞ、あのちりたるもみぢのかずかぞへてんや。」と、人々おほせられしかば、少將内侍、
もみぢばの數をかぞへて流すとも思ふ心はえやはゆくべき
今も風にちりみだるゝ程、なほいとおもしろくて、「袖にうけん。」など、人々おほせられしに、こんらうのみうらの上卿にて、つちみかどの中納言別當のさきことごとしくきこえしに、おどろきてみなうちへ入侍し。なごりおほくて、辨内侍、
おとづれて聞ゆるさきの追風に散もみぢばをみすてゝぞ行
(弁内侍日記~群書類從18)