「神祭(かみまつり)」という語の日本国語大辞典・第二版の用例は、1310年頃の夫木抄の和歌を早い例として挙げていますが、もっとさかのぼる用例があります。
また、語釈としては「神をまつること。祭事。祭。」とだけなっていますが、これではなぜ夏の季語なのか分かりません。「特に葵祭をいう。」という語釈を追加してもよいと思います。
神まつり
神祭る卯月に咲ける卯の花を白くもきねがしらげたるかな
卯の花の色に紛へるゆふしでて今日こそ神を祈るべらなれ
神祭る時にしなれば榊葉の常磐の陰は変らざりけり
神のます森の下草風吹けば靡きても皆祭るころかな
(古今和歌六帖・第一帖・夏)233~234ページ
『校注国歌大系 第九巻』国民図書、1929年
四月神まつり
神のます杜の下草風吹はなひきてもみなまつるころ哉
(源順集~群書類従14、636ページ)
四月神祭のこゝろをよめる 永成法師
やかつ神祭れる宿のしるしにはならの廣葉のやひらてそ散る
(巻第三百六十六・金葉和歌集(奏覧本)、第二・夏)
『続群書類従・第十四輯上(訂正三版)』続群書類従完成会、1982年、7ページ
神まつりをよめる //源兼昌
//さかきとる/夏の山ちや/遠からむ/ゆふかけてのみ/*まつる神かな/*5まつるそてかなイ //
(詞花和歌集巻第二・夏・00053)~国文学研究資料館HPより