「たける(長・闌)」という単語には「季節が、その盛りを過ぎる。その季節が終わりに近づく。」という語釈があり、日本国語大辞典では、和漢朗詠集(1018年頃)の例を早い用例として挙げていますが、もっとさかのぼる用例があります。
杜鵑(とけん)の啼序(ていじょ)春将(まさ)に闌(た)けむとし、
(頭注:ほととぎすのなくべき時がやって来て、春は盛りを過ぎようとしている)
杜鵑啼序春将闌。
(文華秀麗集、23・敬和左神策大将軍春日閑院餞美州藤大守甲州藤判官之作一首、巨識人)
『日本古典文学大系69(懐風藻 文華秀麗集 本朝文粋)』小島憲之校注、岩波書店、1964年、215~216ページ
秋欲闌閨門寒
秋闌(た)けなんとして 閨門(けいもん)寒し
秋もふけようとして閨(ねや)の入口のあたりは寒い
(経国集、奉和擣衣引、惟氏)
『王朝漢詩選(岩波文庫)』小島憲之編、岩波書店、1987年、261ページ