monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

篠綾子「墨染の桜」

2021年04月04日 | 読書日記

 篠綾子「墨染の桜」(文春文庫、2014年)を読んで疑問に思ったこと。

 まず、着物一枚縫うための日数について。7日はかかるようですが、1~2日程度で縫えるものではないのでしょうか。
 主人公のおりんが越後屋のお針子として働くようになってから、「小袖一枚を10日で縫った」というような文章がありました。175~176ページの越後屋の主人のセリフから解釈すると、「今まで小袖1枚縫うのに10日かかっていたところを、店に常駐しているお針子に縫わせることで。7日で完成させることができる。」ということのようなので、早くて7日ということでしょうか。

 それから「白羽二重の下着を赤の絹糸で縫う」という箇所で、188ページで縫い終わったおりんが、表に返して縫目を確かめるシーンがありますが、和裁の縫い方だと、縫目が見えないのが普通なので、違和感をおぼえました。また、濃い地色のものならともかく、白地の生地に赤色の縫い糸を使用したら、赤糸がおもてから透けて見えると思います。ここは、本来は白の絹糸を使うはずだったのに、同僚の嫌がらせで赤の絹糸を使わざるをえなかった、という箇所。この「白羽二重の下着」というのが裏地に紅絹(もみ)を使っているなら赤色の糸で縫うのもあり得ますが・・・。