ほっぷ すてっぷ

精神保健福祉士、元新聞記者。福祉仕事と育児で「兼業」中。名古屋在住の転勤族。

世界史の中のアルメニア人虐殺―――『アララトの聖母』

2007-09-28 23:50:35 | Movie
「ナチスの将校が他の将校に、アウシュビッツの事をなんと言ったか。

 誰もアルメニア人虐殺を覚えてなんかいない―――そう言ったんだ。」

人は、覚えることと忘れること、どちらの方が多いのだろうか。忘れるために生きているのか?知らなくてはいけないこと、覚えていなくてはいけないものは何なのだろう、自分で選択しながら覚えたり、勉強しなくてはいけないのだろう。

 1915年の、トルコ人によるアルメニア人強制移送、虐殺の事実を、それを描こうとする映画の作成を通して、人々の記憶に焼き付ける。こういう映画を見ると、かなわないな、と思う。歴史的事実を、要因と結果を結びつける仮説とともに、映画にしたり、小説にしたりすることに成功する人は、本当に価値のある仕事をしていると私に思わせる。私には、ムーアの映画よりも衝撃的だった。

 知らなくてはいけないこと、忘れてはいけないこと・・・それを測るのは難しい。

 いっそ、ひとつの指標として、戦争や紛争、虐殺、自然災害などの推定被害者数をグラフにしてもらいたいものだと思ったりする。50万人とか、100万人とか、イメージしにくいものは、理解しにくい。でも、そういうものの方が理解しなくちゃいけないものだったりする。物事を、何を横に置いて判断するのか。

 価値判断って、難しいし、自分がどの程度の人間かを露出するという意味で、怖い。