ある中小企業の会長(70歳)と話をする機会があり、
晩婚化に話が及んだ。
「いろいろやりたい」と言ったりして、男性も女性も晩婚化が進んでいる。
35歳くらいで赤ちゃんが出来て、それから子育て。
「そうすると、男性も女性もだけど、体力的にもキャリアの中でも
一番働き盛りで仕事が出来る30代後半から40代にかけて、家庭が忙しいことになる」
たとえば、営業先で夜の席を誘われても、子育てがあるから帰らなくちゃいけないとか。
がむしゃらって訳にいかない事情ができる。
女性も働いていることも多いから、家庭をまるっと任せることもできない。
「それじゃ営業にならないんですよ」。
それでも、30代だって40代だってワークライフバランスは大切だ、
と思いながら聞いていたが、会長の話には続きがあった。
「そうまでして、20代のうちに何がやりたいんですか。
そんなに何かを蓄積してるようには見えない。ただ、何でもやってみたいというだけで」
仕事や人生に、生かせるようなことをしているのか、ということだ。
ではなぜ、若い人が道を定められないかのように方々を見て、
時間を費やすのか。
「私たちの時代は、坂の上の雲が遠くに見えていた。少なくとも坂は見えていたんですね」
現代は、その道が見えず、または人によってだいぶ違う。
坂を探したり、コンセンサスをとったり、というのに時間がかかるのだ、と。
一般論として聞きながら、身にしみる、傷口にしみるようなボディーブローだった。
何がしたくて、何をしているのか。
自己を省みる時間と体力がなく、もうこんな時間になってしまった。
体力的なピークは間違いなく、30,40代ではなく、20代でしょ。
だから、30,40代で働き盛りというのは、体力とは違う次元の話で、経験年数がだいたい15-20年の間が生産性が高いという意味でしょ。仮にそうだとしよう。
だったら、いつ子育てしようが、働き盛りは必ずくる。前後にずれるだけだ。
要するに、子育ての時期と自らの仕事・会社への貢献とは何も関係ないんじゃないか。
女性はキャリアのため、というより収入や自己実現のために働いていて、
要は専業主婦じゃないから、
男性も子育てに時間を取られる。
その子育て自体が今は30代、40代に来る、と。
だから、女性の場合、どうせ働いて遅く結婚するなら
しっかり仕事しなくちゃいかんよ、という意味かな。
実際、子育てで1年産休、5年くらい9時5時で
仕事続けられたら、
子どもが中学くらいになったらばりばり復帰できそうな
気がしないでもない。仕事によるけど。
女性が20代で出産したら、仕事を離れる。
そのあと、働き盛りで仕事ができる30代、40代でカムバックするのは難しいんじゃないか。