ほっぷ すてっぷ

精神保健福祉士、元新聞記者。福祉仕事と育児で「兼業」中。名古屋在住の転勤族。

過敏で傷つきやすい人たち

2018-12-29 20:46:11 | Book
精神科医・岡田尊司さんの新書シリーズ。統合失調症や愛着障害の解説本などをこれまで読んできたが、この本が一番、自分の理解に役立っている。仕事で関わる人たちの病名は、統合失調症やうつ、躁うつ、発達障害などいろいろだが、「敏感すぎる人たち」という共通点がある、と最近ひしひしと感じていたところだったから。もちろん、その程度や敏感となる対象は人によって違うのだけど、本では、さまざまな症状に網羅的に触れられている。

何に敏感なのか。私が接する人たちは、その対象を自分で認識している人が多い。ただ、その敏感さに配慮するあまり、私がストレートに「どのような刺激に弱いですか、こういう場合は?それならこういう場合ならどう?」と細かく聞いていかないことが多く、その具体的な敏感さについて、結果として理解が遅くなってしまうことが多い。そこは、早く、上手に信頼関係が作れるか、作れたという自信をある程度持てるようにならなければいけない。もちろん、敏感さの対象を自分でも理解しきれていない人もいて、初めて仕事に就いたときに、思わぬ落とし穴になってしまうことも。こういうことがあるから、実習や体験が欠かせない。

以下、本書の中で線を引いたところを少し書き留めておく。

過敏な人は、敏感すぎる面と、鈍感すぎる(本書では「低登録」という単語が使われていた)面が共存している
敏感すぎる、というのは自閉スペクトラム症の基本的な特徴の1つ
敏感さが妄想につながり、統合失調症の症状に繋がる人もいる
敏感すぎる人がとれる対策の1つとして、考えていることを書き出して、もし考えても仕方がないことがあれぼ「→考えても無駄!」などと書いていくと良い
敏感な人たちは、二分法的認知(極端な考え方)の思考の癖を持っている人が多い
敏感ゆえに、疲れやすいなどの身体的影響がでたり、妄想につながったりする
安全基地があるかどうかが、幸福度合いに大きく影響する

・・・
でもなぜ、敏感すぎる人たちは、そうなってしまっているのだろうか。本書では、子どもの頃に虐待を受けた人は、同じような傾向を持つ、と随所に書かれているが、私が接する限り、みながみな、虐待を受けた経験があるとは思えない。むしろ、愛情深い、理解のある親に育てられたと思える人が多い。子どもの頃に甘えられなかった、と言う人も、普通より甘えにくい環境だったというより、当時から敏感さを持っていたがゆえに、少しの寂しさや甘えにくさが膨らんで、親子関係や友人関係をぎくしゃくさせたのではないか、と想像する。先天的な部分が大きいのでは。

ある種の発達障害、と理解できると思う。こういう人たちに、鈍感になれと言っても意味も効果もないのだけど、生きやすさ、生活しやすさを少しでも感じられたら。それが感じられる場所が安全基地ということだろう。仕事をつうじて、私も少しずつ、敏感さを備えてきている気がする。仕事ではそれをプラスにして。プライベートでは手放せるだけ手放して、鈍感にいきたい。

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