亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

不規則なデータに調整局面継続

2012年10月18日 23時51分56秒 | 金市場
決算発表が佳境に入っている米国で、金融機関の決算が好調だ。昨日のバンカメ(バンク・オブ・アメリカ)のように訴訟費用などという特殊な例は別として、各社に共通するのは住宅ローン関連収益の増加が目立つこと。「住宅市況は最悪期を脱した(JPモルガン・チェース、ジェイミー・ダイモンCEO)」との発言も見られている。米住宅市場の回復は(景気の下支えとなり)FRBの取っている超緩和策の終息時期の早まりを意識させるために、金価格には抑制要因となる。昨日の9月の米住宅着工件数は、前月比15%増の年率換算で87万2000戸となり、リーマン・ショック前の2008年7月以来約4年ぶりの水準に回復。市場予想は77万戸だった。同時に発表された着工許可件数は、将来の着工を見通す際の材料となるが、こちらも前月比11.6%増の89万4000戸となった。

この結果を受けた金市場の反応は、やはり「売り」だった。発表時間がちょうどコメックスの通常取引(フロア取引)が始まるタイミングだが、発表後約1時間で10ドル近く下落。しかし、その水準が17日の安値となった。その後は結局下げた分は買い戻されることになった。ジャンク債一歩手前で踏みとどまったムーディーズのスペイン債格付け結果が市場に好感されたからだ。

この点で本日は、先週集計上の問題でややイレギュラーな数字が出た米失業保険申請件数の発表があった。先週の33万件台の数字が、ある一つの州の減少分が反映されたものであることが分かっていたので、今週はこのところの実勢の37万件程度に戻ると見られていた。そして結果は、そのとおり予想37万件に対し結果は38万8000件というものだった。これは金については、買い要因。

さらにもうひとつ、フィラデルフィア連邦準備銀行の発表する製造業景況指数の発表も本日だった。先日のNY連銀の指数は良くなかったが、それだけに好不況の分岐点であるゼロか、あるいは下回る結果が予想されていた。ところが本日日本時間の23時に発表された数字は5.7というもの。個人の好調、ところが製造業を中心に企業は慎重というのが、先日も指摘した2極化ということだったが、今夜の結果は改善を示すものとなった。金価格は一時1730ドル台まで売られている。


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3 コメント

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需要 (fairlane)
2012-10-19 01:21:56
10月なのに、とんとインドの婚礼シーズンの動きが伝えられない。その上輸入関税が上がるし。インドの経済もかなりひどいようですし。
で、アジアの消費国の中国も、香港の輸入量は減っていて、自国産出の金でまかなっている様子。こちらも経済は不透明で。。。
何かの指標で見ると、現物の需要は去年より落ち気味だとか。
大丈夫なのかな と思うのです。
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お久しぶりです (小さな愛犬家)
2012-10-19 04:55:00
K先生の見通しは毎度敬服してます。
当方は長期な世界経済の勉強させていただいております。先生とは同年齢ですからくれぐれも飲みすぎには留意なさって健康で参りましょう。
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香港の輸入 (K)
2012-10-21 13:16:07
数字が挙がっているのは8月までのものですね。ここからの下げで、どう動いてくるかが要注目ですね。
中国は、民間だけではないと思われますので。インドは前縁日で大きく減るのは止む無し。ある程度は織り込んでいます。
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