11月17日のNY金はNY時間にドル指数が、それまでの上げ幅を削り前日比マイナス圏に落ちたことで3営業日ぶりの反発から終値で6月11日以来5カ月ぶりの高値水準となった。
この日は、NY時間外のアジアの時間帯から為替相場はやや荒れ模様だった。ドルは前日の地合いを引き継ぐかたちで主要通貨に対し強含みに推移。ユーロが対ドルで一時1.12ドル台まで急落したこともあり、ドル指数は96.241と2020年7月以来の高値を付けた。また対円でもドルは買われ一時1ドル、114.975円と2017年3月以来4年8カ月ぶりの高値とな り、合わせてドル指数を押し上げた。
この時間帯、NY金は上値を抑えられたものの下げることはなかった。ドル指数もこの派手に動いたのは、この時間帯だけで後は次第に沈静化、NY時間の終盤には前日比マイナス圏に沈み、95.828で終了。NY金は1870.20ドルで終了。
米長期金利が低下したことも金価格をサポートした。米10年債利回りは、NY時間外のアジア時間の午前とNYの午前早い時間帯に上昇、一時は1.651%に達したものの、押し目買いが入り、その後は中盤さらに終盤に向けて低下しながら進行し1.587%に落ち着いた。
17日付のウォール・ストリート・ジャーナル電子版は、米長期金利が3月下旬の1.75%近辺からなお低い水準で滞留しているのは、来年にはインフレが鎮静化すると多くの投資家が見ていることよると、インフレに楽観的な見通しを書いていた。
サプライチェーン問題の解消から生産の増加、モノに偏った消費性向の平準化や先送り需要の一巡、物流の改善など、確かに時間が解決すると思われるものが、大半を占める。思うのは人手不足も、時間の経過とともに働き手は戻るだろうということ。阻害要因があるとすれば、やはり新型コロナ感染が続くことだと思う。
原油や天然ガスの高騰は、もとより政治的につくられた需給ひっ迫の流れに、余剰マネーがインフレ見通しに相乗りしたことで起きていると思われるので、偏った物品の上昇によりもたらされている“インフレ傾向”が落ち着くに従い、こちらも需給を映す形で沈静化するものと思う。 むしろ長期債利回りの低下は、先行きの景気の減速を映したものであるかもしれない。
今週は連日に渡りFRB高官の講演など発言機会が予定されている。昨日少し触れたように特に17日は5名を数えた。その中でNY連銀のウィリアムズ総裁は、新型コロナ危機初期の市場混乱時にNY連銀が債券市場の安定化に向け前例のない行動を取ったとして、将来の大きな衝撃に備え市場の強化が必要であることが浮き彫りになったとした。「債券市場を強化する方策を検討する必要がある」としている。FRBによる異例の緊急対応策からの金融正常化過程で想定される、金融波乱を抑えるための難しい舵取りが続きそうだ。