先週末の11月米雇用統計、既に報じられているように前月比での雇用の増加数32万1000人はサプライズとなった。就業者の伸びが20万人を超えるのはこれで10ヵ月連続となり、1999年以来のこと。当時は(結果的に)ITバブルに沸く好況期だったが、この年の年間ベースでの就業者増加数を今年は上回るペースとなっている。失業率は前月から変わらずの5.8%で市場予想も同じ。
データの細かな点については置いておいて、今回の結果は、米国の利上げ観測を高めるということで金の売り要因となった。結果を受けてドルを買う動きが活発化し、結果判明前には買い優勢の動きさえ見られていた金市場は一転して売り物が急増。20ドル近く急落状態となった。ただし、1186.40ドルまで急落はしたものの売りが一巡と見るや買戻しの動きが見られ、約40分後には1200ドル台に回復という値動きとなった。終盤に向けて売りが出たことから終値は1190.40ドルに押し戻されフロア取引(通常取引)は終了となった。前日比では17.3ドル安で終了。ただし週足では上昇となった。終了後の時間外の電子取引でも午前の安値を下回ることはなかった。この傾向は週明けの市場でも続き、東京時間の午前の時間帯は1190ドル台での推移となった。
結局、結果がサプライズとなった割には、金価格の反応、下げは限定的という感じで打たれ強いという印象が強い。フォローの売りが見られるならば本日8日のロンドンからNYの時間帯になると思われる。5日の時点で比較的下げが限定的だったのは、雇用増が20万人を超えるという一定の好結果は織り込み済みとなっていたので、サプライズではあってもその延長線上のものだったこと。
さらに、ここにきて内部要因として実需の引き合いが強まっていると見られること。9月、10月それぞれ150トン程度と輸入が急回復したインドだが、にもかかわらず規制緩和が発表されたこと。また、税率の引き下げまでインド中銀のラジャン総裁が示唆していること。中国では昨年には及ばないもののここにきて需要の回復が見られること。11月のトルコの金輸入量が46.9トンと前年の2倍以上になったとのニュースも週末には見られた。
それでも好調な労働環境からFRBによる利上げ観測が高まるのも事実で、この点で来週に迫るFOMC(連邦公開市場委員会)の結果と、それにどのように反応するかが、欧米金融サイドの金に対する足元のスタンスを計る材料となりそうだ。声明文と議長の記者会見の材料性の軽重と市場の反応ということになる。つまり今回の雇用統計への反応だけでは計れない。印象としては、下値抵抗ができつつある。
ユーロ時間です。
目がテンになりました。
資源国でも厳しいですね。ロシアとか…