週明け12月8日のNY市場の金価格は、反発で終了した。先週末の好調な米雇用統計を受けて売りが膨らんだ金市場だが、下値では買い意欲も強く一時は安値から1200ドル大台に戻す局面も見られていた。8日の市場は、NY時間外のアジアからロンドンと波乱なく1190ドル台の狭い範囲で推移する静かな展開となった。
注目を集めたのは、アジア時間の早い段階で発表された日本の7-9月期GDPの改定値(2次速報値)だった。プラス成長を読んでいたものの予想外の年率マイナス1.6%となった速報値に続き、今回もサプライズとなった。というのも改定値では設備投資の増加を読んだ市場は上方修正を予想していたにもかかわらず、下方修正され年率マイナス1.9%となったことによる。2期連続でマイナスとなるが、これは定義上日本のリッセッション入り(景気後退入り)を意味する。
さらに注目されたのは、中国の11月の貿易収支の内容だった。貿易黒字が545億ドルと予想の440億ドルを上回ることになったが、これは輸入が予想に反し大きく縮小したことが背景だった。予想では輸入は前年同月比でプラス3.8%となっていたが、結果はマイナス6.7%となった。予想外の結果は市場では中国の景気減速を印象付けることになった。実際に中国政府内では経済成長率の目標を2015年は、14年の7.5%から7.0%~7.2%への引き下げが検討されているとされる。
日本と中国という経済大国がそろって景気の悪化および減速を示したことを受けた8日の欧州の株式市場は軒並み下落。この流れはNY株式市場にも影響を与えることになった。先週の米雇用統計を見る分には、米国景気の先行きに力強さが出ておりFRBによる利上げもいよいよ視野に入った観がある。しかし、世界全体を見渡した際にその自身も揺らぐという状況となっている。米国内でも低迷続くユーロ圏のことに加え、8日の市場では日本への懸念が膨らみ始めた。
8日のNYコメックスの通常取引は、4.50ドル高の1194.90ドルで終了。冒頭で書いたように反発となったが、終了後の時間外の電子取引では、ファンドと見られる買いに急伸し一時は1210ドル近辺まで買われることになった。結局、米国のみが引き締めに向かえるのかというと確信は持てぬということか。