先週末3月22日のNY金は反落した。先週は、米連邦公開市場委員会(FOMC)のメンバー予測にて年内3回の利下げ見通しが示されたことで、21日のNY時間外アジア時間に約2週間ぶりに過去最高値を更新した(2225.30ドル)。
22日は利益確定やポジション(持ち高)調整の売りが優勢になり反落した。前日比24.70ドル安の2160.00ドルで終了。水準としては前々日のFOMC結果判明前の2161.00ドルに戻ることになった。
2225.30ドルまで駆け上がり元の水準に戻る流れは、いわゆる相場表現の“行って来い”という形に。 もともと短期投機筋の買いによるモメンタム相場ゆえにモメンタムが失われ(失速)反落という展開に。
ただし、突発的な事態に対しての反応(イベント型急伸)ではなく、利下げへの転換という金融マクロ環境の変化に反応したものゆえに、反落後に(材料出尽くしで)さらに下値を探ることにはならないと思われる。
なお、22日に発生したモスクワでのテロ攻撃。事件の速報を見てすぐにウクライナ戦争との関連が浮かんだものの、内容からはテロ攻撃と思われた。すなわちウクライナが背後に控えるものではないだろうと。
その後、過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出したものの、プーチン大統領はウクライナの関与を示唆している。プーチン大統領にとって、任期継続早々に足元の安全保障上の脆弱性をつかれたことはダメージであり、国民の関心を外に向ける可能性がある。
対ウクライナで新たな展開の可能性が予見され、地政学リスクの高まりを思わせる。
仮にそうはならず事態が鎮静化したとしても、株価最高値更新で沸いている一方で、足元の投資環境の不安定さを再認識させそうだ。前々週来、ゴールド現物を背景とするETF(上場投資信託)への資金流入が注目されているが、24年下半期以降を見据えた資金移動の一環と捉えている。
予想より前倒しで最高値を更新したNY金だが、日柄整理を経て5月上旬に再び高値更新となる可能性がある。手掛かり材料を変えながら循環型のNY金の上昇が続きそうだ。