亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

前のめりの市場に“抑制”を示したFOMC議事要旨

2019年02月21日 23時29分33秒 | 金市場
さて公開された議事要旨は、総じてサプライズはなかった。しかし、当面の利上げ停止のみならず(2015年12月に始まる)利上げサイクルの終了から再緩和を、さらに市場からの資金回収(バランスシートの縮小)の年内終了まで前のめりに織り込んだ市場にとって、想定したほどにはハト派ではなかったという側面もあった。

そもそもFOMC議事要旨とは何ぞや? ということだが、その名のとおり会合で何が話し合われたかを示すものというのが大前提。一方で、「市場とのコミュニケーションのツール」との側面もある。したがって会合から発表までに何か目立った動きがあった場合、どの部分に焦点を当てるかなど内容と書きかた(表現)が変わることも多いとされる。今回については、12月の小売売上高が予想外に大きな落ち込みになる一方、株式市場の活況が続き高値に接近する水準にあることなど好悪両面の材料が発生した。株式市場については、年始からのFRBの方針転換をフルに織り込む形で来ただけに、FRBとしては、年内利上げの可能性がなくなったわけではないとの牽制球を投げたということか。いずれにしても、状況によっては(指標次第)年内利上げの可能性は、消えたわけではないと釘打ちしたと思われる。

具体的には議事要旨は、政策金利(FFレート)の水準について「多くの参加者がどのような調整が年内に適切となりえるかまだ明確でないとの見方を示唆した」となっていた。どの金利水準が妥当なのか、よくわからん!と。新たな環境の中で、FRBも手探り状態ということか。

昨年秋からクラリダ副議長を中心に、政策判断について「指標次第」としてきたが、利上げについては、インフレ率が上振れた場合に限定して次の利上げを実施とする参加者と、経済が予想通りの展開を示した場合に年内に利上げ、とする参加者に分かれていることが判明した。一方、バランスシートの縮小には「ほぼ全員の参加者が、近いうちに資産縮小を年内に停止する計画を発表することが望ましいとの考えを示した」。ただし、その時期への言及はなかったが、それを年内としてメディアは報じている。

いずれにしても、ハト派に大きく傾いたという前提で迎えられた議事要旨だが、“どっぷりハト”という市場の見方に対し、あくまで指標次第であって年内利上の道もまだ残っているんだよと、一定の「抑制」を込めたのが今回の議事要旨ということか。

議事録公開後に金市場は反落となったのは、一定の「抑制」を込めた内容が、金市場では利益確定売りのきっかけになったと見られる。イメージとしては、これまでの1300~1330ドルのレンジが、1320~1350ドルに切り上がった感じか。


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