現在日本時間の23時40分前後だが、ロンドンの取引時間あたりから金価格はスポットでも1750ドル台に乗ってきたが売り物に押し戻された。さすがに1ヵ月で11%も上昇した後だけに、この水準では、頭も重い。上値の節目は1775ドルほどにあるが、ちょうどそれは昨年9月の高値から12月の安値までの半値戻りの水準にも相当する。ここから上は価格上の正念場ということになる。
金に限らず基本的に現在の金融環境は、一言で表現して米欧の中央銀行による政策コラボレーションにより支えられているといえる。まずは昨年12月初めに応募を受け付け21日に域内民間銀行向けに実行されたECB(欧州中銀)による総額4890億ユーロ(約50兆円)の3年物融資が目先の資金繰りをつけている。これが物理的に効いている。そこに先週1月25日にFRB(米連邦準備理事会)が2014年終盤までの低金利環境の維持をうたい、同時に2%のインフレ基準を設け、これを目立って下回る際は追加緩和(すなわちQEⅢ)もアリという姿勢を滲ませたことが、市場心理を大いにサポートした。
この環境をもっともプラスに受け止めたのが金市場であって、とりもなおさず昨年秋以降に一斉に手を引いて(それによりに価格の急落をもたらしたが)、以降様子見に徹しているファンドの背中を押したのがFOMCの決定で、この1週間の金価格の上昇につながっているといえる。ユーロ圏では日々いろいろ起きているし、米国関連でも毎日注目データの発表が行われているが、基本的に足元の金価格を支えているのは、上記の米欧中銀の政策コラボによるカネ余りということだと思う。
民間銀行を中心とするギリシャ債務の減免交渉は、是が非でも今週中に“合意”に持ち込みたい当局と民間側の最後の抵抗が続いている。昨日から「あと数時間で合意」とか「結論に非常に近づいている」とか、様々流れるが実現せず。3月20日のギリシャ国債の145億ユーロ償還に間に合わせるための事務手続きなどの準備期間を考えると、時間的に切迫していると見られる。「集団行動条項」発動という当局による「合意の強行」があり得るが、それに対する市場の反応が不透明要因。