亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

あらゆる分野で信認の低下が目立つ展開の中で金が買われている

2020年02月10日 23時07分32秒 | 金市場
先週末金曜日のここで最後に、好調な米雇用統計の結果を受けて一時急落状態になったものの直ぐに切り返したNY金について「日本時間23時前だがNY金はアジア時間の高値を上抜いてきた。現時点で、強い雇用統計も跳ね返す勢い。明朝の値位置がどうなっているか興味深い」とした。

その後売り買い交錯状態となるも結果的に、米国株式市場が下げ幅を拡大したこともあり、プラス圏のまま終了、前日3.40ドル高の1573.40ドルとなった。

7日は、ドイツの統計庁が発表した2019年12月の同国の鉱工業生産指数が、予想外の前月比マイナスとなり、落ち込みも3.5%の低下と2009年1月以降で最大となったことも注目された。為替市場では対ドルでユーロ安となりドルインデックス(ドル指数)を98ポイント台後半に押し上げたが、これは金の売り要因。しかしそれよりも“どこまで続くぬかるみぞ・・・・”的な欧州の状況が、世界経済の先行きに暗い影を投げかけ、金をサポートすることになった。

併せて米連邦準備理事会(FRB)がこの日発表した半期に一度の金融政策報告書で、新型肺炎の感染拡大による副次的な影響が米国経済見通しのリスクの1つとしたことも注目された。これはパウエルFRB議長が先月末のFOMC後の記者会見にて、その時点で情報の少なかった新型肺炎について語った、いわばアップデイトのような内容といえ、今週の議長による議会証言用の資料でもある。さすがの米国株式市場も、新型肺炎のリスクを意識する形で7日の取引は売られたという評価もあるが、NYダウなどを見ていると前日まで4営業日で1123ドルも上げて引けが過去最高値ということからすると、週末を控え売られるでしょう!ということだろう。休みの間に何か市場に大きな変化を与えることモノがあっても、不思議ではない環境ゆえのこと。

今回の米雇用統計では、実は過去のデータの見直しを正式に発表する予定もあり、むしろそれに注目していた。米労働省が発表したところでは、2018年4月から2019年3月までの雇用者数が51万4000人分下方修正された。米労働省は創業・廃業した企業数から雇用件数を算出しており、こうした手法では一昨年来19カ月間続いている米中貿易摩擦が雇用に与える影響が、反映されていないのではとの指摘がある。それが51万4000人という2009年以来の大な数字の振れをもたらしたのではないかと。現行の集計方法では、実際の雇用者数より多く見積もられる傾向があるとの問題が指摘されている。改定値の大きさから、統計の正確性に関心が高まる可能性がある。。

とにもかくにも、政治から中銀の政策方針、統計データまで、あらゆる分野で信認の低下が目立つ展開の中で、金が買われている。
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