亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

次のリスクオフの波の到来待ち、戻りを試すNY金

2020年02月13日 22時24分22秒 | 金市場
13日の米国株は主要3指数ともに過去最高値を更新。前日の流れ同様、新型コロナウイルスの感染拡大の封じ込めへの期待が先行するかたちでリスクオンということで、終値ベースでS&P500種、ナスダックは3営業日連続、NYダウも2月6日以来の最高値更新で取引を終了。発表された11日時点での中国国内での新たな感染者は2015人、死者は97人と、感染者増加数が1月30日以来の低水準となったことが好感され、「世界景気への過度の懸念が後退」し買われたと。

もっとも、本日日本時間の午前に、中国湖北省が独自にCTスキャンで陽性反応が出たケースについても確認された感染例に含めることにした結果、感染者は急増した。12日時点で同省の感染者は新たに1万4840人増加し合計では4万8206人に、死者は242人増え、合計1310人になったとされる。中国全体の数字は発表されていない。途中から発表ルールを変えてきたわけだが、もともと2つの数字があったのではとの指摘がある。もっとも、検査能力の問題で、従来の体内にあるリボ核酸(RNA)の検査では大量処理は出来ず、感染者数も発表に自ずと上限があったという捉え方もある。いずれにしても、この桁違いの数字の発表で今夜の米国株はどうなるか。先行して欧州も売られ日本時間の午後9時時点でダウ先物も200ドル程度下げている。新型コロナウイルス拡散について、楽観論が先行する米国株式市場も他人事とはいかなくなりそうだ。

話は変わるが11、12日と米下院そして上院で議会証言を行ったパウエルFRB議長だが、2日目上院の銀行委員会での証言も米国経済の先行きに強い自信を示し、「失業率の低下」や「賃金の上昇」も継続できない理由はないとした。ところがこの日は、昨年3度にわたる利下げで1.5~1.75%になっている政策金利の水準に言及。利下げ余地が小さくなっていることし、次の景気下降時には量的緩和(QE)や(政策方針を事前に示し市場をコントロールする)フォワードガイダンスなど非伝統的な政策を取る必要が出てくると指摘。必要となれば積極的に利用していくとした。これはイエレン前議長時代から指摘されていたことで、昨年3会合連続で利下げを行った時点で、次の景気の下り坂に取る政策としては選択肢に挙がっていたもの。

当方は引き下げ時点の金利水準が、2.25~2.5%という異例の低さゆえに、あえて景気拡大中にも関わらず利下げを行ったと捉えている。景気に陰りが出てからでは、わずか2.5%の利下げ余地では心もとなく、それゆえに予防的な引き下げを行ったわけだ。

ただし、その政策が株価を空高く押し上げてしまった。おそらく予想以上に。この稼ぎの機会をとらえたいファンドは、一斉に資金を株式市場に投じる。ここでのポイントは昨今流行りのパッケージ買いだが、その格好の手段がETFを通しての投資。ETFへの資金流入は、主要株指数を満遍なく押し上げることになり、主要指数はそろって過去最高値を更新ということに。今後、下げる時は全面安ということになりそうだ。

金市場の方は、先週一定量のロングの手仕舞い売りが進んだものの、まだ断続的に売りが続いているが、一方でETFを丹念に拾う動きが続いている。株式市場を中心に、次のリスクオフの波がやって来た時にどこまで上値を取れるか。ドル円が円安傾向にあるので、国内先物価格の過去最高値更新は続きそうだ。

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